擬人化されたゴジラには魅力がない-『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』

人間に飼い慣らされたゴジラ、破壊者ではないゴジラは驚くほど魅力がなかった。


人間とモンスターの共生がテーマの一つ。


「モンスターの廃棄物を飼料に」と、巨大生物が資源循環型社会の一部になる。


オリジナルのゴジラにおける原爆や原発事故への怒りは跡形もない。登場人物は相当放射線を浴びているはずなのに、まったく問題がないかのように描かれている。


それどころか、「巨大生物の足跡に草花が生える」とか、「砂漠が緑化される」のように、まるで地球および人類に利益をもたらす存在のように描かれている。


巨大生物を利用可能な資源やこれから開発の余地があるブルーオーシャンのように描くのは、究極の飼い慣らしだろう。

 

この換骨奪胎ぶりは、日本の第一作目にあったメッセージを反転させていると言ってもいいほどだ。価値観のアップデートはよいことばかりではないと思わされた。