2012年10月に読んだ本

2012年10月の読書メーター
読んだ本の数:21冊
読んだページ数:1093ページ
ナイス数:12ナイス

Untitled.: Street Art in the Counter CultureUntitled.: Street Art in the Counter Culture感想
「上質なアートと写真に、辛辣で非常に主観的なコメンタリ―を付けて、あなたが21世紀の日常生活という名のゲリラ戦を生き抜くのを手助けする」ことを目的とする出版社Carpet Bombing Cultureが出したグラフィティ集。何人もの撮影者から投稿されたグラフィティの写真に、編集者が「現代社会に対する痛烈な批判」コメントをつける形で、実際に作品を制作したグラフィティ・ライターやストリート・アーティストの名前は巻末についているので参照するには不便。2008年のThe Cans Festivalの写真あり。
読了日:10月1日 著者:

映画秘宝ディレクターズ・ファイル ジョン・カーペンター映画秘宝ディレクターズ・ファイル ジョン・カーペンター感想
2011年初版。映画雑誌やファンジンに発表された映画評や監督本人へのインタビューをまとめている。ポスター集や作品分析が充実(特にラブクラフトと『マウス・オブ・マッドネス』の関連を論じた箇所が白眉)。西部劇からの影響が強いことを本書で知る。黒沢清監督がカーペンターはジョン・フォードやホークスに続く王道と発言しているのが印象に残る。何度か本文で脚本が引用されているが、巻末参考資料欄に典拠が載っていないのが残念。「映画監督にメッセージがあれば、ボードを持って見せればいい」という黒沢明監督の言葉を引用するJ.C。
読了日:10月6日 著者:

The Fish Book (Look-Look)The Fish Book (Look-Look)感想
英語絵本。海に住む魚の特徴を見開きで対比。色合い、形、大小、フレンドリーさ、住んでいる場所(海底か波間か)、移動速度、触手があるかないか、甲羅や殻を持っているか、それとも軟体か、それぞれの違いを述べた上で、「一つだけ共通点がある。みんな海に住んでいることだと」と結ぶ。絵本の形からしカクレクマノミで、非常に可愛らしい。魚の絵の横には名称が書いてあるので、児童に日本語の名前を当てさせてから英語の名前をリピートさせるのも、長期記憶の獲得には役に立つかもしれない。海洋生物の多様性を知るためにも役に立ちそう。
読了日:10月9日 著者:Christopher Angelfish

Fancy Nancy: Let's Get Fancy Together!Fancy Nancy: Let's Get Fancy Together!感想
非常にカラフルなポップアップ型絵本。日常生活を可愛く飾るためのヒントがたくさん('It's fun to make plain things fancy!')。手紙、髪型、サッカー(!)、ペット、ファンシーパーティ招待状など、毎日の暮らしと自分を彩る様々な方法を紹介。絵本自体にビーズやシール、眼鏡、団扇など、可愛い付録が盛りだくさんに付いている(「とっても魅惑的な救急箱」)。「リボンを手首に付け、蝶々のヘアクリップを頭に付けるだけで、ほーら、こんなにファンシー」。色合はショッキングピンクパステルカラー。
読了日:10月9日 著者:Jane O\'connor
The Good Luck Clover (First Start Easy Reader)The Good Luck Clover (First Start Easy Reader)感想
"A First-Start Easy Reader"シリーズ。61単語しか含まず同じ単語を反復するので、語彙認識能力を発達させ、読書への関心を促す。絵を描くのが好きな少年パトリックの物語。「幸運のクローバー」をなくし、絵が描けなくなったと思いこみ、友人ティムとキムに手伝ってもらいながら探す。彼らの「クローバーがなくても君は描ける」という言葉に励まされ、大切なのは物ではなく支えてくれる友人たちだと気づく。助動詞"can"や、「探す」という意味での"look"、前置詞"without"の使い方が学べる。
読了日:10月9日 著者:Janet Craig

Miss Nelson Is Missing!Miss Nelson Is Missing!感想
優しいネルソン先生の言うことを聞かない子供たち。ある日突然先生が消えてしまい、やってきたのは魔女のようなスワンプ先生。詰めこみ教育を行い、私語厳禁でお話の時間も設けてはくれない。子供達が反省して意気消沈していた頃に、ネルソン先生が戻ってくる。「思いやり」や「感謝の気持ち」を持たないことの愚かさを示すための物語、とあるが大人が理由も言わずに消えたり戻ったり、金髪=優しい、黒髪=陰気といったステレオタイプ表象は果たして教育上構わないのか。スワンプは外見ではなく人格がよくないのだとは分かっているが…。
読了日:10月9日 著者:Harry Allard

It Looked Like Spilt MilkIt Looked Like Spilt Milk感想
右の頁には、青地に白でなんだかよくわからないものの形、左の頁には“Sometimes it looked like....But it wasn’t....”(〜のように見えるが違う)という説明文の組み合わせが、14パタン続く。同じものでできていながら、うさぎ、バースデーケーキ、アイスにも見えるものはなにか。児童にそれが本当は何か推測させながら読むとよさそう。読み終わったら外に出て空を指差し、「あれは何に見える?」と聞く展開もありかも。児童を参加させやすいが、早々に答えを言い当てられたときの対策も必要。
読了日:10月9日 著者:Charles G. Shaw

Caps for Sale: A Tale of a Peddler, Some Monkeys and Their Monkey Business (Young Scott Books)Caps for Sale: A Tale of a Peddler, Some Monkeys and Their Monkey Business (Young Scott Books)感想
対象年齢4-8歳。帽子を頭上に高く積んだ行商人と猿についての物語。"First --", "then --"と順序立てて物を言う方法が学べる。文章も語彙も多いが、盗まれた帽子の行方などサスペンス要素が多いので、読み聞かせにも使えそう。ただその際には、身振りを入れるなどの工夫が必要だろう(後半の行商人と猿のやり取りにはアクションが非常に多いのでジェスチャー入れどころか)。猿が停まる木の幹だけ真っ白く、非常に抜けのいい絵柄だ。American Abstract Artistsの創立メンバーの一人とのこと。
読了日:10月16日 著者:Esphyr Slobodkina

The GruffaloThe Gruffalo感想
対象年齢4-8歳。1999年初版。"look good"(「美味しそう」)、"good"「美味しい」の使い方を学べる。語彙が難しいので、日本人児童への読み聞かせには向かないかもしれない。ストーリー・テリング重視の内容。ネズミが自分を食べようとする蛇やフクロウに、これからグラファロと食事だと言い、架空の動物グラファロの恐ろしげな容姿をでっち上げ、彼の好物は蛇やフクロウだと告げることにより、難局を切り抜けていく。しかし実際に森でグラファロに出会ってしまう。...森で最小最弱のネズミが、機転を用いて生き抜く話。
読了日:10月16日 著者:Julia Donaldson

Tar Beach (Caldecott Honor Book)Tar Beach (Caldecott Honor Book)感想
1991年初版。対象年齢4-8歳。著者が自伝、物語、絵画、キルトを一つに合わせた作品の絵本化。差別、祖父がメンバーでないため労働組合に入れないことや、父親の職探しなど、ヘヴィな内容。奴隷の祖先を持つ混血の少女が、自由を希求して飛翔する姿を描いている。"All you need is somewhere to go that you can't get to any other way"と言う少女は逃避として空を飛ぶ空想をしているのかと思うが、それを提供するのがこのような絵本の役目の一つでもあるのだろう。
読了日:10月16日 著者:Faith Ringgold

Dear Daisy, Get Well SoonDear Daisy, Get Well Soon感想
2000年初版。乳幼児ー就学前児童対象。文字が大きく文章量も少ないので、日本人児童への読み聞かせにも向いているかもしれない。水疱瘡(chicken pox)で自宅療養しているデイジーを、主人公ピーターが一週間かけて贈り物で励ます話。カード、花、絵本などの贈り物を、象、シマウマなどの動物が届ける。非常にカラフルで楽しい。読み聞かせをしている最中に、動物の名前を"What are these animals?"と聞くなど、活動を敷衍させることも可能である。使者となる動物は、ピーターの部屋にあるぬいぐるみ。
読了日:10月16日 著者:Maggie Smith

In the Rain with Baby DuckIn the Rain with Baby Duck感想
1995年初版。乳幼児ー就学前児童対象。おじいさんとパンケーキを食べるために大雨の中外出したアヒル、ベイビー。雨が大嫌いな彼女は不機嫌になるが、もらった長靴と傘で雨の中おじいさんとはしゃぎ回り、雨の日が好きになる。"waddle," "shimmy," "dawdle," "dally"など、主に体の動かし方に関する動詞が多数出てくる。パンケーキを食べる場面でおばあさんアヒルの遺影がさりげなく飾られている。傘や長靴には赤ちゃんウサギのマスコットが描かれており、動物が動物グッズを身につけるシュールさあり。
読了日:10月19日 著者:Amy Hest

In the Small, Small Pond (Caldecott Honor Book)In the Small, Small Pond (Caldecott Honor Book)感想
1993年初版。小さな沼で生きるさまざまな生物を、第一文型(主語+自動詞)のみで表した文章とイラストで構成されている。乳幼児ー就学前児童対象。"wiggle, jiggle tadpoles wriggle," "waddle,wade, geese parade"など、脚韻と頭韻が多用されている。登場する動物は、おたまじゃくし(tadpole)、ガチョウ、トンボ、亀、サギ(heron)、小魚(minnow)、ミズスマシ(whirligig)。自然界で生きる動物、淡水魚、昆虫の名前を覚えるのにいい絵本。
読了日:10月19日 著者:Denise Fleming

Go Away, Big Green Monster!Go Away, Big Green Monster!感想
1992年初版。対象年齢4-8歳。仕掛け絵本。光る目の部分だけくり抜かれた真っ黒いページから始まり、長い鼻、牙をのぞかせた口、のたくった髪の毛…と、ページをめくるにつれ「緑の怪物」の全貌が浮かび上がってくる。「お前なんか怖くないぞ。だからあっちいけ」と語り手が叫んだ瞬間、背景が真っ黒いページから極彩色に変わり、耳、輪郭、髪の毛と怪物が消えていく。最後は、「戻ってくるなよ。僕がいいというまでは」というツンデレな呼びかけで終わる。「悪夢に出てくる怪物を追い払う方法を幼児に教えるために書かれた本」らしい。
読了日:10月19日 著者:Ed Emberley

Five Little Monkeys Jumping on the BedFive Little Monkeys Jumping on the Bed感想
1989年初版。対象年齢4-8歳。就寝前、五匹の猿がベッドの上ではしゃぎ回り、飛び跳ね、一匹ずつ転げ落ちて頭を打つ。母親に注意されるも残りの猿は飛び跳ねるのをやめない。それが最後の一匹になるまで続く。家に大人は母親しかおらずすぐ医者に電話して助言を求めるのだが、五匹も育てるシングルマザーなのだろうか。子供から解放された彼女がベッドの上で飛び跳ねるラストがまぶしい。風呂に入り、パジャマに着替え、歯を磨くという準備段階を提示するのは、寝る前にするべきことを示す教育効果か。五匹の小猿のシリーズは六冊あるらしい。
読了日:10月19日 著者:Eileen Christelow

The Pied Piper of HamelinThe Pied Piper of Hamelin感想
1985年初版。ロバート・ブラウニングの英語詩にケイト・グリーナウェイが35枚のイラストを付けて絵本にした作品。市長が「ネズミを追い払ったら、1000ギルダー貨支払う」という約束を破ったために、笛吹き男が街の子供達を連れ去ってしまう。物語の教訓は、「一度した約束は、守らなければならない」というものらしい。1372年7月22日と、いつ起こったのか特定されているのに驚いた。線が細く流麗なグリーナウェイのイラストは、日本の少女漫画を思わせる。地方自治体の意味で"Corporation"という言葉が使われている。
読了日:10月19日 著者:Robert Browning

Pictures of WallsPictures of Walls感想
2005年。バンクシー編集。www.picturesofwalls.comに投稿された80枚のグラフィティ写真を掲載。撮影者の名前とロケーションは巻末に。壁の模様に目鼻を付け加え擬人化・擬獣化したものと、"Question everything...but why?"のように、短い警句のような文章、通常の広告に反広告的なメッセージを書き加えたサブバタイズメント、グラフィティにさらにコメントを付け加えたものの、だいたい四傾向がある。タギング[公共の場に自分の署名を書くこと]の写真は一つもないのが特徴的か。
読了日:10月29日 著者:

The Story of the Jack O'LanternThe Story of the Jack O'Lantern感想
2010年初版。ハロウィンで最も人気のあるアイコン、ジャック・オ・ランタンの起源を物語にした絵本。盗人のジャックはハロウィンの夜、奢りの夕食代を死ぬ日に支払う約束を悪魔と交わす。数年後盗んだカボチャをくり貫く彼の前に悪魔が現れる。…欲深さと意地汚さで人は身を滅ぼすばかりか、安住の地を求めて地を彷徨う羽目になるという話。アイルランドの民話がもとになっている。1800年代にアイルランド人がアメリカに移住した際ハロウィンの風習を持ち込み、1900年代に今日のようなジャック・オ・ランタンの顔を彫り始めたとのこと。
読了日:10月29日 著者:Katherine Tegen

Big PumpkinBig Pumpkin感想
1992年初版、1995年ペーパーバック版。対象年齢4-8歳。魔女がパンプキン・パイを作ろうと思って育てたカボチャが大きく育ちすぎ、つるに絡まって動かせなくなる。幽霊、吸血鬼、ミイラといった力自慢が順番につるを引っ張るが、なかなか掘り出せない。蝙蝠が「私には力はないが考え(idea)がある」というので皆で嘲笑うが…。蝙蝠の策は「皆で協力してカボチャを引っ張る」というだけのものだが、独善的な人間には「協力」ということ自体が高いハードルなのかもしれない、と思わせる。使われている語彙は繰り返しが多く読みやすい。
読了日:10月29日 著者:Erica Silverman

The Best Halloween Hunt Ever (Read With Me Paperbacks)The Best Halloween Hunt Ever (Read With Me Paperbacks)感想
2000年初版。ハロウィンを祝うために、子供達はアレクシスとジョンの祖父母が住む田舎へと向かう。学校、街などに隠れた蝙蝠、蛇、カボチャの判じ絵(rebuses)を探しながら読み進む絵本。カラフルな色彩に小さなアイテムが隠れているので、近接して眺める必要があり、読み聞かせには向かない。飾り付けされた田舎家や庭、市の様子など、とても楽しい。迷路、パズル、クリーチャーの絵など、一冊で何度も楽しめる。屋敷中に隠されたお菓子探しはいつかやってみたい。A book full of trick and treats!
読了日:10月29日 著者:John Speirs

Peek Inside: Halloween Is Here! (Peek Inside Sticker Books)Peek Inside: Halloween Is Here! (Peek Inside Sticker Books)感想
2010年初版。対象年齢4-8歳。子供達にハロウィンのコスチュームを着せる、屋敷にハロウィンの飾り付けをする、美しい秋の光景を作るといったシチュエーションに合わせ、絵本に付属する90枚のシールを貼って行く。シール貼付後は貼ったページを糊で綴じ、前のページの紙扉をめくると中のシールが見える寸法になった仕掛け絵本。シール貼り作業における選択肢を与えることにより、創造性を養うことが目的とされる。ハロウィンというのは準備段階を含めてのお祭りなのだということが分かる絵本。シールを貼った後は読み聞かせにも使える。
読了日:10月29日 著者:Megan Bryant

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