A Room with a View in L.A.−『スカイライン−征服−』感想

スカイライン−征服−』を観てきました。(Dir. The Brothers Strause, Skyline, 2010. アメリカ)

完全なるポップコーン・ムービーでした。みんなでワイワイ言いながら観るのに最適な、楽しい映画です。

撮り方が"Skyline"という題名に沿って工夫されていたと思いますので、何点か気付いたところをメモ。

物語は単純なもので、「あるカップルがハリウッドの映画業界で成功したらしい友人の誕生日パーティに参加するためにL.A.の超高級マンションに来たところ、宇宙人の侵略に遭遇する」というもの。シンプル・イズ・ベスト!(←『アンストッパブル』の感想のときも言った気がする…。)

・冒頭に近いシーンで、ネオンがギラギラと輝くL.A.の夜景が空撮で撮られている。この光景と後に噴煙を立てる破壊されつくした街並みとの対比は強烈。

・ワン・シチュエーション物で、登場人物たちは超高級マンションの20階(海から2分の場所)とその屋上からほとんど動かない。

・超高級マンションはL.A.の見晴らしのいい場所にあり、その絶好のロケーションから登場人物たちは遠くで宇宙船の空母からL.A.の市街地が攻撃されているのを見ている。

・壁一面が窓であり、普段はパノラミック・ビューを楽しめるそこから、登場人物たちは宇宙人が街を破壊しているのを目撃することになる。窓はスクリーンの役割を果たしており、登場人物たちは、映画を観ている私たちとほとんど同じ立場に立って「見ている」ということになる。"Skyline"というのは「山や高層建築物などの空を背景としたシルエット」(『ジーニアス英和辞典』)のことだが、いつも眺めている眺望が地獄絵図に変わる、ということをやりたいがために撮ったのではないかと思わされる。

・しかし、「見てはならない」ものがある。それは宇宙人の発する青い光で、それを見ると身体に紫色の血管が浮かび、魅入られたようになり、巨大な宇宙生物の触手になすすべもなく吸い込まれる。*1 「対象を観察しなければならないのだけれど、見ると命取りになる」というジレンマが面白かった。

・作り手が「この画が撮りたかったんだろうな!」と思わされる決め絵がいくつかあった(おそらく爆笑ポイントとして観る人もいるだろうけど)。
→屋上で登場人物が呆気に取られるなか、凧みたいにヒュンヒュン吹流しをなびかせ浮遊する何台もの宇宙船
→屋上で登場人物が逃げ惑うなか、救助ヘリを巨大宇宙生物の触手が掴む瞬間
→米軍の襲撃を受け宇宙人の巨大空母が撃墜されスライドしていく場面


撮りたい画のときは、スローモーションになるため、見所が分かりやすい。


ちなみにエンドロールは静止画になり、ある生き物が止め絵で映される。


「これが撮りたかったんだよ!」というのが伝わってきてよかった。私も「そうそうそう、これが観たかったんだよ!!!」と親指2本立てたくなった。

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思い出した映画:

宇宙戦争』(Dir. Steven Spielberg, 2005)
第9地区』(Dir. Neil Blomkamp, 2009)
Making of LOVE』(Dir. 古澤健, 2010)


最後に、気に入った台詞をメモ→"They're really, really...pissed off."(「むちゃくちゃ怒ってる…」)

Skyline (Blu-Ray) [Import]

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*1:このあたりは、スピルバーグが『インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国』で描いた危険な光を思い起こさせます。それは原爆と宇宙人の目から発せられる光でした。