2011年8月に観た映画・DVD

8月の鑑賞メーター
観たビデオの数:20本
観た鑑賞時間:1793分


トランスフォーマー/リベンジ スペシャル・コレクターズ・エディション  [DVD]トランスフォーマー/リベンジ スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]
このシリーズの「カッコいい米軍」アピールは凄い。逆に言うと、ロボットと米軍をかっこよく見せるために軍人以外の一般人が「ノノノノノ」とか「俺だ!俺だよ!」レベルの単純な反復台詞しか言わないという点で、一貫してる。マイケルベイズム。 いちばん印象に残った場面は、元ディセプティコンからパーツを分けてもらって生き返ったオプティマス・プライムが、礼も言わずに"Let's roll."と言って飛び立つところ。夥しいロボットの屍を乗り越えて生きてきたプライム一族の生き様を見た気がする。 エジプトでの戦闘シーンが最高。
鑑賞日:08月01日 監督:マイケル・ベイ


エグゼクティブ・デシジョン [DVD]エグゼクティブ・デシジョン [DVD]
セガールがすぐ退場するという記憶しかなかったが、兵士たちが飛行機に侵入する前半、テロリストたちの目から隠れて爆弾処理をする中盤、"Sleeper"(秘密の爆撃犯)を探し出し、テロリストたちと接触する終盤と、かなり構成がしっかりしている。ジョーモートンの指示を受けながらオリバー・プラットが爆弾処理をする場面が好き。デイヴィッド・スーシェが名探偵ポワロの面影を完全に消し、中東のテロリストにしか見えない。エンドロール、Degital Effect会社の前にミニチュア製造者の名前が出てくる点に時代を感じる。
鑑賞日:08月02日 監督:スチュアート・ベアード


ウーマン・オン・トップ [DVD]ウーマン・オン・トップ [DVD]
ブラジルのバイーアで物語は始まる。夫トニーニョの浮気を目撃した妻イザベラは、アメリカの友人でドラァグ・クイーンのモニカの元へ身を寄せる。バイーアの海の女神イマンジャに夫を忘れられるよう祈りの儀式を捧げ、心機一転、溌剌と働きはじめる。TVの構成作家クリフにより見出され、イザベラは料理番組のシェフとして活躍し始める。『ウーマン・オン・トップ』=1.騎上位が好きなため夫に浮気されること、2. 料理の腕により社会でトップに上りつめること。イマンジャの下りはマジック・リアリズム的。ペネロペ・クルスのハリウッド初主演作。
鑑賞日:08月08日 監督:


ゴーストライダー デラックス・コレクターズ・エディション(2枚組) [DVD]ゴーストライダー デラックス・コレクターズ・エディション(2枚組) [DVD]
同名のマーベル・コミックの映画化。父親を助けるためにメフィストとの契約書にサインした大道芸人ジョニーは、地獄の業火に包まれながら、ゴースト・ライダーとして生まれ変わる。ヘリ5台をバイクで飛び越えるアメリカ的ダイナミズムにスカっとする。黒髪のニコケイは普通にかっこよいが、墓守りのサム・エリオットはさらにかっこよい。道でジョニーとメフィストが対峙する場面、デブの女の子がインタビューに答えたあと胸の前で腕をクロスさせる場面、「贖罪の目」(Penance Stare)で悪人を懲らしめる場面等、漫画的絵作りが素敵。
鑑賞日:08月09日 監督:マーク・スティーヴン・ジョンソン


幸せのレシピ 特別版 [DVD]幸せのレシピ 特別版 [DVD]
2001年のドイツ映画『マーサの幸せレシピ』のリメイク。オリジナルは未見。ストイックに生きる高級レストランのシェフ、ケイトが姪ゾーイやスー・シェフのニックとの交流を通じ、生きる喜びを取り戻す。セラピスト役のボブ・バラバンが非常にいい。彼の整然としたオフィスでカウンセリングを受ける場面はどれも魅力的。最後の場面、主人公がある選択をしたことを契機に、音楽がイタリアのオペラからマンボに変わる。終盤、かくし芸大会のようなゼタ・ッジョーンズの一発芸が見もの。彼女の引き締まった表情がヒロインに説得力を与えている。
鑑賞日:08月10日 監督:スコット・ヒックス


メタルヘッド [DVD]メタルヘッド [DVD]
冒頭から衝突の表現に満ちている。車、いじめっ子、メタル野郎が主人公の少年にぶつかってくる。しかしその衝突も、「最後の幸せな思い出を乗せた、あの車を取り戻したい」という彼自身の執念が生み出している。彼のデスペレットな表情と、父親役のレイン・ウィルソンの魂を抜かれた表情は必見。JGLとナタリー・ポートマンが脇を固める。作品の目玉であるJGL演じるメタル野郎は、「自由な生き方を提示し、各種しがらみにがんじがらめになった周囲の人間の解放を促す」ロール・モデルとしては、やや描写が類型的な気がした。
鑑賞日:08月10日 監督:スペンサー・サッサー


マイティ・ソー [DVD]マイティ・ソー [DVD]
北欧神話の神オーディンとその息子ソーの物語。世界樹(ユグドラシル)の世界観の映像化を、奥行きを感じさせる3Dで非常にうまく行っていると思う。円を基調とした異世界間物質転送機のデザインがかっこいい。ソーがいちいち姓名で地球人を呼んだり、古英語風の話し方をするのも北欧神話の英雄らしい。クリス・ヘムワーズはこの作品で始めて観たのだが、ソーの陽性の魅力をあますところなく体現している。アンソニー・ホプキンスも久々のはまり役。武器であるムジョルニアの方がふさわしい持ち主を選ぶという設定は、ベタながら燃える。
鑑賞日:08月10日 監督:


ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1 Blu-ray & DVDセット スペシャル・エディション(4枚組) [初回限定生産]ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1 Blu-ray & DVDセット スペシャル・エディション(4枚組) [初回限定生産]
ハリーとロンの口論シーンなど、シリーズ中初めて、手ぶれで心情の揺れを表している。ハリーの眉毛がますます太くなり、ダンブルドアに「髭が伸びとるぞ」と言われるなど、16、7歳のハリーに「老い」を感じる。ロンの幻視の中でハリーとハーマイオニが裸で抱擁しロンが嫉妬する場面があり、キャラクターの内面的成長が描かれている。あまり劇判音楽がなく、静まりかえっている。キャンプ、夜のシャフツベリー通り闊歩など、普通に考えると楽しそうだが、全体的トーンは陰鬱。アンブリッジが再登場し、魔女裁判ならぬ、「魔女ではない裁判」あり。
鑑賞日:08月11日 監督:デヴィッド・イェーツ


HOUSE [DVD]HOUSE [DVD]
超シュール、超サイケだった!こんな映画が1977年に撮られていたことに驚愕。女子高生たちの行動や台詞がキュートすぎ、観た人達のあいだでは、「あれはおじさんの望む女子高生像だよね」ということで意見が一致。「この映画の池上季美子みたいな女子高生がいたら土下座するよね」というコメントが出るくらい、ヒロイン、オシャレ役の池上さん(当時17歳!)は美しい。7人の女子高生のあだ名がイカしてた。しかしバッグに大きく白い毛筆体で「オシャレ」と書いてあるのはオシャレじゃない。すべてがへんてこで愛らしい作品!
鑑賞日:08月16日 監督:大林宣彦


スウィートホーム [VHS]スウィートホーム [VHS]
宮本信子の表情をとらえた最初の静かなショットに、監督の作家性を感じる。SFXの総指揮がディック・スミスで、アメリカンなノリの家物ホラー。真っ二つになった上半身のスプラッタ描写、母親の幽霊は巨大化したモンスターなど、日本のホラー映画にはないテイスト。この映画を特集したテレビ番組で、「ホラー映画は自由な精神の高貴な遊び」というコメントがあったが言い得て妙。途中で伊丹十三が「ディアボロ〜♪」と意味不明の歌を歌いだす等、遊び心満載。「影に食われる」という設定に、『回路』に通じる黒沢清映画の片鱗を見た。面白かった。
鑑賞日:08月16日 監督:


東海道四谷怪談 [DVD]東海道四谷怪談 [DVD]
邪魔になった妻に毒を盛る伊右衛門の冷酷さと欲望がなによりも恐ろしい。伊右衛門はお岩さんとの結婚に邪魔な彼女の父親を殺しておきながら、「敵討ちをする」と嘘をついて一緒になる。しかし、息子までもうけておきながら、「貧しいことに飽いたから」と条件のいい富家の娘に走る。「武士は妻を斬ることなどしない」と言いながら毒殺する。行いが鬼畜すぎる。おそらく幽霊の恐ろしさよりも、生身の人間の恐ろしさを描いた作品なのだろう。伊藤家の父と娘を悪漢から救う場面の立ち回りがなく、急に伊藤家内へのシーンに切り替わったのは不自然。
鑑賞日:08月16日 監督:中川信夫


ブロンディー/女銀行強盗ブロンディー/女銀行強盗
カレンが機械を分解するのが好きだったと息子に言う場面で、たまたま人生で最も得意なことが、"建物の構造を理解して忍び込む"銀行強盗だったと分かる。強盗団頭目テレンス・スタンプ心理的駆け引きをしつつ、カレンが涼しい顔でコーヒーを飲むシーンの妙。原題の"The Real McCoy"は「本物、最高の物」の意味だが、「米国のボクサーNorman SelbyのリングネームKid McCoyを他の同じ名前のボクサーと区別するためにthe real McCoyと呼んだことにちなむといわれる」【ジーニアス英和辞典】。
鑑賞日:08月17日 監督:ラッセル・マルケイ


カンフーハッスル [DVD]カンフーハッスル [DVD]
斧頭会ボスの車内で、豚小屋砦の大家さんがブルース・リージェスチャーのまねをして、一言も発さずにボスに「分からせる」場面サイコー!日本の漫画表現の引用、『シャイニング』の廊下シーンパロディや、フレッド・アステアジンジャー・ロジャースのポスターの前でポージングなど、観客にとっかかりを示す点に監督の配慮を感じる。ハゲ、白いタンクトップ、トランクスにサンダルの火雲邪神かっこいい。弱い者いじめしかできなかった主人公が、「邪神の一撃で全身の脈が開き真の力に目覚め」、「訓練無しで達人になる」設定に妙な説得力あり。
鑑賞日:08月24日 監督:チャウ・シンチー


スター・ウォーズ エピソードI ファントム・メナス [DVD]スター・ウォーズ エピソードI ファントム・メナス [DVD]
アナキンが初対面でパドメに"Are you an angel?"と聞くシーンが好き。こんな小さな子でも「パダワンになるには遅すぎる」と言われるのに、10代後半でジェダイ修行を始めたルークはどうなるの?と思った。C3POを自作するアナキン、あの歳でどんだけスペック高いんだ。前半ポッド・レースのときには顔色ひとつ変えず難局を乗り切り、後半司令艦をたった一人で壊滅させるアナキンを見て、さすがにのちダース・ベイダーになる人間は違うな、と感じる。ジェダイ二人ががりで闘っても卑怯だと感じさせないダース・モールは凄い。
鑑賞日:08月27日 監督:ジョージ・ルーカス


ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破 EVANGELION:2.22 YOU CAN (NOT) ADVANCE.[DVD]ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破 EVANGELION:2.22 YOU CAN (NOT) ADVANCE.[DVD]
シンジくんがお弁当男子になっており、ちょっとモテ方向にシフト。「一緒に食事をする」テーマや「空から降ってくる」陽性のメガネ女子マリなど、テレビ・シリーズと比べて健康的な印象。エヴァに機体保有制限(一国につき3体)があるところは、核の隠喩か。「ポカポカしてほしい」(レイ)「この世界はあなたの知らない楽しいことで満ち満ちているわよ」(ミサト)等、登場人物の心性がポジティブな方向に進みかけている気がする。「旧小田原防衛線」や、早雲山から強羅駅までの箱根登山ケーブルカーがシェルターに直結など、箱根密着型アニメ。
鑑賞日:08月27日 監督:庵野秀明


地球が静止する日 <2枚組特別編>〔初回生産限定〕 [DVD]地球が静止する日 <2枚組特別編>〔初回生産限定〕 [DVD]
オリジナルは未見。セントラル・パークに球体が降りてきて、合衆国大統領の判断如何で人類の行く末が決まるという点にアメリカ中心主義を感じる。もっと規模の大きいカタストロフィ映画なら、地球規模の大惨事が描かれたはずで、こじんまりした印象。しかし、初冬のじめじめした森の中を歩く寒々しい雰囲気は好き。表情を変えない端正なキアヌ・リーヴスの顔は、「理性を備えた地球人の顔を宇宙人が再現したらこういう感じだろう」と思わせる。子役のジェイデンが繰り返し父の不在を嘆くため、俺スミスはイメージ出演料を貰ってもいいのではないか。
鑑賞日:08月28日 監督:スコット・デリクソン


デイ・アフター・トゥモロー 通常版 [DVD]デイ・アフター・トゥモロー 通常版 [DVD]
職業上の知識を生かして父親が子供を助けに行く災害映画。温暖化が進みすぎて氷河期に突入、メキシコへの不法入国をするアメリカ国民、途上国から援助を受けるアメリカ、北半球がだめになって南半球の貧しい地域に助けられる等、現状の反転が一つの見所。携帯よりも公衆電話の方が災害時には強いということをこの映画から学んだ。怪我をして足から敗血症になった娘を助けるためにペニシリンを取りに行ったら、狼に足を噛まれるという展開は「天丼」と見なしてよいか?宇宙飛行士から見たら空気が浄化されて見える、という結末には皮肉を感じる。
鑑賞日:08月28日 監督:ローランド・エメリッヒ


奇跡【限定版】 (初回限定生産) [DVD]奇跡【限定版】 (初回限定生産) [DVD]
日本版『スタンド・バイ・ミー』と言いたい。子供の描き方が秀逸。兄の住む鹿児島、弟の住む福岡、大阪と(過去の回想のみ)、東京以外を舞台にしている点で珍しいと思った(ただし、東京からの転校生は出てくる)。気に入ったシーン→冒頭、主人公の少年が何か食べながらベランダの窓を開ける、その彼が桜島の灰にうんざりししながら部屋を掃除する、鹿児島の銘菓カルカンを作る職人であった祖父がもう一度それを作る。「カルカン」、「RKBのチャートバスター」(福岡の音楽番組名)等、九州のローカルなワードが頻出する点が具体的でよかった。
鑑賞日:08月28日 監督:


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原作は室内劇だったが、この映画では主人公がお菓子屋台を引く街頭、死の床にある恩人の部屋、ヘレナの楽屋、アリソンの実家、ヘレナとジミーの公園デートなど、屋外でも話が展開する。ジミーの体験を追体験できるためか、原作よりも主人公に共感しやすい。原作にない場面で特にいいのは、インドでもカースト外賎民のカブーが市場から追い出されたときに助けられず、自分の無力さをジミーが知るところ。ヘレナはアリソンの後釜を狙っていたようには描かれず、ジミーも最終的に受身ではなく積極的にアリソンを探しに行き、原作よりも爽やかな印象。
鑑賞日:08月28日 監督:Tony Richardson


Look Back in Anger (1989) [DVD] [Import]Look Back in Anger (1989) [DVD] [Import]
狂ったような早口でまくしたてるケネス・ブラナーは、ジミーのひょうきんさ、皮肉っぽさ、歪んだ知性、怒り、苛立ちを余すところなく表現しており、リチャード・バートンよりも原作のイメージに近い。エマ・トンプソンがハンサム・ウーマンという感じで、「誰が見ても美しいと言う」アリソンには適役ではないと思う。室内劇だが、ジャズで彩られたスタイリッシュなリチャードソン監督版よりも見やすい。ヘレナが自分という男によって変わった(教会に行かなくなる、アリソンと同じネルシャツを着てアイロン掛け等)ことに対する皮肉もしっかり再現。
鑑賞日:08月29日 監督:J

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