2013年4月に観た映画・DVD

4月の鑑賞メーター
観たビデオの数:13本
観た鑑賞時間:1160分

透明人間 [DVD]透明人間 [DVD]
1992年米。原題"Memoirs of an Invisible Man"。原作はH. F. Saintの同名小説(1987年)。ハードボイルド小説風に主人公のモノローグで展開する。透明人間になってしまった株の仲買人が、彼を兵器利用しようと試みるCIAの下部組織から逃亡する。カーペンター作品ながら、悪役サム・ニールの"He was invisible before he was invisible."という台詞以外印象の薄い作品。PCとファックスだけあれば生計が立てられるというラストは現代的だと思った。
鑑賞日:04月01日 監督:ジョン・カーペンター

魔界転生 [DVD]魔界転生 [DVD]
1981年邦。原作は山田風太郎の『おぼろ忍法帖』(1967年)。天草四郎時貞が、復讐のために悪魔の力を借りて蘇り、この世に未練を残して死んだと思われる聖人や英雄、高僧といった徳高い人々を次々と蘇らせ、徳川幕府の転覆を謀るという神をも恐れぬ物語設定。九州が地獄みたいに描かれているのが味わい深い。江戸城炎上のラストは、タランティーノの歴史改変物にも影響を与えたのでは。ジュリーの「誘う男」ぶりもいいけど、黒い皮袴姿の千葉真一がとにかくかっこいい!「目に見えるものだけが敵ではない/ 己の業と運命に立ち向かえ」。
鑑賞日:04月02日 監督:深作欣二

壬生義士伝 [DVD]壬生義士伝 [DVD]
2004年邦。原作は浅田次郎の同名小説(2000年)。盛岡藩を脱藩して新撰組に入隊した吉村貫一郎の生き様を、斉藤一と、吉村の息子とともに青春時代を過ごした医者の視点から描く。サラリーマン的に平凡な人物の姿を、血気盛んな一匹狼に語らせるという手法。吉村役の中井貴一や斉藤役の佐藤浩市もはまっているが、何を考えているのか分からない笑顔で存在感を示す堺雅人沖田総司(ほとんど台詞なし!)、切腹前のかつての幼馴染みに握り飯を作る三宅裕司盛岡藩主など、印象に残る。面白かったが、切腹するまで引っ張り過ぎな気もした。
鑑賞日:04月03日 監督:滝田洋二郎

ヴァンパイア 最期の聖戦 [DVD]ヴァンパイア 最期の聖戦 [DVD]
1997年米。吸血鬼に両親を殺されたヴァンパイア・スレイヤーのジャック・クロウと魔鬼ヴァレックとの戦いを描く。音楽はさすがのカーペンター、緩急自在にサスペンスを徐々に高める。吸血鬼は棺の中ではなく土の中で眠っているのだが、蘇り方がダイナミックで、メキシコの土埃に映える。ヴァレックに噛まれ、吸血鬼になっていく売春婦役のシェリル・リーがいい演技。「吸血鬼を刺したときおっ立ったか?」と聞くなど、主人公ジャックが酷薄で登場人物の誰にも感情移入させない突き放した作り。神父役のティム・ギニーがいい感じのメガネ男子。
鑑賞日:04月13日 監督:ジョン・カーペンター

Chronicle [Blu-ray]Chronicle [Blu-ray]
2012年米。カメラと超能力を手に入れた高校生が、『AKIRA』の鉄雄のように暴走する。やけにジメジメした雰囲気だな、と思ってたらスペースニードルが出てきて舞台がワシントン州だったのでさもありなん、と思った(グランジ音楽が生まれた土地でもある)。物体が宙に浮かぶ際に土埃が一緒に舞い上がるのを観て、『第九地区』思い出した。宙に舞うiPad、ブログ女子、スクールカースト底辺の描き方は、2000年代以降の映画。人物の描き分けとプロット展開に伴う人格の変化が面白く、最後まで飽きさせない。低予算を感じさせない作り。
鑑賞日:04月14日 監督:

地球最後の男 [DVD]地球最後の男 [DVD]
1964年米・伊。ローガン・スワンソン名義で原作者のリチャード・マシスンが脚本に参加。1968年、ボブが地球で一人の生者になって3年が経ち、昼は食糧調達作業、夜は「感染者」退治の日々が続いていた。『NOTLD』に影響を与えた映画。死者のメイクや棒切れを振り回す様子など似ている。しかしこの映画の死者達は主人公に呼びかけ、鏡を嫌い、ニンニクが苦手で、杭で胸を刺し、“Let me in.”と繰り返すなど、吸血鬼っぽい。突然感情を失い無表情になる感染者の姿には、当時のアメリカにおける共産主義への恐怖が垣間見れる。
鑑賞日:04月14日 監督:シドニー・サルコウ.ウバルド・ラゴーナ

デスファイル(4) [VHS]デスファイル(4) [VHS]
1989年邦。事故、自殺、他殺直後の死体を収容される前に映した映像(タイ、インドが主)や、火葬の様子など。首吊り自殺の死体やゴミ箱に捨てられた嬰児の死体が、舐めるようにあらゆる角度から、延々と映し出される(首吊り死体映像にはリリカルな音楽つき)。ナレーションが、「なぜ、彼らはスピードを求めるのか」など、「死んだのは自分の責任」と言わんばかりの傍観者意識が凄い。『セルビアン・フィルム』のラストを延々と見せられているような気分になる。淡々と、「目の前にあるものを映す」といった姿勢には、諦観の念さえ感じる。
鑑賞日:04月14日 監督:三枝進

死霊のえじき 完全版 [DVD]死霊のえじき 完全版 [DVD]
1985年米。ゾンビ・トリロジー完結編。フロリダ州の地下シェルターでゾンビ・バイオロジーの研究を行う科学者集団と、そのサポートをする軍人の対立。ゾンビ対人間の比率「40万対1」の状況に置かれた人々の心理と行動を描く。前二作と同じく、周囲をゾンビに囲まれた人間達を描いた室内劇の比重が重い。「ゾンビは我々の延長」であり、断絶していないという考え方のもと、彼らを飼い馴らそうとするローガン博士とバブの関係が見所か。極限下では、ヘリを飛ばす技術のある人間の命が最も重いらしい。三部作のとても納得のいく結末。
鑑賞日:04月17日 監督:ジョージ・A・ロメロ
死霊のはらわた [Blu-ray]死霊のはらわた [Blu-ray]
1983年米。原題"The Evil Dead"。 森の中の山小屋で Book of Demonsを見つけた男女五人組が、悪魔に憑依されていく仲間に悩まされる。悪魔視点で登場人物に迫り来るカメラに轟音や禍々しい声を合わせるだけで迫力を出しているのが凄い。2作目は手だが、1作目は脚への執拗な攻撃が目立つ。悪魔の書はもちろん、コンセント、電球、スクリーン、振り子時計、テープレコーダー、フィルム、鏡など、小道具により劇的効果を高める手腕が凄い。終盤、だんだんと崩れていく顔や人体の腐敗過程がいま観ても素晴らしい。
鑑賞日:04月20日 監督:サム・ライミ

死霊のはらわた2 [DVD]死霊のはらわた2 [DVD]
1987年米。原題"Evil Dead II"。今度は恋人リンダと二人で山小屋に行ったアッシュが、『死者の書』(正式名称はNecronomicon Ex-Mortis[The Book of the Dead]らしい)によって再び悪魔を蘇らせてしまうが、そこに本を発掘した考古学者の娘が訪ねてくる。相変わらずモノを凶悪にメタモルフォーゼさせるのがうまく、カメラ自体が凶器のような迫る撮り方も一作目から健在。ほぼブルース・キャンベルの独演会になっているが、超かっこいいから何の問題もない。"Groooovy!"
鑑賞日:04月21日 監督:サム・ライミ

死霊のはらわたIII/キャプテン・スーパーマーケット ディレクターズ・カット版 [DVD]死霊のはらわたIII/キャプテン・スーパーマーケット ディレクターズ・カット版 [DVD]
1992年米。『死霊のはらわたIII』。原題”Army of Darkness”。『ネクロノミコン』のせいで紀元1,300年頃のイギリスに飛ばされてしまったアッシュが、自分のせいで蘇らせてしまった「闇の軍団」と対決する。チェインソー空中装着など、見所多し。悪魔に対抗する武器を製造する場面のやたらと早く切り替わる編集は、エドガー・ライト作品などでよく観られるヒップホップ・モンタージュの原型だろうか。映画史上最も長い導火線が爆発するまでのサスペンス。最高。“Shop smart. Shop S-mart.”
鑑賞日:04月22日 監督:サム・ライミ

ナイト・オブ・ザ・リビングデッド 死霊創世紀 [DVD]ナイト・オブ・ザ・リビングデッド 死霊創世紀 [DVD]
1990年米。トム・サヴィーニ監督。家にゾンビが入ってこないよう、木の板で窓やドアを塞ぐ場面が延々と続くのが現実的。ヒロインのバーバラが強い女にアップデート。当然のごとくファイナルガールになる。黒人リーダー、ベンの行動がことごとく裏目に出るのは皮肉としか言いようがない(意地を張らずに地下室に早く行ってれば…)。木に吊るしたゾンビを撃ち、死体の山の前で記念写真を撮る人間達を観て、ヒロインが「ゾンビと人は同じである」と気付き、強い瞳と意志を持った女性に生まれ変わって終了。それにしてもドアがたくさんある家だ。
鑑賞日:04月24日 監督:トム・サヴィーニ

ダイアリー・オブ・ザ・デッド プレミアム・エディション [DVD]ダイアリー・オブ・ザ・デッド プレミアム・エディション [DVD]
2008年米。ピッツバーグ大学の自主映画クルーを中心に展開。“No, not run. Shamble.”(「ノロノロ歩くんだ」)と学生監督が指定するなど、ロメロ自身が持つ鈍い動きへのこだわりが感じられる。ゾンビを轢き殺した同級生に感想を聞き、カメラの充電のためにみんなと行動をともにせず、「撮ってなけりゃ何も起こらなかったのと同じ」と言い、ゾンビになった友達で冒頭の撮影シーンを再現するなど、監督の歪みっぷりの描写が半端ない。彼が“Shoot me.”(「撃ってくれ/撮ってくれ」)と言いながら死ぬのは必然。
鑑賞日:04月25日 監督:ジョージ・A・ロメロ

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