若冲と大典-『ライジング若冲』観ました。

録画していたNHKの正月時代劇、『ライジン若冲』を観ました。

 

芸術の追求を通じて繋がった絵師と僧侶の物語でした。

 

「あんたの絵を通して宇宙を、仏を見たいんや」と、若冲の手を握りしめて相国寺の有望な僧侶、大典が言います。それがプロポーズのようになっています。

 

若冲が描いた、白い尾羽の先がハートになった優美な鳳凰の絵の前で、白無垢的衣装を着た若冲と黒い紋付き的衣装(僧衣ですが)を着た大典が、「死が2人を別つまで」友でい続ける誓いを立て、象徴的結婚式を行うという、非常に分かりやすいBL演出でした。

 

中村七之助の普段はたおやかながら、絵に集中するときは神さびたアウラをまとう若冲と、優秀であるが故に僧として期待され、詩に打ち込むことができず鬱屈した激情をたたえる永山瑛太の大典、よかったです。

 

尺の都合もあると思うのですが、円山応挙池大雅の絵ももっと見せてほしかったですね。特に応挙は、「自分の足元を照らしてくれる人がいない」と泣きながら大典と若冲の仲を羨ましがっていたのに、その伏線は回収されることなく最後に絵師番付で一位取って満足して終わりって。連続ドラマで描くべきエピソードを詰め込みすぎたのではないでしょうか。

 

大雅の妻であり自身も絵師である玉瀾の見せ方はあれでよかったのか、と疑問が残りました(大雅の髪を梳ったり残り少ない米を食べさせるケア要員として登場、「旦那様が好きだから、画風が旦那様に似る」と言う)。

 

そのときそのときの好きな場所で野点をして、客からお茶代を取る売茶翁(石橋蓮司)の働き方(移動式茶店)が、職場=自分がいるところのテレワーク時代の気分にフィットしているように感じました。 

 

最後に「え、皇室、廃仏毀釈のとき取り上げた若冲の絵は相国寺に返還すればいいのにー」と思いましたね。