2012年1月に観た映画・DVD

1月の鑑賞メーター
観たビデオの数:9本
観た鑑賞時間:1223分

ミッション:インポッシブル ゴースト・プロトコルミッション:インポッシブル ゴースト・プロトコル
ブログに感想書きました。→ 「"I got a hunch."-『ミッション:インポッシブル ゴースト・プロトコル』感想」 http://d.hatena.ne.jp/Stroszek/20120107/1325913860
鑑賞日:01月07日 監督:ブラッド・バード

感染 プレミアム・エディション感染 プレミアム・エディション
ほぼワンシチュエーションのホラー映画で、救急病院内で事件が起こる(ロケは道路を救急車が走っている場面のみ)。謎のミイラ男、血が緑になる奇病、どんどん頭がおかしくなる病院関係者。一緒に観ていた友人によると、「患者に対して暴言を吐いたり患者を大事にしないようなことを言うと、病に感染する仕組み」らしい。非常口、林檎、血など、緑が赤に、赤が緑に見え始めるのに、緑の手術着が赤に見えるカットがなかったのが惜しい。佐藤浩市高嶋政伸ら、俳優たちが楽しそうに演じている。特に後者の感染シーンは演技がオーバーすぎて笑う。
鑑賞日:01月08日 監督:落合正幸

八つ墓村 [DVD]八つ墓村 [DVD]
野村芳太郎監督、橋本忍脚本。八つ墓村の地主の息子寺田辰弥が、28年ぶりに訪ねてきた挙句目の前で突然死した祖父の葬式で村を訪れたことから次々と起こる惨劇。それには戦国時代、村人に殺された八人の落武者の怨念が深く関わっていた・・・。8000kmに及ぶロケハンで見つけた日本各地の自然が美しい。何人かは死ぬ前から死人の顔色をしている、鍾乳洞に死体を2人分放置、「出てこない春代さんも同じく犠牲になったんだと思う」という渥美清演ずる金田一の冷静さなど、いろいろと面白い。寺の過去帳で犯人すら知らない因縁が明らかになる。
鑑賞日:01月09日 監督:野村芳太郎

エリート・スクワッド [DVD]エリート・スクワッド [DVD]
「20世紀の社会心理学の教訓は、行動は個人の特徴ではなく状況が作るということだ」(社会心理学者スタンリー・ミルグラム)。なぜこれをエピグラムとして挙げるのか分からなかったが、結末を見て納得。ブラジルのエリート特殊警察部隊ボッペ(BOPE)隊長の後継者選びと、マチアスという新米警察官が職責に目覚めるまでを交錯させて描く。ドキュメンタリー風の揺れる手持ちカメラで撮られている。警察を敵視するインテリ、理念なきゲリラ組織と手を結び麻薬を享受するNGO、犯罪の犠牲となるスラム街の貧困層など、描写が多層的。警察内部の腐敗描写が凄い。「休暇を申し出た部下に賄賂を要求する上司」、「管区内の犯罪発生率を下げるために、遺体を別の管区に動かす司令官」、「部下からの必要な備品の請求をたらい回しにし、『司令官のバイクの整備を最優先にするんだ』と命令する司令官」。フーコーの監獄論がインテリの安易な警察批判のために利用される様を描いていて面白かった。「システム」や「ゆがんだ制度」という言葉を持ち出し権力を批判したがるのは、どこの国の大学人も一緒だ(自戒)。BOPEの新人選抜訓練のとき、「苦痛と屈辱で型にはめる」という隊長のモノローグがあって、すさまじい訓練が描かれる。新人が辞めるときには自己申告。それまで「辞めろ」「諦めろ」「お前には(職務に対する)誠実さが足りない」と言われ、ふるい落とされていく。辞めたときは、なんと自分の墓標を立てさせられる。物凄く暗示的。
鑑賞日:01月15日 監督:ジョゼ・パジーリャ

風と共に去りぬ [Blu-ray]風と共に去りぬ [Blu-ray]
"Margarett Mitchell's Story of the Old South"という序詞が表す通り、「古き良き南部」という立場で物語が展開していく。南北戦争について字幕による状況説明の時点で北軍を「侵略者」("Invader")と言っているので、原作も「古き良き南部」を肯定する視点で描かれているのだろう。「風と共に」去ったものの一つに、南部男の騎士道精神も含まれる。「南部の男は自分の女が侮辱されるのを許さない」と、スカーレットが襲われそうになった貧民窟をアシュリーと彼女の二番目の夫フランクが焼打ちに行くのを、「騎士道精神の発露」のように描いているのに戦慄した。ベストシーンはやはり畑の野菜を貪り食ったあと、スカーレットが「二度と飢えない」と誓う場面。プリシーという若い黒人女中の描き方が引っ掛かる。「助産婦経験あります!」と宣言するのに実はなかったり、スカーレットに医者を呼びに行くよう送り出されたのに結局医者を連れて来ず歌を歌いながら戻ったり。フォークナー的南部の闇を感じさせるキャラクター。「天使のよう」と形容されるメラニーは、スカーレットやアシュリーの気持ちなどぜんぶお見通しの上で、「彼らのあいだにはなんら怪しいところはない」と、自分に都合のよい嘘を信じ続けていたのではないか。)スカーレットが自宅に侵入してきた北軍兵を撃ち殺した後、銃声を聞いて驚いた外の家族に対しメラニーが、「銃の手入れをしているうちに暴発したのよ」と咄嗟に嘘をつき、スカーレットが"What a cool liar"と驚くシーンがある。それだけでメラニーが「潜在的嘘つき」というのは弱いかもしれないけど。アシュリーもメラニーも幻想を信じる人々のように思えた。スカーレットというのは、他人の言葉の呪縛に囚われてしまう人なんだなと思った。父、アシュリー、レット、そして最後にメラニー。最後も、タラという土地について男たちが言った台詞が彼女を呪縛する様子が描かれているように思えた。しかし最後、アシュリーが本当にメラニーだけを愛していたのを知り、「どうして曖昧なことばで私を縛り続けていたの? 私は幻を愛し続けていたのね」と自覚する場面でちょっとその呪縛からは解かれたのだと思った。"I'll think about it tomorrow."と、細かいことは考えずに場当たり的に行動してしまう人はあとで苦労する、という話としても観れる。
鑑賞日:01月15日 監督:

ミレニアム2 火と戯れる女 [DVD]ミレニアム2 火と戯れる女 [DVD]
前作から一年後の話。売春組織を取材したカップルが死ぬ。その背後には、リスベットの過去に関わる秘密が隠されていた。・・・リスベットの恋人が彼女への誕生日プレゼントをずっと持ち歩いていたのかと思うとグっとくる。買春男が宙吊りにされる構図や、終盤復讐する側から復讐される側に視点が切り替わるところなど、『アイ・スピット・オン・ユア・グレイブ』(リメイク版)に似ているが、年代的にはこちらが先。今回リスベットは終始ジャージやスウェット、ギークっぽいボサボサの髪型だが、買春男を拷問するときだけは白塗りメイクになる。
鑑賞日:01月18日 監督:ダニエル・アルフレッドソン

ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士 [DVD]ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士 [DVD]
リスベットの過去がついに明らかになる。終盤は「12歳で公安警察により無能力者とされてしまった彼女が、成人として(法的に)認められるか」がテーマ。公判に向かうときのヒロインがモヒカンにチェーン、ピアスだらけなのは、社会から耳を傾けられず、話をしても信用されないばかりか、地位の高いスーツ姿の男性たちに陥れられ続けてきた彼女の、抵抗のマニフェストなのだろう。彼女の敵は父権を守ろうとする旧体制の残党一味(全員男性)である一方、味方は妊婦の弁護士と、かなりあからさまな対比あり。映画全体の勢いはなく、尻すぼみな印象。
鑑賞日:01月18日 監督:ダニエル・アルフレッドソン

ブレインデッド [DVD]ブレインデッド [DVD]
1992年、ニュージーランド発のドタバタゾンビコメディ。"Your mother ate my dog!" "Not all of it."のやりとり象徴されるオトボケ感。物語を急かすかのようなテンポのよい音楽、主人公カップルの大げさな表情はサイレント映画、クリーチャーの動きはレイ・ハリーハウゼンを思わせる。ゾンビ同士のセックス、ゾンビの出産、親がゾンビになったらモラトリアムの子供はどうするかなど。後半の血糊と臓物まみれのピタゴラスイッチな立ち回りは、創意工夫に溢れている。独身男性の母性や結婚への恐怖も。
鑑賞日:01月21日 監督:ピーター・ジャクソン

ハムナプトラ3 呪われた皇帝の秘宝 リミテッド・バージョン [DVD]ハムナプトラ3 呪われた皇帝の秘宝 リミテッド・バージョン [DVD]
秘境探検シリーズ第3段。と言っても、舞台となっているはずの中国の風景が堪能できるわけではなく、どこまでもハリウッドのセットっぽい。ジェット・リーが不老不死を企む皇帝、ミシェル・ヨーが女魔術師、アンソニー・ウォンが現代の中国軍の将軍という豪華キャストだが、残念ながらケミストリーは起こらず、リーにいたっては中盤ほぼ泥人形姿。ブレンダン・フレイザー演じる主人公は、金をばらまき現地人からトラックを買う、「大きいことはいいことだ」と銃の大きさを息子と競うなど、あたかも考えることを禁じられているかのような冒険家。
鑑賞日:01月31日 監督:ロブ・コーエン

鑑賞メーター