"Who Took the Bomp? Le Tigre on Tour"

2011年アメリカ。

 

キャスリーン・ハナ、ジョアンナ・フェイトマン、JDサムソンのフェミニスト・エレクトロニックバンド、ル・ティグレによる2004年から2005年の数カ国にまたがるツアーを追ったドキュメンタリー。

 

主にライヴ映像、プロモーション風景、インタビューからなる。

 

フェミニズムに関する歌が多い。

 

音楽産業のセクシズム(特に中盤のラジオインタビュー)や、同性愛嫌悪が明らかになる構成ともなっている。

 

"Feminine masculinity","butch lesbian visiblity"がキーワードか。

 

 

 

"Don't Need You: The Herstory of Riot Grrrl"

2006年。1990年代米国のインディ・シーンにおけるライオット・ガール・ムーヴメントの起源と展開を探る。

 

出演はブラットモービルのアリソン・ウルフ、ビキニ・キルのキャスリーン・ハナ、ヘブンズ・トゥー・ベッツィのコリン・タッカー、フガジのイアン・マッケイ、ワシントンDCのパンク史研究家マーク・アンダーソン他。

 

ニューヨーク市立大学シティ・カレッジとの共同制作。

 

「ライオット・ガールは表現を求める女性たちをバックアップし、コミュニケーションの手段を与えた」という結論。

 

ファンジンについてはあまり触れられていない。

 

 

 

『魍魎の匣』(アニメ版)

2008年日本テレビ系で放送。全13話。

 

面白くて一気見。

 

国分寺武蔵小金井、町田と、東京の各所で物語が展開する。

 

最先端科学が登場人物たちの心に植え付けるのは魍魎、複数の物語の解きほぐしは憑き物落とし、体およびテレビは箱といった比喩が効いている。

 

穢れを引き受ける代償が映画版よりも詳細に描かれている。

 

久保竣公が白手袋を付けている理由や美馬坂教授の肉体憎悪の謎も解けた。

 

百合っぽくて耽美な序盤と、箱中の少女への最後の言及内容に鮮烈な対比を感じる。

 

陰陽道の反閇を踏む場面は映画の方が長く、アニメは魍魎の解説メイン。

 

 

 

『江戸川乱歩「悪魔の紋章」より 死刑台の美女』

1978年テレビ朝日。土曜ワイド劇場で放送。江戸川乱歩『悪魔の紋章』に基づく。

 

川手とその娘の三姉妹へ殺人予告電話がかかる。明智小五郎は犯罪学者の宗方博士に代わり香港の国際学会に参加予定だったので、宗方に川手一家の保護を求める。川出には遺産分配を求める腹違いの妹がおり、彼女の関与が疑われる。次々と襲われる三姉妹。犯行現場には、恐ろしい三重渦状紋が必ず残されていた。

 

派手なスーツをピシッと着こなす天知茂がエレガント。

 

国際学会での発表代理を頼むのに、縦書きの分厚い日本語原稿を渡す宗方博士の無茶ぶりが印象に残る。

 

 

 

『真珠郎』

1978年毎日放送大映京都・映像京都製作全3回。

 

原作は1936-7年『新青年』、底本は1974年角川文庫版。

 

原作には金田一は登場しないが作者の了解を得て脚色したらしい。

 

昭和23年、城北大学の講師乙骨と椎名は、信州岩田村の鳥越湖畔にある元生物学者鵜藤の屋敷へ静養に向かう。絶世の美青年、真珠郎を目撃するが、彼は鵜藤が復讐のため手塩にかけて育てた、「アポロンのような顔にバチルスのような心の男」だった。

 

何冊もの研究ノートから垣間見える鵜藤の情熱、暗闇からニヤニヤ笑いながら金田一が登場する不思議な場面が印象に残る。

 

 

 

『悪魔の手毬唄』 上巻

1977年毎日放送大映映画・映像京都製作全6回。

 

原作は1957-9年『宝石』連載、底本は1971年角川文庫版。

 

昭和27年、鬼首(おにこべ)村に、村出身のグラマー歌手オーロラゆかりが凱旋することに。村の青年団達は歓迎ムードに湧くが、その日から鬼首村に伝わる手毬唄の調べに乗って、若い娘達が次々と殺害される。村の没落庄屋は姿を消し、謎の老婆が出現し始める。過去の犯人未逮捕事件との関連を疑う日和は、金田一に捜査を依頼。

 

死体未発見の殺人事件現場で、沼のせせらぎの音をバックに仲良くくつろぐ金田一と日和が微笑ましい。

 

 

 

『悪魔が来たりて笛を吹く』 下巻

悪魔の紋章の由来と、誰がほんとうの悪魔であったかが明らかになる。

 

杉本一文によるフルートを吹く悪魔のイラストがCM前に入る仕様なのだが、このイラストが物語最後に判明する悪魔の正体にそっくりであるのがニクい演出。

 

悪魔の紋章は、『オーメン』(1976年)のダミアンが持ってた「666」の印のようだが原作はこちらが先。

 

金田一は軽快なギターと横笛の曲に乗って疾走するが、アクションは後追い的で犯罪の予防にはあまり役立たず次々と殺人が起こる。

 

ここでも大事なのは因縁の解明であって、犯罪の予防ではない。

 

密室トリックには疑問が残る。