2013年3月に観た映画・DVD

3月の鑑賞メーター
観たビデオの数:10本
観た鑑賞時間:831分

アウトロー [DVD]アウトロー [DVD]
2012年米。原題"Jack Reacher"。チェックシャツをジーンズにタックインな地味トム(新機軸)。「路線バスでやってくるヒーロー」とか、「自分で洗濯するヒーロー」とか、これまで彼が率先して打ち立ててきたイーサン・ハント型の景気のよいヒーロー像を地味に打ち破る。とにかく地味なんだけど、誰でもない人間になりたい、とか他人からほっといてもらいたい、と願いつつ「苦しめられている人がいたらほっとけない」という、巻き込まれ型ヒーロー。いるだけで不穏なヘルツォークの存在感。続編でも悪イイ顔の映画監督出演希望。
鑑賞日:03月01日 監督:クリストファー・マッカリー

レッド・ライトレッド・ライト
2012年西・米。超自然現象の検証を続けるうちに一流のインチキ超能力者ハンターになってしまった学者2人組が、かつて自分の批判者をショーの中で殺したと噂される大物サイキックと対決する。学者2人が超能力の検証行脚を続ける理由も明らかになっていく。冒頭からアップになる運転中の横顔、中盤のデニーロに撫で回される場面、終盤どつき倒されて血塗れの顔面など、キリアンの美しい顔がたいぶフィーチャーされている。収拾つかなくなってボーゼンって佇まいには、『キャリー』のシシー・スペイセク思い出した。デニーロの最後の台詞もいい。
鑑賞日:03月01日 監督:ロドリゴ・コルテス

Cabin in the Woods/キャビン・イン・ザ・ウッズ[日本語字幕無][PAL-UK][リージョン2]Cabin in the Woods/キャビン・イン・ザ・ウッズ[日本語字幕無][PAL-UK][リージョン2]
2012年米。観たあと絶対盛り上がれるコメディ・ホラー映画。元ネタ探し、どのくらい前から仕組まれてたのか想像、「システム」の内部の人たちの普段の生活を想像…等々いろんな楽しみ方あり。『アウトロー』ではあんなに渋かったリチャード・ジェンキンスが、ホワイトボードにノリノリで指差し確認してるのを観れて眼福!しかし恐らく、「無責任な傍観者」の醜さをこれほど示している映画もないだろう。ジャンルとしては、『マウス・オブ・マッドネス』や『ミッドナイト・ミート・トレイン』に続く映画。「古き者」への奉仕は楽な仕事じゃない。
鑑賞日:03月01日 監督:

DVD名画劇場シリーズ XYZマーダーズ―デジタルリマスター版―DVD名画劇場シリーズ XYZマーダーズ―デジタルリマスター版―
1985年米。原題"Crimewave"。電気椅子に座らされようとしている死刑囚が、なぜそうなったのか回想する。電気ショックと活劇とロマコメの絶妙なバランス。ライミとコーエン兄弟の共同脚本。そういやあの痩せ男と巨漢の殺し屋コンビは、『ファーゴ』ぽい。製作でも参加してるロバート・キャンベルをライミは主役にしたかったらしいが、配給会社の意向でリード・バーニーになったらしい(特典のプロダクション・ノート参照)。でも“hero”ならぬ“heel”(卑劣漢)のキャンベルも素敵。衣装や色の使い方など、アメコミ風。
鑑賞日:03月04日 監督:サム・ライミ

情無用のジャンゴ [DVD]情無用のジャンゴ [DVD]
1966年伊。原題"Se sei vivo spara(生きていたら撃て)"、英題"Django kill!(if you live shoot)"。情け無用なのはジャンゴじゃなくて周りの守銭奴なんだけど、火に包まれた狂女奥さん見捨てたのは、助けに行くのは無理だと分かっててもかわいそうだと思った。正統派西部劇では敵として描かれることの多いネイティブ・アメリカンがジャンゴを助けるのがよかった。彼らの頭皮を剥ぐかなりの残酷描写あり。主演のトーマス・ミリアンが、なめらかな褐色の肌に無精髭の、絶世の美男であった。
鑑賞日:03月05日 監督:ジュリオ・クエスティ

DVD名画劇場 ソルジャー・ブルー<HDリマスター版>DVD名画劇場 ソルジャー・ブルー<HDリマスター版>
1970年米。「アメリカの修正主義西部劇」(英語版Wikipedia参照)。ラブロマンスかと思ったらアメリカン・ニュー・シネマだった。最初は「すっぴんのキャンディス・バーゲン可愛い」などと思って観ていたが、そんな生易しいものではなかった。米軍のネイティブ・アメリカンへの迫害を描く。70年代のアメリカじゃないと撮れない作品だろう。題材は、1864年11月29日にコロラド州で起きたサンドクリークの大虐殺。子供の首チョンパ、切断された足を掲げて雄叫びを上げる騎兵隊…。終盤の残酷描写は、モンド映画のようだが実話。
鑑賞日:03月06日 監督:ラルフ・ネルソン

ジャンゴ 繋がれざる者(監督:クエンティン・タランティーノ 主演:ジェイミー・フォックス、 クリストフ・ワルツ) [DVD]ジャンゴ 繋がれざる者(監督:クエンティン・タランティーノ 主演:ジェイミー・フォックス、 クリストフ・ワルツ) [DVD]
2012年米。原題"Django Unchained"。西部劇で奴隷解放を描く。人間は生まれではなく環境で変わることや、見かけが人を作ることを示す映画。ジャンゴが衣装をどんどん変えていくのはそのせいだろう。本当に久しぶりにディカプリオが役者として輝いてるのを見た。シュルツとジャンゴの師弟関係が素晴らしい。最後にインサートされる、‘You know what they are going to call you? The fastest gun in the South.’”って台詞は涙なくしては聞けない。
鑑賞日:03月06日 監督:

ダイナソープロジェクト [DVD]ダイナソープロジェクト [DVD]
2012年英。コンゴへ古代生物を探しに行ったイギリスの探検隊が、ヘリの墜落事故に遭い、ジャングルを彷徨う。恐竜目線のPOV。巨大恐竜が出現せず、思った以上に地味だった。モケーレ・ムベンベ(コンゴに生息するとされるUMA)の作り物感と「おい、首だけしか作ってないだろ」感。主人公の少年が15歳には見えないビール腹だったが、撮影時21歳だったらしい。イギリスの恐竜物だったら、テレビシリーズの『プライミーバル』の方が見応えがある。「自然をなめていたわ…」「一人で帰る!」と言っていた女性は、どうなったのだろうか?
鑑賞日:03月06日 監督:

ヒッチコックヒッチコック
2012年米。『サイコ』の制作背景を描く。脚本直しや編集でヒッチコックを支えた妻アルマとの関係が主軸。ヒッチコックの窃視願望から撮影スタイルの秘密に迫っている点、彼の「ブロンド幻想」をきちんと盛り込んでいる点など、よくできた芸術家映画。ヘレン・ミレン様の水泳シーンがこの上なく美しく撮られている。彼の名字から取った呼び名が「引っ掛ける」「グイと引き寄せる」という動詞と同じ単語というのは興味深い。メソッド演技嫌いのアンソニー・ホプキンスはあまり実物に似せる気がないようだが、とぼけた雰囲気はよく出ていた。
鑑賞日:03月27日 監督:サーシャ・ガバシ

丹下左膳餘話 百萬兩の壺 [DVD]丹下左膳餘話 百萬兩の壺 [DVD]
1935年邦。銀座シネパトス閉館日の上映作品。百万両のお宝の隠し場所が塗りこめられた「こけ猿の壺」をめぐり、不知火道場の婿養子や柳生一族が右往左往し、丹下左膳も巻き込まれる。片腕片目の丹下左膳を演じる大河内傳次郎が渋すぎる!走り姿や道場破りのシーンなど見惚れる。剣客としての凄みと子ども想いな優しさが「博打で負けたんだろう」という一言に表れていた。矢場の女将お藤を演じた新橋喜代三はやたらと婀娜っぽく、ダメ婿に悩まされる妻萩乃役の花井蘭子も可憐。1シーン前の台詞を次のシーンで裏切るというテンポが気持ちいい。
鑑賞日:03月31日 監督:山中貞雄

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