2012年1月に読んだ本

1月の読書メーター
読んだ本の数:7冊
読んだページ数:1427ページ
ナイス数:7ナイス

ナイン・ストーリーズ (新潮文庫)ナイン・ストーリーズ (新潮文庫)
饒舌な一人称語りだった『ライ麦畑でつかまえて』と対比をなすかのように、登場人物の内面描写は少なく、結末でいきなり自殺をしたり(『バナナフィッシュにうってつけの日』)、恋に落ちていたり(『対エスキモー戦争の前夜』)する。物語がどういう方向へ向かうのか予想がつかない。印象に残ったのは、『テディ』のタイトル役の天才少年ぶり。「若きトロイの戦士のように颯爽と」日記を書きまくり、ヴェーダ哲学をたしなみ、俳句を引用し、自らを「霊的に進んだ人間」と言う。結末、テディは本当に妹によりプールに突き落とされたのだろうか。
読了日:01月10日 著者:サリンジャー

Breakfast at Tiffany's (Penguin Essentials)Breakfast at Tiffany's (Penguin Essentials)
"Breakfast at Tiffany's","House of Flowers", "A Diamond Guitar", "A Christmas Memory"の4編収録。表題作ではヒロインが'a real phony'(本物のインチキ)と矛盾語法で呼ばれるが、男性に話を合わせるために競馬と野球についての本を揃え、彼らの話題を分析し、意中の男の出身国ブラジルについてリサーチするホリーは勤勉な女性である。ドックが彼女を"pretty woman"と呼ぶのは、「自分が女にした」という所有欲の表れか。
読了日:01月18日 著者:Truman Capote

ウィトゲンシュタイン (講談社学術文庫 (1323))ウィトゲンシュタイン (講談社学術文庫 (1323))
ウィトゲンシュタインの入門書。生涯、思想、著作、波紋の順番に説明される。ウィーン学団バートランド・ラッセル、G. E. ムーアとの関わりなど。「語りえないものごとへの傾倒」(162-3)や、「言語の限界を超越する絶対的な価値」(165-6)への志向、「『言語批判』を介して『言い得ざるものごと』を見通す」(168-9)というような思考のあり方が、個人的に興味深かった。ウィトゲンシュタインの思想を説明するに当たり、命題関数を使わずにすべて言葉で説明してくれているので、文学畑の人間にも読みやすい。
読了日:01月30日 著者:藤本 隆志

聖書抄ーThe Bible聖書抄ーThe Bible
旧・新約聖書の双方から選び出されたテキスト。本文119ページに対し、81ページにわたる丁寧な注が付く。著者、編者がカトリックなので、注釈はカトリックの信仰に立脚。1. 世界の創造と楽園追放、2. モーゼ、3.ダビデ、4. ユディトのアッシリア人への勝利、5. エゼキエルの幻視、6. イエスと母マリア、7. 洗礼者ヨハネと最初の使徒たち、8.イエスの教えと奇跡、9. 受難と復活、10. 聖霊の来訪、11. 使徒パウロと彼の手紙、12. 黙示録の12章に分かれる。挿絵としてブレイク等の宗教画も載っている。
読了日:01月30日 著者:生地竹郎、高田恵利子

小学校学習指導要領解説 外国語活動編小学校学習指導要領解説 外国語活動編
小学校学習指導要領第4章「外国語活動」の趣旨・内容解説。【重要な点】4技能の中で、音声によるコミュニケーションを重視し、聞くこと、話すことを中心に置く。中学校文法の前倒しではなく、あくまでも体験的に外国の文化やその言語の音声や表現に慣れ親しむ。「外国語を用いてコミュニケーションを図る楽しさ」を体験させる。英語の歌やチャンツ、CD・DVDなどの視聴覚教材、図画工作科の作品のショー・アンド・テル(発表活動)の活用。形式的にならないこと。児童が外国語を初めて学習する段階(第5、第6学年)であるのに配慮すること。
読了日:01月31日 著者:文部科学省,文科省=

乙女日和乙女日和
関東近郊在住女子向け休日ガイド。洋館、噴水、名画座、ホテル、美術館、蚤の市など、この本を参考に渡り歩けば数年は退屈することがないだろう。大量の固有名詞が出てくるが、物の所有よりも厳選された体験への志向を惹起する文体である。「ホテル・ライフを好む人は華やかというより実用的で孤独に見える。大事なものだけトランクに詰めて、ミニマルに暮らすことは私の憧れだ」という作者の思想の反映かも。紹介されているのは、時間と手間を惜しまなければ誰にでも行けそうな場所ばかりなのがいい(ちょっと値段の張りそうなホテルもあるが)。
読了日:01月31日 著者:山崎 まどか

オードリーとフランソワーズ?乙女カルチャー入門オードリーとフランソワーズ?乙女カルチャー入門
「乙女の定番カタログ」(14)。乙女カルチャーの古典を網羅的に並べている。新しいものよりも、「あまりにポピュラーなために」(178)手に取ってもらえないもの(オードリー・ヘプバーンの映画等)を扱っている。プレッピー女子、ゴス、夢見がち、ストイック等、乙女の射程範囲が意外と広いことが分かった(確かに文科系女子と言うよりも乙女の方がいい)。紹介される本や映画の粗筋を読んでいるだけでも結構楽しい。【気になった作品】尾崎翠『第七感界彷徨』、ピエール・ド・マンディアルグ『海の百合』、アニエス・ヴェルダ監督『幸福』。
読了日:01月31日 著者:山崎 まどか

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