『猿の惑星』と『猿の惑星 創世記』の比較

テレビ東京午後のロードショーで『猿の惑星』(以下、惑星)が放映されていたので、久々に観ました。
(Dir. Franklin James Schaffner, Planet of the Apes, United States, 1968.)

この前観た『猿の惑星 創世記』(以下、『創世記』)の原型となったであろう要素が散見されたので、二作を比較しリンクさせるためのエントリです。以下、箇条書きで羅列。両方の作品の結末に触れていますので、未見の方は読まない方がいいと思います。

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・『惑星』序盤、ゴリラの人間狩りシーンで、人間は網で捕まえられる。『創世記』冒頭にも、ジャングルでシーザーの母親が網で捕えられる場面がある。(この点は破壊屋さんの『猿の惑星』オフ会で、rec81さんから指摘がありました。)

ジーラがテイラーを見て「ブライト・アイズ」と名づけるが、シーザーの母親も研究所では「ブライト・アイズ」と呼ばれている。

・ゴリラに捕えられ牢獄に収監されるテイラー。そこの看守の名前がジュリアス。『創世記』の主人公はシーザーで、二つの名前を合わせると「ジュリアス・シーザー」となる。ジュリアスがテイラーにホースで水をかけるシーンがあるが、これは『創世記』で霊長類保護施設の飼育員のドッジ(トム・フェルトン)もシーザーに行っていた。

・同じ動物の集団の中で一人だけ知的という関係性が一致。『惑星』におけるテイラーと人間の関係と、『創世記』におけるシーザーと猿の関係はパラレルである。猿社会の知識階級であるコーネリアスジーラのカップルと、人間社会の知識階級であるウィル(ジェームズ・フランコ)、キャロライン(フリーダ・ピントー)のカップルとシーザーの関係もパラレル。

・『創世記』に一匹だけ手話のできるオランウータンでモーリスというのが出てくるが、『惑星』で知識階級の頂点にいるオランウータンのザイアス博士を演じたのはモーリス・エヴァンズという俳優。

・『惑星』には、テイラーが何度も革の首輪をかけられるシーンがある。『創世記』においてシーザーが蜂起する原因の一つも、ウィルが彼を「家族」と言いながら、首に首輪をかけペット扱いすることが不満だったからというものである。

・『惑星』にはオランウータンの法廷で、「臭いから」ということでテイラーのまとっていた布キレが剥ぎ取られ、彼が全裸になるシーンがある。『創世記』にもシーザーの服が剥ぎ取られるシーンがある。

・『惑星』で猿が捕まえた人間をキープしておく木の枝を編んで作った半円状の檻が、『創世記』に出てくるドーム状の屋根を持つ霊長類保護施設に形が類似している。

・『惑星』終盤、ザイアス博士の「そんなに進化していたならば、なぜ人間は生き残れなかったんだ?」という問いに、テイラーが「伝染病とか災害で全滅したんだろう」と当てずっぽうで答えている。しかしこの答えは、『創世記』の結末につながる。

・最後、テイラーが自由の女神を見て"I'm back. I'm home."と言うが、『創世記』のシーザーの最後の言葉も"Caesar is home."というもの。


以上、『猿の惑星』と『猿の惑星 創世記』について、今回第一作目を再見して気付いた類似点とつながりのメモでした。


猿の惑星』と『猿の惑星 創世記』の比較を行っているブログ・エントリ:

猿の惑星』シリーズ全体を概観するようなエントリ。凄い情報量。私が思いっきりドヤ顔で書いたモーリス・エヴァンズについてまで、サラっと指摘している。→小覇王の徒然はてな別館 「猿の惑星 創世記」の黙示録

テイラーとシーザーの痣の類似にまでは気付かなかった!→THE KAWASAKI CHAINSAW MASSACRE 猿と人、表裏一体 - 『猿の惑星:創世記』


追記:『猿の惑星』とシリーズの『新・猿の惑星』について:

・『惑星』と『新・猿の惑星』のつながり。『惑星』の冒頭で、テイラーがハスライン博士の提唱した時間の理論を話すシーンがある。『新・猿の惑星』ではハスライン博士その人が出てきて、猿による支配を危険視して1970年代の地球にやってきたコーネリアスジーラを迫害する。『惑星』で人間の支配を危惧するザイアス博士と同じ役割を、『新・猿の惑星』ではハスライン博士が果たしている。


・『惑星』と『新・猿の惑星』の比較。「ママ」という言葉について。『惑星』で禁止区域の洞窟に入った一堂が、「ママ」という単語を発する人形を見て、「人間が喋る人形を猿が作るだろうか?」ということで、"昔、この惑星の人間が進化していた証拠"となる(※この時点ではテイラーはこの惑星がどこか気付いていない。ということは、ただ地球の人類と同型の人間がいる惑星だと思っているわけだ…)。「ママ」という単語は、『新・猿の惑星』でコーネリアスジーラの息子、マイロー(のちのシーザー)が生まれて初めて発する単語と同じである。このあたりにもつながりが感じられる。