2011年に観た映画・DVD

2011年の鑑賞メーター
観たビデオの数:144本
観た鑑賞時間:14423分

X-MEN [Blu-ray]X-MEN [Blu-ray]
ミュータントの悲哀にスポットを当てた前半がずっと青く薄暗い画面で、沈んだムード。「人間に放射能を当てミュータントにする」のがマグニートーの作戦の肝だった。このご時世テレビで流せないだろう。プロフェッサーXを演じるパトリック・スチュアートと、マグニートを演じるイアン・マッケランが渋かった。チェスの場面最高。二人の過去に何があったのか、確かに気になる。
読了日:06月07日 監督:
X-MEN2 [Blu-ray]X-MEN2 [Blu-ray]
やっぱじいさん二人の場面はすばらしい。あの兜が似合うのはイアン・マッケランだけ!『X-MEN』が「プロフェッサーXのチーム」という意味だと気付いたのは、エンド・ロールで"X-KIDS"とあるのが見えたときだった・・・。カート・ワグナーを演じているのがアラン・カミングと知り嬉しくなった。しかしウルヴァリンジーンとミスティークの二択だったらぜったいミスティークだろ・・・。いや、単なる私の好み。
読了日:06月07日 監督:
X-MEN:ファイナルディシジョン [DVD]X-MEN:ファイナルディシジョン [DVD]
キュア開発の研究所に襲撃をかける際の橋のシーンで、マグニートーが後ろの車を振り返ったら、親子連れの母親が窓のロックをかける。それを見たマグニートーの諦めたような皮肉な笑顔が、ミュータントと人間の断絶を鮮やかに表現していると思った。エレン・ペイジがフィーチャーされすぎな気がする。終盤墓の前に立つのは彼女でよかったのか、と前2作を見たあとは感じる。その墓で眠っている人々と彼女の感情的紐帯はなかったはずだ。人間に戻ったミスティークの扱いの薄さにも不満を感じる。彼女についてもっと掘り下げてほしかった。
読了日:06月07日 監督:ブレット・ラトナー
レギオン [Blu-ray]レギオン [Blu-ray]
大天使ミカエルが「神の意志に背いて」人間の味方をし、「神の意志に従った」ガブリエルおよび天使の軍団と対決する。天使長として軍団を率いて悪魔の長ルシファーと戦ったミカエルがかつての部下(下級天使)達を撃退し、かつて聖母マリアに受胎告知したガブリエルが、今度は生まれてくる救世主を殺そうとする。この人類の存亡をかけた戦いがニュー・メキシコ州の寂れたダイナー(名前はPARADISE FALLS![堕落した楽園])で展開されるのは、かつてイエス・キリストが宿屋の馬小屋で生まれたことを考えれば、至極当然のことである。
読了日:06月09日 監督:スコット・スチュワート
17歳の肖像 コレクターズ・エディション [DVD]17歳の肖像 コレクターズ・エディション [DVD]
16歳の少女が自分の倍くらいの年齢の男性と知り合い、人生の手ほどきを受ける。男のほうは人生の刷新を賭けて少女との関係に溺れるが、土壇場でケツをまくる。男の人というのは案外弱々しい生き物なのかもしれない、と思った。ジェニーが最後に頼るのがエマ・トンプソン演じる校長と英文学講師のスタッブス先生という二人の女性だというのは考えさせられる。女性が女性を救うという設定だ。オックスフォードやケンブリッジにまで行かないと当時のイギリス人女性は経済的・精神的自立を手に入れられなかったのかと思うと、気が遠くなる。
読了日:06月10日 監督:ロネ・シェルフィグ
ファースター 怒りの銃弾 [DVD]ファースター 怒りの銃弾 [DVD]
"Driver"、"Killer"、"Cop"の三人が、それぞれの過去の清算を求め、標的を追う。復讐に燃えるドウェイン・ジョンソンの姿を象徴的に捉えたカットは四つ。監獄の独房をイライラと横切る姿、釈放されて一目散に砂埃の舞う道を横切る姿、最初の標的の職場に向かって道路を横切る姿、そして最後、画面の奥に向かって彼の乗った車が疾走するショット。"Faster"(より速く)という題名にふさわしい。しかし、過去の因業な行いは必ず本人に戻ることを象徴するかのように、逆走やバックで走る車のシークエンスも多い。
読了日:06月10日 監督:
La Fleur du mal [Import]La Fleur du mal [Import]
華麗なる一族の退屈な日常に潜む忌まわしい過去が、夫人の市長選挙を軸に描かれる。うなぎ、牡蠣、焼きたてのクロワッサン、鳥の丸焼き、…出てくる料理が美味しそうだった。 あと、ワイン飲みたくなる。従兄妹同士で恋愛関係に堕ちるフィリップ(ブノワ・マジメル)とミシェル(メラニー・ドゥテー)のキス・シーンは実にエロい。旧家の「昔から受け継がれてきたいい物を手入れしながら使い続ける暮らし」と、夫人が選挙運動で回る低所得者向け公営住宅と、その中間にある夫のオフィスの対比が気になる。社会的階層の描写に意識的のように思えた。
読了日:06月10日 監督:Claude Chabrol
The Swindle [VHS] [Import]The Swindle [VHS] [Import]
詐欺師コンビのベティとヴィクトールと運び屋モールスが、お互いを欺きあいながら、金を自分のものとしようと画策する。イザベル・ユペールが次々と姿を変えて可愛い。 当初男性の誘惑者として真っ赤な口紅を付けて登場したベティが、ショートカットの若々しい少女のようになり、終盤年相応の素顔になるのには、ストーリー上の必然がある。エリザベート、ベティ、シシという名前は、ロミー・シュナイダーを思い起こさせるが、何か意味があるのだろうか。ユペールと彼女は知的な整った顔立ち、小柄、ダーク・ブラウンの髪という点で類似する。
読了日:06月10日 監督:Claude Chabrol
コブラ・ヴェルデ [DVD]コブラ・ヴェルデ [DVD]
領主の娘三人を立て続けに孕ませたために、「奴隷を集めて来い」(できれば殺されろ)と、とあるアフリカの部族の下へ派遣される山賊コブラ・ヴェルデ。部族の王がやたら流暢なドイツ語を話す。この部族の儀式的な振舞いや王の頭の中にしかいない"森の王"は、文化人類学的にかなり面白い事例だと思う。ふと、グラウベル・ローシャの『黒い神と白い悪魔』(1964年)から影響を受けているのではないかと思った。コブラ・ヴェルデが数百人のアフリカ人女性兵士を訓練するシーンは必見。やはりヘルツォークは風景を自分が描いた絵のように撮る。
読了日:06月14日 監督:
カスパー・ハウザーの謎 [DVD]カスパー・ハウザーの謎 [DVD]
ブログに感想書きました。→「世界に投函された手紙としての人間−『カスパー・ハウザーの謎』感想」 http://d.hatena.ne.jp/Stroszek/20110621/1308660424
読了日:06月24日 監督:ヴェルナー・ヘルツォーク
マトリックス 特別版 [DVD]マトリックス 特別版 [DVD]
序盤、麻薬の売人が「俺にとっちゃあんたはキリストだ」と言う。トリニティは「神、聖霊、キリスト」の三位一体のことである。ネオをキリストとする比喩がちりばめられている。 現実世界での最後の人間の街が"Zion"という。キリスト教においては、「完成された神の国」、ユダヤ人にとっては「ユートピア」。Zionism(ユダヤ人の民族国家をパレスチナに樹立することを目指した運動)とも繋がる。やはりあからさまな比喩。ネオが予言者に会いに行くってのも、キリストに洗礼を与えたバプテスマのヨハネのエピソードを想起させる。
読了日:06月24日 監督:Array,ラリー・ウォシャウスキー
アナコンダ<Hi-Bit Edition> [DVD]アナコンダ<Hi-Bit Edition> [DVD]
ジェニファー・ロペス、アイス・キューブ、ジョン・ヴォイトオーウェン・ウィルソン、そしてダニー・トレホと、いま考えるとかなり豪華なキャスト。そして民俗学者を演じるのがエリック・ストルツで、顔を初めてまじまじと観たのだが、本当にマイケル・J・フォックスに似ている。BTTFに当初キャストされていたのも分かる。お話としては、スネーク・ハンターのジョン・ヴォイトが周囲の人間を利用し(餌として使うことまでする!)、アナコンダの捕獲を試みるというもの。オーウェン・ウィルソンの顔の形に蛇の腹が膨れている場面に笑った。
読了日:07月04日 監督:ルイス・ロッサ
ブレードランナー 完全版ブレードランナー 完全版
薄暗く、雨が終始降る中、ハードボイルドな追跡劇が繰り広げられる。レプリカントの悲哀が突き刺さる名作。ロイ・バティの最後の選択で、ヒーローとヴィランがひっくり返る。近未来都市の造形で印象に残ったのは、タイレル社の上空を飛行艇が浮遊している場面、同社ビルの壁面をエレベーターが上昇している場面、ビルの側面に「わかもと」の宣伝をするゲイシャ・ガールの顔。"Visual Futurist"としてシド・ミードが参加しており、収録されている静止画集が格好いい,。戦闘シーンで印象に残った点=プリスがデッカードを鼻フック。
読了日:07月10日 監督:ハリソン・フォード
スナッチ デラックス・コレクターズ・エディションスナッチ デラックス・コレクターズ・エディション
ロンドンを舞台に、84カラットのダイアモンドを巡って大悪党や殺し屋、チンピラ、そして犬が入り乱れる。闇ボクシングの元締めを演じるアラン・フォードが豚小屋による死体処理方法を解説する場面は白眉。"パイキー"と呼ばれる流浪の民の一人、ミッキーを演じたブラッド・ピットがよかった。ジェイソン・ステイサムが肉体性を封印して小悪党を演じているのも今観ると新鮮。"Snatch"という題名は、「ひったくり」によって宝石の持ち主が次々と代わることを表していると思ったが、その中に犬が混じっていて人間が翻弄されるのが面白い。
読了日:07月12日 監督:ガイ・リッチー
Piranha [Blu-ray] [Import]Piranha [Blu-ray] [Import]
2億年前に絶滅したはずのピラニアがアリゾナ州のレイク・ビクトリアに出現し、夏を謳歌する若者たちを襲う。そんな中で主人公はピクシーズのTシャツを着て、RADIOHEADのポスターを部屋に貼る草食系男子のジェイク。ポルノ監督が出てきて案の定ピラニアに喰われるが、遺言が"Wet T-shirt..."。これまで散々若い娘を食い物にしてきた因果か、最後は自分が餌として使われる! エリザベス・シューやアダム・スコットと、俳優陣のチョイスも素敵。教訓:水に入るときには髪を結わえよう。最高に涼感溢れる夏のお祭り映画。
読了日:07月12日 監督:Alexandre Aja
SPL 狼よ静かに死ね 特別版 [DVD]SPL 狼よ静かに死ね 特別版 [DVD]
ブログに感想書きました。→ ”Evil deeds must pay a price”−”Kill Zone”感想 http://d.hatena.ne.jp/Stroszek/20110713/1310584815
読了日:07月13日 監督:ウィルソン・イップ
EX/エックス [DVD]EX/エックス [DVD]
CM撮影のために雪山に集結した撮影クルー、オリンピックの滑降金メダリスト、スノーボーダーたちが身を隠していたテロリストと遭遇。命を落としたと思われていた独裁者の姿を偶然ビデオに撮影していたことから命を狙われる。全編スノーボードのイメージビデオのよう。雪山を勢いよく直滑降していくスノーボーダー達の姿は疾走感と迫力がある。テロリストのくだりは添え物で、本筋は「競技に勝つことばかりを目標としてきた金メダリストが、スキーの楽しさを思い出せるか」と、「雪崩をバックに滑降するスキーヤーの姿を撮影すること」。
読了日:07月14日 監督:クリスチャン・デュゲイ
導火線 FLASH POINT [DVD]導火線 FLASH POINT [DVD]
香港の街で頭角を現しつつある三人兄弟の密輸業者に、一匹狼の刑事マー(Donnie Yen)と、若きおとり捜査官(Louis Koo)が立ち向かう。ボスは爆弾で殺され、仲間とその家族が犠牲になりかけたときに、マーの堪忍袋の緒が切れ、たった一人で三人兄弟の根城に乗り込む。パルクール、拳の重量を感じさせる詠春拳柔術レスリング、ボクシングなど、あらゆる体技が駆使されている。ラスト20分間の銃撃戦から肉弾戦の流れは激烈。ドニーさんの壁走りには目を見張った。ドニーさんは動きの速さに定評があるらしいが、納得。
読了日:07月15日 監督:ウィルソン・イップ
ダークネス [DVD]ダークネス [DVD]
40年前、6人の子供が失踪したスペインの郊外に、4人のアメリカ人家族が移り住む。神経症の父親の様子が悪化してきたのに気付いた娘のレジーナは、薄気味悪い家のせいではないかと疑い始め、同級生のカルロスと調査を始める。移り住んだ家は、40年前オカルティックな儀式のために建設されたものだった。・・・段々と家族を蝕んでいく「闇」の描写が素晴らしい。不気味な集合写真、父親の息子へのDV疑惑、思春期の娘に耳を貸さない母親など、家そのもの以外にも積み重なる恐怖がある。ウロボロスの蛇を「邪悪」のシンボルとしているのは不満。
読了日:07月16日 監督:ジャウマ・バラゲロ
引き裂かれた女 [DVD]引き裂かれた女 [DVD]
ブログに感想書きました。→ 「捨てられる本を拾う女―『引き裂かれた女』感想」 http://d.hatena.ne.jp/Stroszek/20110524/1310781529
読了日:07月16日 監督:クロード・シャブロル
アイガー北壁 [DVD]アイガー北壁 [DVD]
1936年ベルリン・オリンピック開幕直前、ナチスドイツ国家の優位性を誇示するため、アイガー北壁への登頂に成功した者にオリンピック金メダル授与を約束。トニーとアンディは垂直に切り立ったアイガー北壁登攀を開始するが、後発のオーストリア人隊員の負傷や急な悪天候に見舞われ、想像を絶する過酷な状況に。雪焼けや凍傷、山壁に擦られてできた腕の内側の傷など非常にリアル。救助する側も含め、最悪の状況を想定しなかったために最悪の事態が招かれる。見物人が登攀を見物でき、ぶら下がったままの遺体まで見られた当時の状況に驚いた。
読了日:07月18日 監督:フィリップ・シュテルツ
ハリー・ポッターと炎のゴブレット [Blu-ray]ハリー・ポッターと炎のゴブレット [Blu-ray]
17歳以下は参加できないはずの三大魔法学校対抗試合の選手に、14歳のハリーが選ばれる。今回は学園競技物。この頃のハリー、ロン、ロンの双子の兄が一番格好いいと思う。Blue rayで観たせいか、ロバート・パティンソンの肌の綺麗さがはっきりと分かる。経済的バックアップを受けていないはずのハリーが舞踏会でシュっとしたタキシードを着ているのは違和感。Ball(ダンパ)の場面やブルガリアの魔法学校生徒が典型的Jocksである事等、学園映画の要素を備えている。フランスの魔法学校の生徒が活躍しなさすぎで、添え物感あり。
読了日:07月23日 監督:マイク・ニューウェル
ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団 [DVD]ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団 [DVD]
ブログに感想書きました。→「”HE WHO MUST NOT BE NAMED RETURNS”−『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』感想」 http://d.hatena.ne.jp/Stroszek/20110723/1311421076
読了日:07月23日 監督:デイビッド・イェーツ
トランスフォーマー [DVD]トランスフォーマー [DVD]
変形能力を持つ金属生命体の惑星サイバトロン。そこから地球にやってきたオプティマス・プライム率いるオートボットと、メガトロン率いるディセプティコンの戦いを描く。前半は冴えない青年サムの恋愛事情を描き、物語に入っていきやすい。マイケル・ベイのこだわりで実現したという、ワンカットで繰り広げられる変形シーンは見ごたえがある。かっこいい車、大きなロボット、派手な変形、粉々に破壊される街並み、米軍の活躍など、「これぞアメリカ映画」といった感じの大味な造りだが、戦闘シーンは展開が速く誰と誰が戦っているのか分かりづらい。
読了日:07月24日 監督:
ハリー・ポッターと謎のプリンス 特別版(2枚組) [DVD]ハリー・ポッターと謎のプリンス 特別版(2枚組) [DVD]
ブログに感想書きました。→「ハリー・ポッター青春白書−『ハリー・ポッターと謎のプリンス』感想」 http://d.hatena.ne.jp/Stroszek/20110724/1311444685
読了日:07月24日 監督:デヴィッド・イェーツ
学校の怪談 [VHS]学校の怪談 [VHS]
木造の旧校舎に閉じ込められた少年少女たちを怪現象が次々と襲う。夏休み映画。テケテケというオバケなどかなりコメディ・タッチだが、髭の用務員さんだけ塚本晋也映画のクリーチャーのような造形。
読了日:07月30日 監督:平山秀幸
学校の怪談2 [VHS]学校の怪談2 [VHS]
春休みの合宿で東京からやってきた小学生と地元の小学生が、4時44分で時間が止まってしまった小学校校舎から抜け出そうと奮闘。前作では教員だった野村宏伸が、今回はニセ住職の盗人役で出演。前田亜季が驚くほどかわいい。
読了日:07月30日 監督:平山秀幸
学校の怪談3 [VHS]学校の怪談3 [VHS]
20年前に死んだタイチが亡霊となって棲んでいるという「タイチの鏡」に引っ張り込まれてしまった八橋先生と小学生たちが、脱出しようと奮闘。鏡の中の世界ではすべてが反転しているため、文字がすべて鏡文字となっているのが、何気に気持ち悪い。のっぺらぼうの晩餐シーンは『悪魔のいけにえ』のような狂気に満ちていた。野村宏伸が美術教員の役で登場するが、西田尚美演じる体育教師「ダイナマイト八橋」をフってすぐ退場。
読了日:07月31日 監督:金子修介
学校の怪談4 [VHS]学校の怪談4 [VHS]
前3作とは一転し、当時流行っていたJホラーに近い印象。冒頭のモノクロ映像、写真の中から指をさすおかっぱの少女など、テイストは『リング』(1998年)に近い。テケテケのようなコメディ・リリーフ的存在はおらず、小学校に閉じ込められるというフォーマットも踏襲はしていない。児童会長が海に引きずり込まれるシーン、酒蔵で少女が消えるシーンなど、本気で怖がらせようとしているのが感じられる。
読了日:07月31日 監督:平山秀幸
トランスフォーマー/リベンジ スペシャル・コレクターズ・エディション  [DVD]トランスフォーマー/リベンジ スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]
このシリーズの「カッコいい米軍」アピールは凄い。逆に言うと、ロボットと米軍をかっこよく見せるために軍人以外の一般人が「ノノノノノ」とか「俺だ!俺だよ!」レベルの単純な反復台詞しか言わないという点で、一貫してる。マイケルベイズム。 いちばん印象に残った場面は、元ディセプティコンからパーツを分けてもらって生き返ったオプティマス・プライムが、礼も言わずに"Let's roll."と言って飛び立つところ。夥しいロボットの屍を乗り越えて生きてきたプライム一族の生き様を見た気がする。 エジプトでの戦闘シーンが最高。
読了日:08月01日 監督:マイケル・ベイ
エグゼクティブ・デシジョン [DVD]エグゼクティブ・デシジョン [DVD]
セガールがすぐ退場するという記憶しかなかったが、兵士たちが飛行機に侵入する前半、テロリストたちの目から隠れて爆弾処理をする中盤、"Sleeper"(秘密の爆撃犯)を探し出し、テロリストたちと接触する終盤と、かなり構成がしっかりしている。ジョーモートンの指示を受けながらオリバー・プラットが爆弾処理をする場面が好き。デイヴィッド・スーシェが名探偵ポワロの面影を完全に消し、中東のテロリストにしか見えない。エンドロール、Degital Effect会社の前にミニチュア製造者の名前が出てくる点に時代を感じる。
読了日:08月02日 監督:スチュアート・ベアード
ウーマン・オン・トップ [DVD]ウーマン・オン・トップ [DVD]
ブラジルのバイーアで物語は始まる。夫トニーニョの浮気を目撃した妻イザベラは、アメリカの友人でドラァグ・クイーンのモニカの元へ身を寄せる。バイーアの海の女神イマンジャに夫を忘れられるよう祈りの儀式を捧げ、心機一転、溌剌と働きはじめる。TVの構成作家クリフにより見出され、イザベラは料理番組のシェフとして活躍し始める。『ウーマン・オン・トップ』=?騎上位が好きなため夫に浮気されること、?料理の腕により社会でトップに上りつめること。イマンジャの下りはマジック・リアリズム的。ペネロペ・クルスのハリウッド初主演作。
読了日:08月08日 監督:
ゴーストライダー デラックス・コレクターズ・エディション(2枚組) [DVD]ゴーストライダー デラックス・コレクターズ・エディション(2枚組) [DVD]
同名のマーベル・コミックの映画化。父親を助けるためにメフィストとの契約書にサインした大道芸人ジョニーは、地獄の業火に包まれながら、ゴースト・ライダーとして生まれ変わる。ヘリ5台をバイクで飛び越えるアメリカ的ダイナミズムにスカっとする。黒髪のニコケイは普通にかっこよいが、墓守りのサム・エリオットはさらにかっこよい。道でジョニーとメフィストが対峙する場面、デブの女の子がインタビューに答えたあと胸の前で腕をクロスさせる場面、「贖罪の目」(Penance Stare)で悪人を懲らしめる場面等、漫画的絵作りが素敵。
読了日:08月09日 監督:マーク・スティーヴン・ジョンソン
幸せのレシピ 特別版 [DVD]幸せのレシピ 特別版 [DVD]
2001年のドイツ映画『マーサの幸せレシピ』のリメイク。オリジナルは未見。ストイックに生きる高級レストランのシェフ、ケイトが姪ゾーイやスー・シェフのニックとの交流を通じ、生きる喜びを取り戻す。セラピスト役のボブ・バラバンが非常にいい。彼の整然としたオフィスでカウンセリングを受ける場面はどれも魅力的。最後の場面、主人公がある選択をしたことを契機に、音楽がイタリアのオペラからマンボに変わる。終盤、かくし芸大会のようなゼタ・ッジョーンズの一発芸が見もの。彼女の引き締まった表情がヒロインに説得力を与えている。
読了日:08月10日 監督:スコット・ヒックス
メタルヘッド [DVD]メタルヘッド [DVD]
冒頭から衝突の表現に満ちている。車、いじめっ子、メタル野郎が主人公の少年にぶつかってくる。しかしその衝突も、「最後の幸せな思い出を乗せた、あの車を取り戻したい」という彼自身の執念が生み出している。彼のデスペレットな表情と、父親役のレイン・ウィルソンの魂を抜かれた表情は必見。JGLとナタリー・ポートマンが脇を固める。作品の目玉であるJGL演じるメタル野郎は、「自由な生き方を提示し、各種しがらみにがんじがらめになった周囲の人間の解放を促す」ロール・モデルとしては、やや描写が類型的な気がした。
読了日:08月10日 監督:スペンサー・サッサー
マイティ・ソー [DVD]マイティ・ソー [DVD]
北欧神話の神オーディンとその息子ソーの物語。世界樹(ユグドラシル)の世界観の映像化を、奥行きを感じさせる3Dで非常にうまく行っていると思う。円を基調とした異世界間物質転送機のデザインがかっこいい。ソーがいちいち姓名で地球人を呼んだり、古英語風の話し方をするのも北欧神話の英雄らしい。クリス・ヘムワーズはこの作品で始めて観たのだが、ソーの陽性の魅力をあますところなく体現している。アンソニー・ホプキンスも久々のはまり役。武器であるムジョルニアの方がふさわしい持ち主を選ぶという設定は、ベタながら燃える。
読了日:08月10日 監督:
ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1 Blu-ray & DVDセット スペシャル・エディション(4枚組) [初回限定生産]ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1 Blu-ray & DVDセット スペシャル・エディション(4枚組) [初回限定生産]
ハリーとロンの口論シーンなど、シリーズ中初めて、手ぶれで心情の揺れを表している。ハリーの眉毛がますます太くなり、ダンブルドアに「髭が伸びとるぞ」と言われるなど、16、7歳のハリーに「老い」を感じる。ロンの幻視の中でハリーとハーマイオニが裸で抱擁しロンが嫉妬する場面があり、キャラクターの内面的成長が描かれている。あまり劇判音楽がなく、静まりかえっている。キャンプ、夜のシャフツベリー通り闊歩など、普通に考えると楽しそうだが、全体的トーンは陰鬱。アンブリッジが再登場し、魔女裁判ならぬ、「魔女ではない裁判」あり。
読了日:08月11日 監督:デヴィッド・イェーツ
HOUSE [DVD]HOUSE [DVD]
超シュール、超サイケだった!こんな映画が1977年に撮られていたことに驚愕。女子高生たちの行動や台詞がキュートすぎ、観た人達のあいだでは、「あれはおじさんの望む女子高生像だよね」ということで意見が一致。「この映画の池上季美子みたいな女子高生がいたら土下座するよね」というコメントが出るくらい、ヒロイン、オシャレ役の池上さん(当時17歳!)は美しい。7人の女子高生のあだ名がイカしてた。しかしバッグに大きく白い毛筆体で「オシャレ」と書いてあるのはオシャレじゃない。すべてがへんてこで愛らしい作品!
読了日:08月16日 監督:大林宣彦
スウィートホーム [VHS]スウィートホーム [VHS]
宮本信子の表情をとらえた最初の静かなショットに、監督の作家性を感じる。SFXの総指揮がディック・スミスで、アメリカンなノリの家物ホラー。真っ二つになった上半身のスプラッタ描写、母親の幽霊は巨大化したモンスターなど、日本のホラー映画にはないテイスト。この映画を特集したテレビ番組で、「ホラー映画は自由な精神の高貴な遊び」というコメントがあったが言い得て妙。途中で伊丹十三が「ディアボロ〜♪」と意味不明の歌を歌いだす等、遊び心満載。「影に食われる」という設定に、『回路』に通じる黒沢清映画の片鱗を見た。面白かった。
読了日:08月16日 監督:
東海道四谷怪談 [DVD]東海道四谷怪談 [DVD]
邪魔になった妻に毒を盛る伊右衛門の冷酷さと欲望がなによりも恐ろしい。伊右衛門はお岩さんとの結婚に邪魔な彼女の父親を殺しておきながら、「敵討ちをする」と嘘をついて一緒になる。しかし、息子までもうけておきながら、「貧しいことに飽いたから」と条件のいい富家の娘に走る。「武士は妻を斬ることなどしない」と言いながら毒殺する。行いが鬼畜すぎる。おそらく幽霊の恐ろしさよりも、生身の人間の恐ろしさを描いた作品なのだろう。伊藤家の父と娘を悪漢から救う場面の立ち回りがなく、急に伊藤家内へのシーンに切り替わったのは不自然。
読了日:08月16日 監督:中川信夫
ブロンディー/女銀行強盗ブロンディー/女銀行強盗
カレンが機械を分解するのが好きだったと息子に言う場面で、たまたま人生で最も得意なことが、"建物の構造を理解して忍び込む"銀行強盗だったと分かる。強盗団頭目テレンス・スタンプ心理的駆け引きをしつつ、カレンが涼しい顔でコーヒーを飲むシーンの妙。原題の"The Real McCoy"は「本物、最高の物」の意味だが、「米国のボクサーNorman SelbyのリングネームKid McCoyを他の同じ名前のボクサーと区別するためにthe real McCoyと呼んだことにちなむといわれる」【ジーニアス英和辞典】。
読了日:08月17日 監督:ラッセル・マルケイ
カンフーハッスル [DVD]カンフーハッスル [DVD]
斧頭会ボスの車内で、豚小屋砦の大家さんがブルース・リージェスチャーのまねをして、一言も発さずにボスに「分からせる」場面サイコー!日本の漫画表現の引用、『シャイニング』の廊下シーンパロディや、フレッド・アステアジンジャー・ロジャースのポスターの前でポージングなど、観客にとっかかりを示す点に監督の配慮を感じる。ハゲ、白いタンクトップ、トランクスにサンダルの火雲邪神かっこいい。弱い者いじめしかできなかった主人公が、「邪神の一撃で全身の脈が開き真の力に目覚め」、「訓練無しで達人になる」設定に妙な説得力あり。
読了日:08月24日 監督:チャウ・シンチー
スター・ウォーズ エピソードI ファントム・メナス [DVD]スター・ウォーズ エピソードI ファントム・メナス [DVD]
アナキンが初対面でパドメに"Are you an angel?"と聞くシーンが好き。こんな小さな子でも「パダワンになるには遅すぎる」と言われるのに、10代後半でジェダイ修行を始めたルークはどうなるの?と思った。C3POを自作するアナキン、あの歳でどんだけスペック高いんだ。前半ポッド・レースのときには顔色ひとつ変えず難局を乗り切り、後半司令艦をたった一人で壊滅させるアナキンを見て、さすがにのちダース・ベイダーになる人間は違うな、と感じる。ジェダイ二人ががりで闘っても卑怯だと感じさせないダース・モールは凄い。
読了日:08月27日 監督:ジョージ・ルーカス
ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破 EVANGELION:2.22 YOU CAN (NOT) ADVANCE.[DVD]ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破 EVANGELION:2.22 YOU CAN (NOT) ADVANCE.[DVD]
シンジくんがお弁当男子になっており、ちょっとモテ方向にシフト。「一緒に食事をする」テーマや「空から降ってくる」陽性のメガネ女子マリなど、テレビ・シリーズと比べて健康的な印象。エヴァに機体保有制限(一国につき3体)があるところは、核の隠喩か。「ポカポカしてほしい」(レイ)「この世界はあなたの知らない楽しいことで満ち満ちているわよ」(ミサト)等、登場人物の心性がポジティブな方向に進みかけている気がする。「旧小田原防衛線」や、早雲山から強羅駅までの箱根登山ケーブルカーがシェルターに直結など、箱根密着型アニメ。
読了日:08月27日 監督:庵野秀明
地球が静止する日 <2枚組特別編>〔初回生産限定〕 [DVD]地球が静止する日 <2枚組特別編>〔初回生産限定〕 [DVD]
オリジナルは未見。セントラル・パークに球体が降りてきて、合衆国大統領の判断如何で人類の行く末が決まるという点にアメリカ中心主義を感じる。もっと規模の大きいカタストロフィ映画なら、地球規模の大惨事が描かれたはずで、こじんまりした印象。しかし、初冬のじめじめした森の中を歩く寒々しい雰囲気は好き。表情を変えない端正なキアヌ・リーヴスの顔は、「理性を備えた地球人の顔を宇宙人が再現したらこういう感じだろう」と思わせる。子役のジェイデンが繰り返し父の不在を嘆くため、俺スミスはイメージ出演料を貰ってもいいのではないか。
読了日:08月28日 監督:スコット・デリクソン
デイ・アフター・トゥモロー 通常版 [DVD]デイ・アフター・トゥモロー 通常版 [DVD]
職業上の知識を生かして父親が子供を助けに行く災害映画。温暖化が進みすぎて氷河期に突入、メキシコへの不法入国をするアメリカ国民、途上国から援助を受けるアメリカ、北半球がだめになって南半球の貧しい地域に助けられる等、現状の反転が一つの見所。携帯よりも公衆電話の方が災害時には強いということをこの映画から学んだ。怪我をして足から敗血症になった娘を助けるためにペニシリンを取りに行ったら、狼に足を噛まれるという展開は「天丼」と見なしてよいか?宇宙飛行士から見たら空気が浄化されて見える、という結末には皮肉を感じる。
読了日:08月28日 監督:ローランド・エメリッヒ
奇跡【限定版】 (初回限定生産) [DVD]奇跡【限定版】 (初回限定生産) [DVD]
日本版『スタンド・バイ・ミー』と言いたい。子供の描き方が秀逸。兄の住む鹿児島、弟の住む福岡、大阪と(過去の回想のみ)、東京以外を舞台にしている点で珍しいと思った(ただし、東京からの転校生は出てくる)。気に入ったシーン→冒頭、主人公の少年が何か食べながらベランダの窓を開ける、その彼が桜島の灰にうんざりししながら部屋を掃除する、鹿児島の銘菓カルカンを作る職人であった祖父がもう一度それを作る。「カルカン」、「RKBのチャートバスター」(福岡の音楽番組名)等、九州のローカルなワードが頻出する点が具体的でよかった。
読了日:08月28日 監督:
Look Back in Anger (1958) [VHS] [Import]Look Back in Anger (1958) [VHS] [Import]
原作は室内劇だったが、この映画では主人公がお菓子屋台を引く街頭、死の床にある恩人の部屋、ヘレナの楽屋、アリソンの実家、ヘレナとジミーの公園デートなど、屋外でも話が展開する。ジミーの体験を追体験できるためか、原作よりも主人公に共感しやすい。原作にない場面で特にいいのは、インドでもカースト外賎民のカブーが市場から追い出されたときに助けられず、自分の無力さをジミーが知るところ。ヘレナはアリソンの後釜を狙っていたようには描かれず、ジミーも最終的に受身ではなく積極的にアリソンを探しに行き、原作よりも爽やかな印象。
読了日:08月28日 監督:Tony Richardson
Look Back in Anger (1989) [DVD] [Import]Look Back in Anger (1989) [DVD] [Import]
狂ったような早口でまくしたてるケネス・ブラナーは、ジミーのひょうきんさ、皮肉っぽさ、歪んだ知性、怒り、苛立ちを余すところなく表現しており、リチャード・バートンよりも原作のイメージに近い。エマ・トンプソンがハンサム・ウーマンという感じで、「誰が見ても美しいと言う」アリソンには適役ではないと思う。室内劇だが、ジャズで彩られたスタイリッシュなリチャードソン監督版よりも見やすい。ヘレナが自分という男によって変わった(教会に行かなくなる、アリソンと同じネルシャツを着てアイロン掛け等)ことに対する皮肉もしっかり再現。
読了日:08月29日 監督:J
ルパン三世 ルパン vs 複製人間 [DVD]ルパン三世 ルパン vs 複製人間 [DVD]
銃撃されてもワイングラスを死守する次元がダンディ。劇中の殺し文句→「(永遠の命なんて)ルパンと一緒じゃなきゃごめんだわ」(不二子)、「俺は夢奪われたからな。取り返しにいかにゃ」(マモーの脳内検査により「ルパンは夢を見ない」ということが明らかになっているため、ルパンにおける不二子の重要性が強調される)。『激突!』や『2001年宇宙の旅』といった映画や、現代美術へのオマージュもあり。オリジナルとコピーの交換可能性(「自分がコピーではないか」という自己同一性の不安)や、米軍の傲慢さもさりげなく描かれている。
読了日:09月02日 監督:吉川惣司
沈まぬ太陽 スタンダード・エディション(2枚組) [DVD]沈まぬ太陽 スタンダード・エディション(2枚組) [DVD]
235分もあるが、長さをまったく感じさせない。労働組合活動のために懲罰人事でカラチ、テヘランケニアと当時の僻地勤務を命じられた主人公恩地。ケニア大使エスコートのために帰国した際に、御巣高山の大惨事が起こる。遺族対応のため日本に残った彼は、新会長に見出され、国民航空の体質改善に尽力する。軸となるのは、恩地と元副委員長の行天のライバル関係。転勤生活で疲れきった彼を癒すのが「僻地」と言われるアフリカの大地であったり、念願の帰国のきっかけが航空事故であったりと、倒錯的な構造を感じなくもない。とてもいい映画だ。
読了日:09月03日 監督:若松節朗
キンスキー、我が最愛の敵 [DVD]キンスキー、我が最愛の敵 [DVD]
ドイツ人天才監督が、5本の映画をともに作った天才俳優との愛憎入り混じった関係を回想するドキュメンタリー映画ヘルツォークが自然に関して言う台詞"I love it...but I love it against my better judgment."が、キンスキーとの関係を象徴している気がした。決して声を荒げないヘルツォークの狂気の方が底知れない。「彼の指摘はいつも正しかった。曖昧なことは何も言わなかった」というキンスキーのプロ意識が印象的。蝶がキンスキーから飛び去ろうとしないラスト、美しすぎる。
読了日:09月06日 監督:ヴェルナー・ヘルツォーク
スターシップ・トゥルーパーズ2 [DVD]スターシップ・トゥルーパーズ2 [DVD]
予算不足か、ほぼワン・シチュエーション物。前作と趣が異なり、照明が暗めで昔の恐怖映画のような演出と音楽。パニクる士官対叩き上げ兵士どもといった構図にやや既視感は否めないが、監督が特撮出身だけありクリーチャー等丁寧な作り。戦意高揚に対する皮肉なトーンが消えているかと思ったら、結末で「兵士使い捨ての政府の方針に批判的だった大尉の最期の言葉を改竄し、戦争英雄に仕立てる」という強烈な皮肉があった。脚本家のエド・ニューマイヤーによると、「プロパガンダの過程を描きたかった」ということで、その試みは成功していると思う。
読了日:09月07日 監督:フィル・ティペット
マニアック・コップ [DVD]マニアック・コップ [DVD]
「狂気の警官」が警官の制服や装備をゆっくりと身に付けていくオープニングがフェティッシュ。暴漢二人組から逃げてきたウェイトレスがマニアック・コップに殺される冒頭が凶悪。前半と後半でメイン・キャラクターが変わるのでびっくりした。前半のブルース・キャンベルは、狂気を宿した目つきでいい。「警官の恋人が有罪となったとき、カトリックなのに自殺未遂をした婦人警官の話」はもっと掘り下げてもいい気がする。「エレベーターホールで殺人鬼はヒロインに止めを刺す機会があったのに、なぜそうしなかったのか」など疑問は残るが面白かった。
読了日:09月07日 監督:ウィリアム・ラスティグ
デス・プルーフ プレミアム・エディション [DVD]デス・プルーフ プレミアム・エディション [DVD]
ブログに感想書きました。→「俺の車は耐死仕様−『デス・プルーフ』感想」 http://d.hatena.ne.jp/Stroszek/20110908
読了日:09月09日 監督:クエンティン・タランティーノ
ロッキー2 [DVD]ロッキー2 [DVD]
CM撮影のためのグロテスクな特殊メイクを外したとき、当時のスタローンの顔の美しさが際立つ。生々しい存在感を放つ食肉工場の肉。煽られても絶対に侮辱的なことを言わないロッキー、出産後意識不明となったエイドリアンに自作の詩を読み、彼女の"Win."の一言で燃え立ち、"WIN ROCKY WIN"と書かれた練習着で特訓し、子供たちを引き連れてジョギングし、試合前に祈る信心深く祈るロッキー。まったく典型的ではないボクサー像。試合後対戦相手に感謝する謙虚もある。臆病でボーっとしているが、マッチョにはない魅力がある。
読了日:09月09日 監督:シルベスター・スタローン
ロッキー3 [DVD]ロッキー3 [DVD]
「甘い暮らし」を知ってしまい、ハングリーさを忘れたチャンピオン、ロッキーと野獣のように獰猛なボクサー、クラバー・ラングとの戦い。スターとなりちゃらちゃら練習するロッキーとたった一人で特訓するクラバーの対比。ミッキーが心臓の持病で倒れ、試合に集中できなくなるロッキー。「勝ったか?」の問いに「ああ」と嘘を答えてしまうロッキー。かつてのライバルに連れられカリフォルニアの黒人だらけのジムで特訓するロッキーは、アポロの指導でリズム感を身に付け、鋭い"eye of the tiger"(野獣の目)を取り戻す。
読了日:09月09日 監督:シルベスター・スタローン
ロッキー4 [DVD]ロッキー4 [DVD]
ジェームズ・ブラウンが登場して盛り上げた後、アポロがドラゴに血祭りにされる。リングの上で注目を浴びることの中毒性を、客の歓声に押され立ち上がるアポロがよく表している。彼の敵をとるために、ファイトマネーゼロ、完全アウェイで試合するロッキー。丸太など原始的な道具を用いたロッキーの訓練法を、最新鋭の機械で模倣するドラゴ。ミッキーもアポロもいないという状況で、初めて自分で訓練スケジュールを組むロッキー。彼と戦ううちに自我に目覚めるドラゴ。アメリカ国旗に包まれソ連の観客から歓声を浴び、キャリアの頂点にいるロッキー。
読了日:09月11日 監督:シルベスター・スタローン
ロッキー5 [DVD]ロッキー5 [DVD]
計理士に金を持ち逃げされ、一晩で丸裸にされ、フィラデルフィアの下町に戻ってきたロッキー。若きボクサー、トミー・ガンのマネージャーとしてリングサイドに立ち、彼と一体となって自分も闘っているような感覚を抱くロッキーだが・・・。音楽にラップが取り入れられ、1作目にあったロッキーの陽気な身振りが戻ってきている。息子のセイジ・スタローンがかなりいい面構え。寒い路上でエイドリアンが「あなたは力ではなくハートで勝ってたの」という場面最高。二人称のときもbe動詞を"was"にする癖が直らないロッキーは一貫している。
読了日:09月12日 監督:ジョン・G・アビルドセン
ロッキー・ザ・ファイナル (特別編) [DVD]ロッキー・ザ・ファイナル (特別編) [DVD]
冒頭、"Take it back."という歌詞の歌が流れる。女性への侮辱を許さず、シングルマザーとその息子を自分の店で働かせ、彼らの玄関の電灯をさりげなく換えてやるロッキーの優しさ。自分と同じような老犬を保健所から引き取る。すぐ物事を諦めて父の偉大さを言い訳していた息子に、「何度でもやり直すこと」の大切さを教える。血管の浮いた老体を晒して10ラウンド戦いぬいた後に言う台詞、"The beast is gone now. The beast is out."を聞き、一種の悪魔祓い映画でもあるのかと思った。"
読了日:09月13日 監督:シルベスター・スタローン
ハイテンション アンレイテッド・エディション [DVD]ハイテンション アンレイテッド・エディション [DVD]
「田舎に泊まろう」系ホラー。冒頭のヒロインの独白、来歴の説明されない典型的殺人鬼像、母親が死ぬシーンの台詞などで、早い段階から犯人は誰か分かってしまうが面白い。「発情してない」と言いながらオナニーするヒロイン。恐ろしい殺人鬼から親友を救うことでしか、自分の中の禁忌と欲望を克服できなかったのではないか。殺人鬼が来た時、部屋に自分がいた痕跡を急いで消すシーンよかった。チェーンソーで車を襲うラスト凶悪。生々しい足音や息の音が効果的。アジャ監督25歳の作品。ジャンネット・デ・ロッシの特殊メイクがすばらしい。
読了日:09月13日 監督:アレクサンドル・アジャ
スピーシーズ 種の起源 [DVD]スピーシーズ 種の起源 [DVD]
地球外生命体と人間とのハーフ、シルが人間の男の種子(species)を求めて徘徊する。超美人なのに最初の方でずっとウェストポーチを着けているのがいい。人間の行為を見て学んでいく彼女だが、なぜ親指で偽装という高度ななりすまし工作がいきなりできたのか。ボルトを落とすという信じられないような失敗で、実験室から出してもらえなくなるというシーンの間抜けさ。地味でかなり間延びしている印象。1995年の作品だがベン・キングズレーマイケル・マドセンフォレスト・ウィテカー、アルフレッド・モリーナと、キャストが豪華。
読了日:09月13日 監督:ロジャー・ドナルドソン
ハンテッド [DVD]ハンテッド [DVD]
「そこにあるものを活用しながら」系マンハント映画。冒頭、「ハイウェイ61で」息子イサクを殺すようアブラハムに命じる神の声のあと、暗殺部隊の教官L.T.(狩る側)と、教え子アーロン・ハラム(狩られる側)の追跡劇が始まる。森の中を四つん這いになって進むトミー・リー・ジョーンズの動きが速くてスムーズ。暗殺部隊の「ナイフで人を確実に殺すための」特訓風景が具体的。銃を使わない戦闘が新鮮。いい年をしたオッサン同士が自作の武器で戦うラストが凄まじい。浦澤直樹の『パイナップル・アーミー』『マスター・キートン』思い出した。
読了日:09月14日 監督:ウィリアム・フリードキン
スパイ・ゲーム [DVD]スパイ・ゲーム [DVD]
トニー・スコット監督。CIA工作員ネイサン・ミュアーが、謎の単独行動により中国の刑務所で拘束された元教え子トム・ビショップの救出を図る。危険を冒してまでトムが刑務所から救い出そうとした人物は誰か、ネイサンとトムが行った任務行動の回想から明らかになる。ネイサンの4回もの離婚の過去や、"Operation Dinner Out"という作戦名、「老後のために金を貯金しておくこと。絶対に誰のためにも手をつけるな」といったネイサンのトムへの助言等、伏線が次々と回収されていく後半が面白い。眼鏡のレッドフォード渋い。
読了日:09月14日 監督:トニー・スコット
バッドボーイズ2バッド