2012年5月に観た映画・DVD

5月の鑑賞メーター
観たビデオの数:17本
観た鑑賞時間:1904分

リディック コレクターズ・エディション [DVD]リディック コレクターズ・エディション [DVD]
「改宗か死か」迫るネクロモンガーの教義、アンダーヴァースへ旅し半死人となり、「十字軍以来の征服」を企む皇帝ロード・マーシャル、皇帝を滅ぼす者と予言されたフューリア人の主人公、記憶分析装置として使われる"quasi-dead"(半死人)など、設定が詳細だと思ったらコンセプト・デザイナーが何人もいた。「殺した者が王座につく」というネクロモンガーの決まりを中心に、『マクベス』や『オイディプス王』のような物語が展開。バロック建築風のセットが好き。昼には700度になる惑星での、太陽の熱を逃れての疾走劇が素晴らしい。
鑑賞日:05月01日 監督:デヴィット・トゥーヒー

トリプルX [DVD]トリプルX [DVD]
主人公の後ろ首に入れ墨された「XXX」が何度もアップになるのが印象深い。スカイダイビングや超絶運転テクニックを駆使して権威を茶化す動画を撮りネットにアップしていた主人公が逮捕され、その技量を買われて秘密捜査員となる。敵側の集団「アナーキー99」の所業とザンダーのそれはある意味同じで、潜入捜査を容易にするところが面白い。お盆を使ったスケート、ほぼ直滑降のスノボなど見どころ満載。爆破、雪崩をバックにして顔色一つ変えないヴィン・ディーゼルのカッコよさ。"Welcome to the Zander Zone!"
鑑賞日:05月01日 監督:ロブ・コーエン
デビルクエスト Blu-ray

デビルクエスト Blu-ray
原題"Season of the Witch"。魔女を修道院へ送り届けることとなった元十字軍兵士、神父、侍従、詐欺師の道中。ペストの村巡り、腐った吊り橋渡り等、中世ヨーロッパならではの冒険が描かれる。「宗教の名の下での他民族虐殺」や、「無実の女性が魔女と糾弾され死刑にされる様子」が描かれている。しかし冒頭では、処刑された女性の中には実際に魔女がいたとする描写がなされてもおり、中世の魔女狩りを正当化するような演出はどうかと思った。最後は英雄礼賛で終わるが、アメリカ映画における神とは英雄のことなのだろうか。
鑑賞日:05月02日 監督:ドミニク・セナ
【初回限定生産】ファイナル・デッドブリッジ ブルーレイ&DVDセット(2枚組) [Blu-ray]

【初回限定生産】ファイナル・デッドブリッジ ブルーレイ&DVDセット(2枚組) [Blu-ray]
原題"Final Destination 5"。原題が前作とは全く別の題名を付け、邦題ではシリアル・ナンバーの題名を付けるというパタンが多い中、このシリーズはそれぞれきっかけとなった大事故に基づいて邦題を付けている。テンポよく順当に登場人物が死んでいくが、死因のほとんどが建物や器具の整備不良か安普請。相変わらず感電や油に引火するパタンが多いが、「装置が五か所も不具合」という台詞を聞き、機械仕掛けで反人為的に人が死ぬ段取りを見せる映画なんだと思った。トニー・トッドの不気味さが職人技の域。終わり方がいい。
鑑賞日:05月02日 監督:スティーブン・クォーレ

トム・ヤム・クン! プレミアム・エディショントム・ヤム・クン! プレミアム・エディション
王の乗った象を守るチャトゥラバートの末裔カーム。タイ王に育てた象を献上しようとした矢先、小象もろとも密輸組織に奪われてしまう。象を取り戻すため、彼はタイからオーストラリアへ飛ぶ。トニー・ジャーのアクションはとにかくスピード感があり鮮やかだった。手首や足首を捻って折る系の技をピンポイントでテンポよく決めていく。象がさらわれた理由が徐々に明らかになるサスペンス的要素もあり、観ていて飽きない。本筋とは別に、動物と女性が海外への輸出財として搾取の対象となっている様が描かれる。象がとにかく美しく撮られている。
鑑賞日:05月03日 監督:

サラマンダー [DVD]サラマンダー [DVD]
母を訪ねて地下鉄の坑道を降りたとき、サラマンダーの目覚めに立ち会ってしまった少年クイン。生き延びた彼は、12年後の西暦2020年、ノーザンバランドで何百頭ものサラマンダーに怯えて暮らす人々のリーダーとなっていた。そこへ戦車に乗った米兵たちが訪れたとき、状況は一変する。彼らは竜を殺したというのだ。・・・ 米軍的ヒロイズムを耕して暮らす英国民が身に着けていく物語とも見える。クリスチャン・ベールジェラルド・バトラーが『スターウォーズ』ごっこをする場面が最高。マシュー・マコノヒーがスキンヘッドの米軍リーダー役。
鑑賞日:05月04日 監督:ロブ・ボウマン
ステイ・フレンズ [DVD]

ステイ・フレンズ [DVD]
「恋愛映画(既存作品の引用ではなくこの映画のために作られた映画内映画)を一緒に観るシーン」が繰り返し挿入され、映画内の虚構と現実を往復させることで恋愛映画というジャンルのメタレベルの考察ともなっている。「某超有名児童文学の熱心な読者だった」設定の登場人物がセックスコメディの主役を張っている点に時の流れを感じた。ヒロインが彼氏に振られる際、「大きな目がキモイ」と言われる。その後、身体だけの関係を誘いかけるディランに「目がきれいだ」と言われ、彼女が自信を回復するのがリアル。フラッシュ・モブのシーンが素敵。
鑑賞日:05月04日 監督:ウィル・グラック
ドッペルゲンガー [DVD]

ドッペルゲンガー [DVD]
かつては天才と言われた早崎。しかし人工人体の研究開発では行き詰り荒れる。そこへ彼のドッペルゲンガーが現れ、開発に協力し始める。あらゆる障害を取り除き、助手まで見つけてくる「分身」だが・・・。予想以上にコメディだった。途中から本人とドッペルゲンガーの境界が判然としなくなる。騙されている感覚は悪くない。もう一人の自分に悩まされる主人公が、アルターエゴとも言えるような人工人体の作成に携わっている点は面白い。最後二人はおそらく入れ替わっているが、明るい結末に見える不思議な映画。よく飲食する場面があるのが印象的。
鑑賞日:05月04日 監督:黒沢清


アレクサンドリア [DVD]アレクサンドリア [DVD]
原題"Agora"(「広場」)。紀元4世紀、アレクサンドリアの図書館長の娘ヒュパティアは、天文学者、数学者として認められ教壇に立ち弟子を持っていたが、キリスト教が奴隷たちの心をとらえることにより力を持ち始め、徐々に学問の自由を侵し始める。キリスト教反知性主義の色合いを強めていく描写が恐ろしい。ヒュパティアが地球の公転パタンを解明するサブプロットがあるが、そこでの彼女は「宇宙の真理と恋に落ちた女」という感じだ。これまでの映画で女性がこれほど知的活動に溺れている様子が描かれているのは見たことがない。新鮮。
鑑賞日:05月05日 監督:アレハンドロ・アメナーバル

灼熱の魂 [DVD]灼熱の魂 [DVD]
「約束を守れぬ者に墓碑銘はない」という遺言を残し、行方不明の兄を探すよう双子の兄妹に託して亡くなった母親。彼女の人生と双子の兄探しが交互に展開する。「想像を絶するほど難解で複雑な問題を前に、自分を守るすべもなくなる」という数学者の言葉は、母親の人生に重なる気がした。交互に映し出される道行で、娘と母親が同系色の服を着て、二人の区別がつきにくいのは意図的な演出だろうか。レディオヘッドの歌をバックに頭を刈られながらカメラを見つめる少年の目が強烈。「戦闘を指揮する男は記憶力が抜群だ」という台詞がなぜか頭に残る。
鑑賞日:05月06日 監督:

インシディアス [DVD]インシディアス [DVD]
引っ越し直後、息子が屋根裏の梯子から落下し意識がなくなる。一体彼の身に何が起こっているのか。夫の母親の助言で、夫婦は霊媒師に助けを求めるが・・・。彫りが深い顔の幽霊を真正面から撮ると怖いことが分かった。交霊セッションの準備シーンなどそれなりに楽しいが、夫が霊界で悪魔と取っ組み合いの格闘をしている時点で萎えた。霊媒師の助手である二人組が明らかにアメコミオタクっぽいボンクラ。冷蔵庫に入っている肉で顔を冷やすのにびっくり。『ソウ』の監督ジェームズ・ワンが人体破壊系の暴力を封印しているのが新鮮。音楽もよかった。
鑑賞日:05月07日 監督:ジェームズ・ワン

レイキャヴィク・ホエール・ウォッチング・マサカー [DVD]レイキャヴィク・ホエール・ウォッチング・マサカー [DVD]
アイスランドに鯨見物に来た観光客が、捕鯨を生業としていた一家に虐殺される。冒頭の鯨をさばく様子が撮影された古いフィルム映像が豪快。その後の展開は捕鯨が衰退していった時局をなぞるかのように地味だが、古ぼけた鯨観光船の様子は風情あり。惨劇の発端が酔っ払いのうっかり行為である点や、一見ファイナル・ガール・タイプの女性が単なるエゴイストであることが判明するなど、ツイストがあって楽しい。助けを求める声を無視する動物保護団体のメンバーの描写や女性二人を襲う「殺し屋」の正体は、皮肉が利いている。裕木奈江さんが可愛い。
鑑賞日:05月07日 監督:ジュリアス・ケンプ

ミケランジェロの暗号 [DVD]ミケランジェロの暗号 [DVD]
ミケランジェロの描いたモーゼのデッサン画とその贋作、ユダヤ人の画商の息子ヴィクトル・カウフマンと一家の使用人だった女性の息子ルドルフ・スメカル、デッサン画を交渉に使うドイツとイタリアといった対極が交差する。身分の入れ替わりや、譲与関係などがテーマか。戦争の進行に従って、SS将校であることが有利であったり逆にユダヤ人であることが有利であったり、まったく変わってしまうのが恐ろしいが、深刻さはあまりなく二人の入れ替わりがテンポよくコミカルに語られる。人種の描写がステレオタイプから逃れているのがいいと思った。
鑑賞日:05月08日 監督:ウォルフガング・ムルンベルガー
ル・コルビュジェ DVD-BOX

ル・コルビュジェ DVD-BOX
初期、煉瓦を使った際に、「これをたくさん重ねたら重くなりすぎる」と建築技術の研究に没頭、イタリアに修業に行った時にはカメラで写真を撮る代わりにスケッチを描いた(手作業の重視)、「学校で何も習っていない」と独学者を自ら名乗る、骨や貝殻の切断面を壁に見立て仕事(「コンクリートを使う建築家は骨からもっと学ぶべきだ」)など、興味深いエピソード多数。「住居は機械と同じくらい精密にすべきだ」「機能とは炭、働き、心を養うことだ」といった発言に、彼の信念が垣間見える。同時代のストラヴィンスキーやサティの音楽多数使用。
鑑賞日:05月17日 監督:

ラブソングができるまで 特別版 [DVD]ラブソングができるまで 特別版 [DVD]
冒頭で流れる80年代パロディソング、"Pop! Goes My Heart"の魅力に尽きる。原題"Music and Lyrics"。老いてもセクシーな腰ふりダンスを続けるヒュー・グラントに感動してしまった。ドリュー・バリモアが鬼のように可愛い。スピリチュアリズムにはまっている歌姫コーラ役のヘイリー・ベネットが素晴らしい。『glee』のマシュー・モリソンが、彼女のマネージャー役で出ていい味を出している。元恋人に小説のモデルとして描かれ、芸術的に搾取されたことをトラウマとする女性の再生物語としても見れる。
鑑賞日:05月19日 監督:マーク・ローレンス

サンクタム [DVD]サンクタム [DVD]
地底人が出てこない洞窟探検物。冒頭からサイクロン以外の理由で探検隊仲間が命を落とすのと、その際の主人公の父親の行動にドン引きする。女性が探検に伴う危険性を弁えていないお荷物として描かれているので悲しい気分になったが、実話ベースということなのでこれも現実に起こったことなのだろうか。女性の一人に起こったことを見て、とりあえず洞窟に行くときは髪をショートにしていこうと思った。装備=命という極限状況の中、数少ない道具を用いてサバイバルしていく様子が面白い。主人公がワイルドさの欠片もない草食系男子なのが新鮮。
鑑賞日:05月26日 監督:アリスター・グリアソン

スリーピング ビューティー 禁断の悦び [DVD]スリーピング ビューティー 禁断の悦び [DVD]
【ネタバレ】大学生のヒロインは、ハウスメイトに家賃も支払えず、母親にカードを使わせ、電車の切符も変えないほど貧しいのに、バーで知り合った男性と金銭の授受を伴わないワンナイトスタンドを行い、バイトで稼いだお金を燃やす。最後までヒロインの中で何が起こっているのは、よくわからない。死にゆく友人に添い寝して目が覚めたときのリアクションは描かれないのに、結末、自分の横で死んでいる老人を目にして号泣するのは何故か。とりあえずエミリー・ブラウニングが、『エンジェル・ウォーズ』の厚化粧のときより何倍も美しく撮られている。
鑑賞日:05月26日 監督:ジュリア・リー

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