2012年12月に読んだ本

2012年12月の読書メーター
読んだ本の数:3冊
読んだページ数:1058ページ
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オフシーズン (扶桑社ミステリー)オフシーズン (扶桑社ミステリー)感想
都会からやってきた男女のグループが、メイン州海岸沿いの田舎町で、食人族に襲われる。前半は屋根裏に積み上げた骨、ポーチにへの排便、灯台守の話などで不穏な予兆を積み重ね、後半は畳み掛けるように凄惨な描写が続く。都会人達が戦ううちに闘争本能をむき出しにするのが面白い。大人しい女性が強靭に生き抜き、ワイルドで本能的に見えた女性が恐怖で骨抜きになる展開も一筋縄ではいかない。このような経験のあとでは世界が違って見えることを示す最後の一行も秀逸。執筆に参照されたという『荒野で生きのびるための方法』を読んでみたい。
読了日:12月1日 著者:ジャック ケッチャム

襲撃者の夜 (扶桑社ミステリー)襲撃者の夜 (扶桑社ミステリー)感想
『オフシーズン』続編。裕福な白人が田舎の別荘にやってきて襲われるホラー第二弾。サイコパスな都会人のDV夫も登場し、下衆な本性で物語にツイストを加える。ウーマン、ガール、ファースト・ストールン、セカンド・ストールン、カウと、食人族のキャラクター描写がより詳細に。ニンジャタートルズ(ラディカル!)やアメリカン・ニューシネマ、黒澤明監督への言及もあり、前作よりもサブカル要素が増えた印象。「一見したところ無力な人々が、自分でも思ってもいなかった力を発揮するというテーマ」(364)は、ケッチャムのお気に入りらしい。
読了日:12月2日 著者:ジャック ケッチャム

ザ・ウーマン (扶桑社ミステリー)ザ・ウーマン (扶桑社ミステリー)感想
食人族の生き残り「ウーマン」が、裕福なサイコパスの白人男性を首長とする一家に囚われ「教化」される。映画ではクリスがペグに何をしたのか、ベルが気づいているかどうか判然としなかったが、この小説では「黙って見ていた」(266)ことになっており、暗澹たる気分に。後にウーマンに気に入られるダーリンが、ジンジャーブレッドマン・クッキーが好きなのは興味深い。ウーマン視点の語りには「ウーマン」、一家の語りでは「女」と区別している点に訳の工夫を感じた。同時収録の短編「カウ」は、より端的で恐ろしい「人間の家畜化」の話である。
読了日:12月3日 著者:ジャック・ケッチャム,ラッキー・マッキー

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