2012年4月に観た映画・DVD

4月の鑑賞メーター
観たビデオの数:8本
観た鑑賞時間:700分

ラースと、その彼女 (特別編) [DVD]ラースと、その彼女 (特別編) [DVD]
ダッチ・ワイフを生きている彼女として扱いだした青年と、彼を取り巻く町の人々の成長物語。私には主人公が大人になるための通過儀礼のために人形を利用したようにしか見えなかった。同僚同士がお互いのぬいぐるみやフィギュアを隠したり殺したりする様子から、ラースは「人形も殺せる」と思い、必要がなくなったヴィアンカ(人形)の死期が近いということにしたのでは。自分自身への有用性だけで人形の生死を決める様子は私には恐ろしかった。ラースが彼女をどう利用したか分かっているから、町の人々はヴィアンカの死をあんなに悼んだのでは。
鑑賞日:04月05日 監督:クレイグ・ギレスピー

マリリン 7日間の恋マリリン 7日間の恋
イングランドローレンス・オリヴィエと『王子と踊り子』を撮影していた頃のマリリン・モンローの話。「映画スターになりたい偉大な俳優」オリヴィエと、「偉大な女優になりたい映画スター、モンロー」が真正面からぶつかったことから起こる悲喜劇。自信のなさからメソッド演技的アプローチにしがみつくモンローに周囲が振り回される様子が描かれる。モンロー自身が極めて作り物めいた存在であることを考えれば、物真似ショーにはせずに繊細で自信なさげな普通の女性を自由に演じたミシェル・ウィリアムズの演技方法は、英断と言えるのではないか。
鑑賞日:04月15日 監督:サイモン・カーティス

ミッドナイト・ミート・トレイン アンレイテッド・エディション [DVD]ミッドナイト・ミート・トレイン アンレイテッド・エディション [DVD]
「街の心臓をとらえたい」という写真家志望の主人公の傍観者的な言葉が、結末で効いてくる。最後に彼が手にした心臓は・・・、という点で。主人公カップルの関係がテンプレ的で、ドラマに深入りさせない。画商役のブルック・シールズが闇の使い的な立場で活躍するのかと思ったが終盤目立たず残念。しかし、もっとも良心的に見え。法の番人的な立場の人が「父祖たち」の仲間という意外性はある。『ブラックスワン』、『シェイム』と同じように、NYの地下鉄が効果的に使われてた。あの青白い人工的な空間には、創作欲を掻き立てる何かがあるのか。
鑑賞日:04月17日 監督:北村龍平

マイ・バック・ページ [DVD]マイ・バック・ページ [DVD]
映画好きで共感能力に富んだ雑誌記者が左翼運動の取材に入れ込み、「大事なのは具体、そこで何が起こったかが重要」精神で机上左翼に接近するが金蔓として利用される。論破された際の松ケンの「あ、あ、わかった。君は敵か?」の滑稽さ。自己顕示欲のために口八丁手八丁で人を利用する卑怯な梅山、彼が「何かを起こしている」と信じ、やすやすと騙される沢田の共犯関係。「記事が出れば、僕たちは本物になれる」に表れる現代的自分探しのテーマ。「男が泣く瞬間」というテーマも。巻き込まれた人間が死ぬ様をじっくり描く点に、監督の良心を感じた。
鑑賞日:04月17日 監督:山下敦弘
トロール・ハンター [DVD]

トロール・ハンター [DVD]
ノルウェー、ヴォルダ大学の学生3人が、ドキュメンタリー作成中に、熊の密猟者と言われるハンスという男の存在を知る。彼を追ううちに彼らはトロールの存在を知る。ハンスはノルウェー政府により存在を隠匿されたトロール・ハンターだった。感知されるのを避けるためのトロール臭、トロールをよりよく知るために採血を必要とすること、仕留めたトロールの記録を取る公式文書、トロールキリスト教徒嫌い、トロールの区別など、細かい設定がとにかく楽しい。最後、「十分な映像は撮れたか?」と言い残し、巨大トロールに向かっていくハンスの漢気。
鑑賞日:04月17日 監督:

フランク・ロイド・ライト [DVD]フランク・ロイド・ライト [DVD]
第1部は60代前半まで、第2部は1959年に92歳で亡くなるまでの生涯を追っている。天井が低く横に伸びて中西部の自然に調和していた草原住宅、「住宅は住む機械である」と言ったコルビュジエらのインターナショナル・スタイルに対し、手の作業を重んじたことや、精神性を尊重し、建築を"physical thing"として捉えるモダニズムに興味を示さなかったことなど興味深い。60代の低迷期、落水荘、ジョンソン・ワックス・ビルディングを手がけたのち70代でキャリア復活し、晩年の奇跡のような建築群の流れが劇的だった。
鑑賞日:04月21日 監督:ケン・バーンズ

ジョルジュ・メリエスの月世界旅行 他三編/映画創世期短編集 [DVD]ジョルジュ・メリエスの月世界旅行 他三編/映画創世期短編集 [DVD]
月世界旅行』(1902)、『日食』(1907)(ジョルジュ・メリエス)、『午前の幽霊』(ハンス・リヒター, 1928)、『対角線交響曲』(ヴェキング・エッゲリング, 1924)の四本。魔術師メリエスの月世界は、天文学会会長やセレナイトなど、奇抜な人間博物館。人間の顔を使って太陽や月を表現した絵は見たことがあるが、それを映画で観ると強烈。ハンス・リヒターの『午前の幽霊』はコラージュ感覚に溢れていた。『対角線交響曲』は、黒字に白線が形をなしていく様を描いた抽象映画。1924年テクノポップという感じがした。
鑑賞日:04月21日 監督:Array,ハンス・リヒター,ヴィキング・エッゲリング

タイタンの戦い [DVD]タイタンの戦い [DVD]
テレビ放映時に視聴。配役がかなり魅力的だった。特にゴツゴツした岩のような顔のサム・ワージントンと、たおやかな女神イオ役のジェマ・アータートン。キラキラした鎧を身に着けたゼウス役のリーアム・ニーソンは目もキラキラ。彼と冥府の王ハデス役のレイフ・ファインズは偉かった。"We need the love of humans."や、"Hahaha... I am a god. I will live forever."という中学生が書いたような台詞を言う陳腐さを引き受けていた。サソリとクラーケンも素敵。
鑑賞日:04月23日 監督:ルイ・ルテリエ

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