2012年11月に観た映画・DVD

11月の鑑賞メーター
観たビデオの数:7本
観た鑑賞時間:676分

スペース・バンパイアスペース・バンパイア
1985年英。原題"Lifeforce"。Colin Wilsonの小説"The Space Vampire"(1976)の映画化。マンシーニの勇壮な音楽が耳に残る。宇宙船チャーチルが眠っている異星人男女3人を地球へ連れ帰るが、到着時乗組員は全員死亡し、脱出用ポッドが一機なくなっていた。やがて女が目を覚まし、人間の精気を吸い始める。人間が干涸びて行く過程の特殊効果が凄く、トビー・フーパーが持つ人間の面の皮へのこだわりを感じた。吸精鬼に乗り移られた精神病院院長と宇宙船船長カールセンのキスシーンがハイライト。
鑑賞日:11月01日 監督:トビー・フーパー

パラノーマル・アクティビティ4 [DVD]パラノーマル・アクティビティ4 [DVD]
2012年米。2011年11月、母親急病のため隣家の男の子を預かることとなった一家が経験する恐怖が、長女アレックスの視点で描かれる。高速シーツ取り、寝ずの番などおなじみの展開が続くが、モキュメンタリーの体裁を捨て、どんどん劇映画の形式に接近。あまり親しくない隣人と話す際にスマホを構えている点など気になった。最も怖かったのは、アレックスの母親がよそ見をしながら包丁を使っているシーン。シリーズの「味わいの薄さ」とか「観ることへの心理的ハードルの低さ」は、広い観客層へ門戸を開くために大事なことなのかもしれない。
鑑賞日:11月01日 監督:ヘンリー・ジュースト 、 アリエル・シュルマン

チキンとプラム あるバイオリン弾き、最後の夢チキンとプラム あるバイオリン弾き、最後の夢
2011年仏独ベルギー。大切なヴァイオリンを妻に壊され死ぬことにしたナセル・アリ最期の8日間を描く。目の前の家族も富も名声も捨て、音楽を研ぎすませることだけに力を注ぐ彼が、なぜそこまで音楽に命をかけるようになったのかは、結末で分かる。私の目には彼が「満たされない渇望のために音楽を利用している」ようにしか見えなかった。去年の『ブラックスワン』における、「芸術のために自分を投げ打つ」芸術家の物語を観た後では、少し白々しく見えてしまったことは否めない。肝心の音楽があまりフィーチャーされていなかったのも残念。
鑑賞日:11月01日 監督:マルジャン・サトラピ 、 ヴァンサン・パロノー

潜水服は蝶の夢を見る 特別版【初回限定生産】 [DVD]潜水服は蝶の夢を見る 特別版【初回限定生産】 [DVD]
2007年仏米。脳溢血により、ロックトイン・シンドロームとなってしまったELLE誌編集長ジャン・ドー。左目のまばたきで周囲とコミュニケーションを取り、自伝を書き上げる。「あなたの中に残った人間性にしがみつけば、きっと生き抜ける」、「想像力と記憶で、ぼくは潜水服から抜け出せる」といった台詞が印象に残る。回想シーンにおいて輝かしい瞬間に一緒にいるのは愛人の方で、献身的に世話をする妻を「子供の母親」と吐き捨て愛人への優しい言葉を伝えさせる残酷さ。それも含めて「人間性」なのだろうか。氷河の逆回し映像に圧倒された。
鑑賞日:11月02日 監督:ジュリアン・シュナーベル

ペルセポリス [DVD]ペルセポリス [DVD]
2007年仏。マルジャン・サトラピ原作を本人がアニメ化。凄い密度の自伝映画。進歩的思想を持つ父母と祖母に育てられた少女マルジが大人の女性になるまでを描く。「いつも毅然として、自分に公明正大でいるんだよ」など、おばあさんの台詞がどれも素晴らしい。1978年テヘラン→1982年テヘラン→1986年ウィーン(留学)→1992年テヘランという時間軸。国家が国民(特に女性)への統制を強めていく度合いが劇中の女性のスカーフからマグナエへの移行により表現されている。年代ごとの主人公のずるさ・愚かさもきちんと描いている。
鑑賞日:11月04日 監督:

ボディ・スナッチャー/恐怖の街 [DVD]ボディ・スナッチャー/恐怖の街 [DVD]
巨大サヤから人間が生まれてくる("Pod people"!)ビジュアルが素敵。人々から突然温かみが消え、感情がなくなり、冷たい機械のような愛のない存在に入れ替わる。人間の複製を植物から作るという発想が面白く、大量生産の時代を思わせる。「悩みのない世界」を主人公は「選択肢のない世界だ」と言うのだが、よく指摘されるように当時の米国における共産圏への恐怖を表しているのだろうか。カラー作品だが、後から色が付け加えられているのか、主人公のメイクが凄く蝋人形のようで、入れ替わらなくとも十分作り物に見えたのが皮肉だ。
鑑賞日:11月15日 監督:ドン・シーゲル

ヴァンパイア 黒の十字架【字幕版】ヴァンパイア 黒の十字架【字幕版】
2001年。原題"Vampires: Los Muertos"(Day of the Dead)。『ヴァンパイア 最期の聖戦』(ジョン・カーペンター監督。未見)の続編。ヴァン・ヘルシング・グループから金を貰っているヴァンパイア・ハンターのデレク(ジョン・ボンジョヴィ…)が、メキシコで半分吸血鬼の少女、同業者のハンターや神父見習いと一緒に、女性吸血鬼と戦う。緊張感があまりなく、アクションシーンがぎこちない。吸血鬼が皆貧相なのも残念だ。黒の十字架というマクガフィンがあまりうまく機能していない。全体的に薄味。
鑑賞日:11月16日 監督:トミー・リー・ウォーレス

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