2012年10月に観た映画・DVD

10月の鑑賞メーター
観たビデオの数:26本
観た鑑賞時間:2607分

WILD STYLE [DVD]WILD STYLE [DVD]
覆面グラフィティ・ライター、ゾロことレイが夜の闇に隠れて壁面にグラフィティを描くところから始まる。ユニオンというグラフィティ集団を結成して心が離れてしまった彼女との葛藤、美術界のエスタブリッシュメントからのアプローチ、クラブを経営するマネジャー、フェイドが連れてきた女性アート記者との交流から、メインストリームとストリート・アートのあいだで揺れる主人公の姿が描かれる。結末のレイは、自分が描くべきものは何かに目覚めているように見える。グランドマスター・フラッシュのステージなど、ヒップ・ホップがもう一つの主役。
鑑賞日:10月01日 監督:チャーリー・エイハン

アウトレイジ [DVD]アウトレイジ [DVD]
上層部が二枚舌を使ってうまい汁を吸おうとしたために、命令を忠実に守る下部組織がどん詰まりの状況に陥る。冒頭から、暑い中待機する弱小組と屋敷内で幹部会を行う上層部の対比が鮮やかで、固定化した上下関係を感じさせ、いかに大友の反逆が止むに止まれぬものだったか分かった。池元を射殺した後の表情、後輩の刑事に手錠をかけられるときの諦めたような顔など、ビートたけしの演技がいい。椎名桔平がやたら楽しそうに恫喝行為を行うヤクザ水野を演じているが、ある事件をきっかけに笑顔が消える。そこに親分である大友への忠誠心が表れている。
鑑賞日:10月07日 監督:北野武

アウトレイジ ビヨンド(北野武監督) [DVD]アウトレイジ ビヨンド(北野武監督) [DVD]
「完結」編とあるだけあり、確かに主人公大友は一線を越えている。序盤、鈴木慶一の音楽が前衛音楽のような不穏さで期待を高め、もう一つの主役のようだ。痩せて渋くなったからか、中野英雄がときどきダニエル・クレイグに見えた。新井浩史の目つきはギラギラしててよかった。あれを撮った監督は偉い。前作の國村隼石橋蓮司といったおとぼけキャラはいなかった。小日向文世ケヴィン・スペイシーみたいで最高。関西ヤクザを演じた塩見三省のスーツ姿は非常に艶めかしい。前作のような変わった殺害方法はなく、組同士の駆引きに焦点を当てている。
鑑賞日:10月07日 監督:北野武

Lady in a Cage [VHS] [Import]Lady in a Cage [VHS] [Import]
エレベーターに閉じ込められた未亡人宅を、宗教狂いの老人やチンピラが襲う。息子に依存し、戦争国債で「自分だけ儲けている」主人公が、自分が身勝手な「モンスター」であることに気づくまでの物語でもある。汗だくで中年女の豊満な胸を晒すオリヴィア・デ・ハヴィラントの熱演は一見の価値あり。孤児院で育った若者を彼女は見下し「動物」と呼ぶが、若者は「檻の中の"人間"」と返す。彼女がベルを鳴らしても誰も助けに来ないのは、彼女が自分の世界に閉じこもり、誰も助けてこなかったからでもある。車道を描いたシーンはどれも恐ろしい。
鑑賞日:10月08日 監督:Walter Grauman

ブラジルから来た少年 [DVD]ブラジルから来た少年 [DVD]
ナチスのメンゲレ博士が、65歳の公務員94人の暗殺を組織に命ずる。彼の目的はなんなのか。博士の奇妙なオーダーから、徐々にその背景が明らかになっていく過程はスリリング。目標に向かい邁進するグレゴリー・ペック、彼を追うのが老いユダヤ人役のローレンス・オリヴィエ。題名に反し、とんだおじいさん映画だ(老人同士の心理戦含むバトルあり)。メンゲレ博士に希望を与えたのがリーフェンシュタール映画というのには考えさせられる。序盤と終盤しか出てこないが、青白い肌、黒髪、青く澄んだ目を持つ「少年」には強烈な存在感がある。
鑑賞日:10月08日 監督:フランクリン・J・シャフナー

ザ・レイドザ・レイド
2011年インドネシア。悪の家主が管理する犯罪者だらけの全員悪人マンションに、20人の特殊部隊が乗りこむ。主人公が新人警官なのに強い。戦闘待機シーンとアクションシーンの緩急がついていたので観ていて飽きない。マンションに一歩入ると住人が襲ってくるのだが、彼らの役名が“Machete Fighter”とか“AK47 Shooter”とかばかりで潔い。マッド・ドッグ役とアクション振付のヤヤン・ルヒアンさんは、地元シラット専門家らしい。無闇に意味もなく強いんじゃなくて、闘いとスリルを楽しんでる描写で説得力あり。
鑑賞日:10月11日 監督:ギャレス・エバンス

ステルス [DVD]ステルス [DVD]
2005年。ロブ・コーエン監督。米海軍が進めるテロ対策プロジェクトに従事する三人のパイロットのベン(ジョシュ・ルーカス)、カーラ(ジェシカ・ビール)、ヘンリー(ジェイミー・フォックス)。そこへ人工知能を持ち無人飛行が可能な完全自律型ステルス戦闘機E.D.I(エディ)が加わる。エディはだんだんと自我を持ち始め…。主人公が地味、エディがCGっぽい、一方的に侵入される方の北朝鮮が、あくまでも他者として描かれるなど、不満は残る。『ライトスタッフ』でチャック・イェ―ガーを演じたサム・シェパードが大佐役で出演。
鑑賞日:10月13日 監督:ロブ・コーエン

終の信託終の信託
2012年日本。144分あるが、サスペンスが続き目が離せない。病院内の救急治療のディテールが詳細。アリア「私のお父さん」が効果的に使われていた。ヒロインの主観と周囲の捉え方の乖離を、前半では「私のお父さん」が象徴し、後半ではヒロインを厳しく追及する検事役の大沢たかおが同じ機能を果たしているように見えた。不倫の末の自殺未遂で死に隣接したことにより、さらに深い情念の世界にはまりこむ一本気な女医を、草刈民代が熱演。役所広司気管支喘息患者演技は死相が見えるほど安定していた。自殺未遂や喘息治療の描写が容赦ない。
鑑賞日:10月17日 監督:周防正行

ザ・フォッグ《デジタルニューマスター版》 [DVD]ザ・フォッグ《デジタルニューマスター版》 [DVD]
1980年。デブラ・ヒル製作、カーペンターとの共同脚本。ポー+ラブクラフトといった体の海辺の怪談。舞台の一つとなる灯台が、崖の中腹に建っていて雰囲気がある。"Is all that we see or seem but a dream within a dream?"と、ポーの引用から始まる。神父役のハル・ホルブルックはポーに似ているし、神父の祖父が壁に隠した日記もポーっぽい。海賊ブレイクを演じるのは特殊効果のロブ・ボッティン、チャールズ・サイファーズ役はダン・オバノンなど、作り手を役者として使っている。
鑑賞日:10月18日 監督:ジョン・カーペンター

スターマン [DVD]スターマン [DVD]
1984年。SF恋愛ロードムービー。友好的な宇宙人が地上に降り立つが、乗ってきた宇宙船は大破。仲間が救助に来てくれる予定の場所へ地球人ジェニーと向かう。最初は逃げ出そうとするジェニーだったが、死んだ夫の姿に化けた心優しい宇宙人に、だんだんと惹かれていく。道中アップルパイやチェリーパイが出てきて、アメリカの国民食かと思った。"Satisfaction"の使い方がかっこいい。インディ・ジョーンズといい、カレン・アレンは浮世離れした人との恋愛話が似合う。彼女自身が地に足のついた印象を与える女優さんだからだろう。
鑑賞日:10月19日 監督:ジョン・カーペンター

ダーク・スター【字幕版】ダーク・スター【字幕版】
1974年。宇宙での知的生命体探しというミッションに飽き飽きした4人の宇宙飛行士の密室劇。カメラの切り返しのタイミングがいいからか、狭い空間を舞台にしているにもかかわらず飽きずに観られる。エイリアンが風船玉を膨らませただけみたいな点など、予算不足を感じさせるがそのチープさも愛嬌。爆弾との現象額的議論、エレベーターでの小競り合い、宇宙サーフィンなど、舞台を活用するアイデアに溢れている。カントリー風の主題歌"Benson, Arizona"はカーペンター作。赤、黒、ピンク、青など、宇宙空間を照らす照明が強烈。
鑑賞日:10月22日 監督:ジョン・カーペンター

デモリションマン [DVD]デモリションマン [DVD]
1993年米。時は2032年。完全管理社会となったアメリカ。地下活動家(グラフィティ作家という設定)を殺すために、体制側は凶悪犯サイモンを冷凍睡眠から覚醒させる。暴力に対処しきれない警察もまた、伝説の刑事ジョンを蘇らせる。言語条例に反する汚い言葉への罰金、暴力が過去の遺物として展示される美術館、ジャッキー映画でキックを学んだヒロイン、ランボー、『スターウォーズ』への言及("Use the force"という台詞)など興味深い。物を考えることを許さなくなった管理社会に対し、サイモンが多様性を説くのが面白い。
鑑賞日:10月22日 監督:マルコ・ブランビヤ

マイドク〜いかにしてマイケルはドクター・ハウエルと改造人間軍団に頭蓋骨病院で戦いを挑んだか〜 [DVD]マイドク〜いかにしてマイケルはドクター・ハウエルと改造人間軍団に頭蓋骨病院で戦いを挑んだか〜 [DVD]
1984年NZ。正式邦題『マイドク いかにしてマイケルはドクター・ハウエルと改造人間軍団に頭蓋骨病院で戦いを挑んだか』。原題"Death Warmed Up"。マッド・サイエンティストに薬で操られ両親を手にかけ精神病院に入れられたマイケル。7年後退院し、博士の島に乗りこみ復讐を試みる。ロボトミー軍団が尖った肩パッドに黒ヘル、女性はハイレグレオタードで、『マッドマックス2』全盛の時代を感じた。マイケルがシャワーを浴びるシーンやドクターによるお姫様抱っこ、やたら太い注射針には、何らかの需要があったのだろうか。
鑑賞日:10月23日 監督:デヴィッド・ブライス

ニューヨーク1997 [DVD]ニューヨーク1997 [DVD]
1981年作。米国大統領機が囚人収容所となったNYに墜落。伝説の元軍人スネーク・プリスキンが大統領救出を命じられる。体内に投与された毒薬が回る前に彼は大統領を救出できるのか?革ジャン、道具類、眼帯、裏切った元仲間に激昂するとき以外はかすれ声など、スネークはやはり渋い。ドナルド・プレザンスハリー・ディーン・スタントンアーネスト・ボーグナインなど、いい顔の俳優が揃う。なぜスネークは相手に呼ばれた名前を拒否するのか?クリーブランドで彼に何が起こったのか?グライダーでNYに潜入するときの静けさが異様にクール。
鑑賞日:10月24日 監督:ジョン・カーペンター

血を吸うカメラ 【ベスト・ライブラリー 1500円:ホラー特集】 [DVD]血を吸うカメラ 【ベスト・ライブラリー 1500円:ホラー特集】 [DVD]
1960年英。原題"Peeping Tom"(『覗き魔』)。生態学者の父親に、「恐れに対する神経系の反応」を明らかにするための実験台にされ、全生活をカメラに記録されてきた青年マーク。カメラなしでは生活できないようになっていた。大トカゲを怖がる姿を撮る父と、それを収めたフィルムを観るヘレンを撮りたがるマーク。言葉による描写が苦手な青年の持つカメラは、撮影器具だけではなく、凶器、犠牲者の死ぬ間際の表情を映す鏡といった過剰な意味を持たされる。マークがこの映画自体を自分の人生の記録映画だと思っている点が恐ろしい。
鑑賞日:10月24日 監督:マイケル・パウエル

エルム街の悪夢 スペシャル・エディションエルム街の悪夢 スペシャル・エディション
1984年米。ウェス・クレイヴン監督脚本。当初の視点人物であるティナ(15歳)があっさり序盤でセックスし(ここでデップの"Reality sucks."という台詞)、ホラー映画におけるファイナル・ガール=貞潔の法則を破るが、なんとすぐフレディに殺され、脇役かと思われた地味顔のナンシーにヒロインの座を譲る。フレディから大人は守ってくれず、襲われていても母親(キッチンドランカー)が起きてこない恐ろしさ。"Introducing Johnny Depp"とあるということは、鳴り物入りの新人だったのだろうか?
鑑賞日:10月24日 監督:ウェス・クレイヴン

ゴースト・オブ・マーズ [DVD]ゴースト・オブ・マーズ [DVD]
2001年。ジョン・カーペンター監督、脚本(ラリー・サルキスと共同)、音楽。火星の幽霊に精神を乗っ取られた炭鉱夫たちと、護送官、囚人たちの戦いを描く。炭鉱町における唯一の生存者である女医の証言で、火星人の亡霊が蘇った経緯がバラードに明かされ、バラードが唯一の生存者となった経緯が都市の法廷で明かされる重層的な語りの構造。中盤に出てくる気球が『ダークスター』に出てきたエイリアンにそっくり。アウトローの「砂漠野郎」役でアイス・キューブ。特殊メイクはグレッグ・ニコテロ。日本人が多数参加していたのが嬉しい。

鑑賞日:10月25日 監督:ジョン・カーペンター

要塞警察 デラックス版要塞警察 デラックス版
1976年。舞台はロサンゼルス。血の儀式で結ばれたギャング団が、仲間を射殺した男の逃げ込んだアンダーソン所轄第13署を包囲襲撃する。移転を控えて僅かな署員しか残らない中、臨時で駐在していた警官ウェルズは、囚人たちと協力して立ち向かう。少女の射殺シーンが凶悪。銃口から出る煙に当たる照明、敵を捉えるロングショット、囚人ナポレオンのキャラ造形などに、カーペンターの特徴が出ているように思った。銃で撃たれても顔色一つ変えずに迎え撃つリー(ローリー・ジマー)が素敵。無言で淡々と悪行の限りを尽くすギャング団が不気味。
鑑賞日:10月26日 監督:ジョン・カーペンター

クリスティーン コレクターズ・エディション [DVD]クリスティーン コレクターズ・エディション [DVD]
1983年。気弱な青年アーニー。中古車クリスティーンに一目惚れし購入する。だが持ち主であった人物は、車内で自殺していた。アーニー自身の見た目や親への態度にも、徐々に変化が見え始める。…序盤、アーニーの「いけてなさ」を表現するためか、何かが漏れる描写が多い。彼と学校一の美女が付き合い始める経緯を描かず、彼女が好きだったためにショックを受ける友人デニスの目線を通しその事実を観客に知らせる手際のよさ。炎に包まれた車のヴィジュアルが素敵。エンドロールで最初に出る名前は、母親役のChristine Belford。
鑑賞日:10月27日 監督:

マスターズ・オブ・ホラー/悪夢の狂宴 スペシャル・エディション [DVD]マスターズ・オブ・ホラー/悪夢の狂宴 スペシャル・エディション [DVD]
原題"Two Evil Eyes"。ポーの短編に基づいた二作。『ヴァルドマー事件の真相』はロメロ監督脚本。資産家の老人を催眠状態にして意のままにしていた若い妻とその愛人である医者。催眠から覚めないまま老人は死に、彼の肉体を媒介にして死者の国から霊がこちらの世界にやってくる。『黒猫』はダリオ・アルジェント監督、フランコフェリーニ脚本。大鎌殺人や抜歯殺人の犠牲者の写真を専門とする写真家が、妻と黒猫を殺してしまう。彼は、妻を壁に塗りこめるが...。警察が追っていた猟奇殺人の犯人は結局分からない点が恐ろしい。
鑑賞日:10月27日 監督:ダリオ・アルジェン

丑三つの村 [DVD]丑三つの村 [DVD]
1983年日本。1938年の津山事件を基にした西村望原作の映画化。岡山県の寒村が舞台。村一番の秀才、犬丸継男は村の風習であった夜這いを知りそれに溺れるが、徴兵検査で肺結核であることがばれ、村八分にされ始める。秩序を乱すよそ者にリンチを加え殺す村の男達の標的にされたと感じた継男は、日本刀、猟銃で武装し始めるが…。兵隊に失格し、継男が村を自分の戦場と見なすようになるまでが丁寧に描かれている。音楽が明るく青春映画のようだが80年代の邦画の特徴だろうか。「皆様方よ、今に見ておれで御座居ますよ」からの首締めは強烈。
鑑賞日:10月27日 監督:田中登

青春の殺人者 デラックス版 [DVD]青春の殺人者 デラックス版 [DVD]
1976年日本。ATG配給。1974年に千葉県市原市で起こった両親殺害事件を基にした中上健次の小説『蛇淫』(1976年)の映画化。前半、市原悦子の近親相姦願望を持つ母親演技が凄まじい。新品の白いシーツにくるまっての母親殺害シーンの流れは、息子による母親の処女喪失の場面のようで倒錯的。水谷豊と原田美枝子の若い肢体は美しいが、思い出すのは市原悦子の白いシュミーズ姿だ。水谷豊の陰鬱な棒読み調の台詞回しが耳に残る。ゴダイゴの音楽はかっこいいし、殺害の回想シーンや映画内映画「磔刑」で絶えず鳴っている唸り声も強烈。
鑑賞日:10月27日 監督:長谷川和彦

エスケープ・フロム・L.A. [DVD]エスケープ・フロム・L.A. [DVD]
1996年米。時は2013年。基本的に前作と作りは同じだが、若さを保つために整形を繰り返す金持ちや、イスラム教徒への不寛容、犯罪と見なされる喫煙など、現代アメリカ社会への批判も垣間見える。「スピードを緩めた」と言われた瞬間のウィリー、老ヒッピー(ピーター・フォンダ!)とのサーフィン、トランスヴェスタイトパム・グリアー、「バンコク・ルール」での早撃ちなど、見所は多い。革ジャンがボロボロなところに時の流れを感じる。クリーヴランドでスネークに何が起こったのか。「仲間に裏切られた」以外のことはやはり分からない。
鑑賞日:10月28日 監督:ジョン・カーペンター

フェノミナ [DVD]フェノミナ [DVD]
1985年イタリア。色男俳優を父親に持つジェニファー。スイスのチューリヒにある女子寄宿学校に送られる。その土地では、8ヶ月前から少女連続殺害事件が起こっていた。…ジェニファー・コネリーがたいへんな美少女。昆虫学者役でドナルド・プレザンス。ガラスを突き破る少女の顔、銀色に光る長鋏、鉄扉の館、追跡シーンで鳴り響くメタル音楽など、アルジェントの様式美を感じる。終盤の蛆、人の死体、糞尿が混ざったプールが強烈。離乳食を歯ブラシの枝で食べるシーン、彼女と死体探しに使う虫を「カップル探偵」と言うセンスなど、かなり好き。
鑑賞日:10月28日 監督:ダリオ・アルジェント

サスペリア・テルザ 最後の魔女 [DVD]サスペリア・テルザ 最後の魔女 [DVD]
2007年伊・米。英題"The Mother of Tears"。19世紀に埋葬された棺と遺品箱がヴィテルボ墓地で発見される。遺品箱を開いた美術館の研究生サラは、善き魔女であった母親が大きなダメージを負わせ封印した魔女、マーテル・ラクリマルム(涙の母)を現代のローマに蘇らせてしまう。宗教画からの夥しい引用、図書館での調べもの、ネジ式階段灯のある遺跡のような住居、錬金術師などにイタリアン・ホラー感あり。最後の魔女が家に殺されるのは、魔女と館の三部作に相応しい幕切れ。『フェノミナ』のような蛆プールも出て来る。
鑑賞日:10月28日 監督:ダリオ・アルジェント

ドラキュリア DTSスペシャルエディション [DVD]ドラキュリア DTSスペシャルエディション [DVD]
2000年米。ロンドンの遺物館に強盗団が入り、銀の棺が盗まれる。しかしヴァン・ヘルシングは、警察にも通報せず、棺を追ってアメリカに向かう。その頃ニューオーリンズでは、マリーが謎の男の夢を見てうなされていた。…ドラキュリア役のジェラルド・バトラーは、セックスアピールはあるものの体格が立派すぎ、ミスキャストに思われた。しかし黒い癖毛は、ドラキュリアの正体の人物には相応しい外見だった。銀嫌いの理由、裏切り者のキスと吸血鬼の首筋へのキスの類似性、首を吊って死ぬラストなど、ドラキュリアとその正体との繋げ方は上手。
鑑賞日:10月29日 監督:パトリック・ルシエ

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