(ネタバレあり)網戸を自力で直せる女-『大豆田とわ子と三人の元夫』最終話感想

今クール、最も夢中になって観ていた『大豆田とわ子と三人の元夫』が最終回を迎えました。

 

オダジョー演じる小鳥遊大史のターンで目まぐるしい感情のジェットコースターを経験し、「もう最終話は余生のような感じになるしかないだろー」と思いながら観ていました。ときめきこそないものの、それはそれは「女の一生」について考えさせられる回でした。

 

とわ子の母が秘めていた同性の恋人の話と、娘が依存的な彼氏との関係を終わらせ、自分で人生に立ち向かうまでを1話で見せるとは。正直、あと2クールくらい使ってじっくり見せるべきところを詰め込みすぎた感じで、段取り的な印象は受けました。しかし母、ヒロイン、その娘と、三代にわたり「女の一生」を描いたドラマとしては、完璧な終わり方だったと思います。

 

網戸を直してくれる男を待っていたとわ子が、自力で直せるようになるまでのドラマでもありました。高級そうなデザイナーズマンションなのに、網戸が何度も外れるのは不思議です。しかし、何度パートナーと別れても、次の出会いに前向きなとわ子の人生を象徴的に表しているのでしょう。

 

ドラマの終わり際、「大豆田とわ子は最高です」というフレーズがバカみたいに、ヤケクソのように何度も繰り返されます。確かに、登場人物の誰よりも大豆田とわ子が最も魅力的で輝いてるんですよね。このドラマのヒロインは誰かに嫉妬したり恋敵になったり人を陥れたりすることもなく、淡々と、なおかつ愉快に生きています。女性を描く際に感情のクリシェを使っていない、いい脚本でした。

 

彼女は男性でもすぐ心が折れそうな責務を背負いながら、飄々と暮らしています。元夫達が夢中になるのも分かる人間です。ただ単にヒロイン讃歌で終わるのはドラマとしてはどうかと思いましたが、本当に見事としか言いようのない生き様を見せてくれました。こういう女性が増えて欲しいという、作り手のエールのようなものも感じました。

 

だからこの感想の締めの言葉も、「大豆田とわ子、あなたはサイコーです」。