2011年6月に読んだ本


6月の読書メーター
読んだ本の数:5冊
読んだページ数:1112ページ


ジョニーは戦場へ行った (角川文庫)ジョニーは戦場へ行った (角川文庫)
第一次世界大戦により、四肢と知覚を失った主人公が、意識の流れだけで過去の人生や戦場で起こったことを振り返る。p.133-135辺りの「名誉」や「栄光」といった言葉に対する憎しみは、ヘミングウェイの『武器よさらば』の影響を受けているのかと思ったら、訳者の信太英男さんがヘミングウェイやフォークナーといったロスト・ジェネレーションの作家に影響を受けていると書いていた(あとがき, 275)。圧巻は最後のモールス信号による医者との対話場面。自ら見世物となることを望むが、外界との接触が許されず隠蔽されるのが恐ろしい。
読了日:06月02日 著者:ドルトン・トランボ


月刊コミックアーススター 2011年 06月号 [雑誌]月刊コミックアーススター 2011年 06月号 [雑誌]
友人から誕生日プレゼントに貰い読んだ。対象読者層は男性だと思われるが、主人公に女性が多いのが意外。声優、女子プロ、料理、チャリオタ、お嬢様と執事、化け物等、「女の子がこんなことしてたら(なってたら)いいな」という題材がすべて網羅されている。『トロン』の漫画版が掲載されていた。
読了日:06月05日 著者:


The Book―jojo’s bizarre adventure 4th another dayThe Book―jojo’s bizarre adventure 4th another day
漫画には登場しない"The Book"というスタンドを持つ蓮見琢馬を物語をメインに据えたことにより成功していると思う。ビルの隙間で生きる女性の物語はそれ自体の強度を獲得している。スタンド名が「書物」という名前であることをすべての軸としているかのように、図書館が重要な舞台となり、漫画のノベライズについての言及や、「本に印刷されてはならない言葉を言うな」という台詞まであるのがメタ的で面白い(この"The Book"が読者に読まれることに意識的である点で)。父親と同じ行為で復讐する主人公にはぞっとした。
読了日:06月19日 著者:乙一


荒木飛呂彦の奇妙なホラー映画論 (集英社新書)荒木飛呂彦の奇妙なホラー映画論 (集英社新書)
「『13日の金曜日は恐怖と癒しを同時に与える」、「死者を敬うな、ゾンビを殺せ」など、ホラー映画の本質に関して鋭い指摘がいくつもあった。以前から『ジョジョの奇妙な冒険』はイタリアのホラー映画のようだと思っていたが、この本でルチオ・フルチの『サンゲリア』やダリオ・アルジェントの『サスペリア』の名前を挙げ、イタリア文化の魅力を語っていたので合点が行った。「田舎に行ったら襲われた」「ビザール殺人鬼映画」など、言葉のチョイスがユーモラス。なんどでも読み返したい面白さ。
読了日:06月24日 著者:荒木 飛呂彦


東大生の論理― 「理性」をめぐる教室東大生の論理― 「理性」をめぐる教室
東大に非常勤講師として出講した著者が、記号論理学の授業風景から、現在の東大生像に迫った本。東大独特の「進振り」といった制度や、「成績評価の内訳に対する大学からの要請」についても触れている。授業で講じられた論理学の基礎を踏まえつつ、それに対する東大生のリアクションを紹介するという体裁なので、論理学の入門書としても使える。好きな女の子が新興宗教に入信寸前の学生からの恋愛相談など、論理学なのに使われている例が面白く、とっつきやすい。
読了日:06月30日 著者:高橋 昌一郎

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