2012年11月に読んだ本

2012年11月の読書メーター
読んだ本の数:5冊
読んだページ数:1035ページ
ナイス数:13ナイス

John Carpenter (Creative Essentials)John Carpenter (Creative Essentials)感想
2011年初版。反権威主義、簡潔さ、サウンド・デザインを手がけていること、作家主義が許される監督であることの指摘から始まり、各作品の粗筋紹介、評価という構成。ハワード・ホークスとの比較頻出。巻末に製作で関わった作品、リメイク作の紹介もあり。全作を網羅的に並べたもので、より深い批評や作品の成立・製作過程を知りたい層には不向き。書誌情報も少ないので、本当に入門者のための概説という感じ。それにしても、引用されていた質疑応答「どの作品をリメイクされたいですか?」「最も金が入ってくるやつだね」(144)正直すぎ…。
読了日:11月11日 著者:Colin Odell,Michelle Le Blanc

恐怖の詩学 ジョン・カーペンター―人間は悪魔にも聖人にもなるんだ (映画作家が自身を語る)恐怖の詩学 ジョン・カーペンター―人間は悪魔にも聖人にもなるんだ (映画作家が自身を語る)感想
2004年初版。原題"John Carpenter: the Prince of Darkness"。著者による本人インタヴューからなる。家庭環境、USCフィルムコースで受けた教育、初期作品の話から、主要作品についてのインタヴューを経て、2001年の『ゴースト・オブ・マーズ』までを扱う。『ダーク・スター』のキャッチコピー=「宇宙でゴドーを待ちながら」。(『要塞警察』について)「(少女が殺される)場面にほんとに動揺してしまった観客は、わたしを憎んだ。監督が命をかけるのは、まさにこういうときだよ」(96)。
読了日:11月12日 著者:

ホラーの逆襲―ジョン・カーペンターと絶対恐怖監督たちホラーの逆襲―ジョン・カーペンターと絶対恐怖監督たち感想
1998年初版。副題にあるとおり、カーペンター賛美の檄文から始まる。「具体的に見せる演出より、[...]シネスコの画面と音楽」(21)、「フレームの選択もキャラクターの描き方」も「様式美」(27)という指摘あり。そのあとロメロ、トビー・フーパーウェス・クレイヴン、アルジェントの話が続く。少数ながら日本の怪奇映画も扱っている。観たくなった映画→『ペンデュラム』、『血の魔術師』、『トゥインクルトゥインクル・キラー・ケイン』、『ラビッド』、『死霊の罠』、『犬神の悪霊』、『地獄』、『怪奇!呪いの生体実験』
読了日:11月12日 著者:

They Live (Deep Focus)They Live (Deep Focus)感想
作家のJonathan Lethemが、映画"They Live"をシーン単位で詳しく解説した本。TV=「人生はどこかほかの場所にあると感じさせる」欠乏喚起装置、土木作業員のネイダ=大工だったキリスト説、西部劇映画『捜索者』との類似、シェパード・フェアリーのグラフィティへの影響、ホフマン・レンズの由来と80年代におけるサングラスの意味、『アルファヴィル』、『THX1138』との類似性、スクリーンに写りこんだ四つの現実の層、「家畜」と同じ服装をし、同じ生活を送るグールの動機の不明さ、主人公のミソジニーなど。
読了日:11月23日 著者:Jonathan Lethem

芸術の陰謀―消費社会と現代アート芸術の陰謀―消費社会と現代アート感想
無内容・無価値さを価値として提供する現代アートへの批判。「現実を横取りする[芸術が表象することをやめて、現実そのもとになる]ことで芸術自体を無限にリサイクルするという戦略に賭けるような芸術は、重要だといえるだろうか? [...]つまり、価値やイデオロギーとしてはとるにたらない、凡庸で、ゴミのような現実を横取りするのである」(10-11)、「世界中のギャラリーは、最近とくに芸術の廃棄物(デシェ)を取り引きするようになっている」、「芸術は陰謀であり、「インサイダー取引」でさえある」(87)など、挑発的。
読了日:11月23日 著者:ジャン・ボードリヤール

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