ふんわり彼氏と色彩の炸裂ーNHKドラマ『岸辺露伴は動かない』第三話「D. N. A」感想

NHKドラマの『岸辺露伴は動かない』第三話「D. N. A」を観ました。

いやー、三話目にしてめちゃくちゃ「作画・荒木飛呂彦」な人が出てきましたね。
片平真依を演じた瀧内公美さんです。
線の太い顔と意志の強そうな眼差し、ポンパドールを2つ、センター分けにした四角い髪型。
最高にジョジョ実写化感がありました。

物語は、言葉を逆さまに話し、ぬいぐるみで固めたピンクのテントに隠れて過ごす5歳児、真央とその母親、真依が、ひょんなことから記憶をなくした写真家、平井太郎と出会い、母娘と太郎の奇妙な縁が明らかになっていく、というものです。

今回、岸辺露伴狂言回し的な感じです。「ヘヴンズ・ドア」を使って人を読むときは顔が本になるのではなく、なんと人が本そのものになっています。露伴はこの回、人の顔ではなく物理的な本(本に形を変えた人なんですが)を読みます。そのため、「何かと闘う」という感じではなく、不可視だったものを解読し、解説する、という役回りになっています。

岸辺露伴が真央の特性を「彼女の個性だ。何も異常はない」というのはよかったですね。「奇妙なもの」に対する耐性が違います。

真依が真央をファブリックで包むのは世間から普通とは違う彼女を隠そうとしているのですが、布がピンクや清潔で明るいパステル系の色で、彼女を忌むべきものではなく傷つけられたくない大切な存在だと思っているから、というのが分かる演出でした。彼女たちの明るい色彩に満ちた暮らしぶりが、記憶をなくした平井太郎の透明な存在感と繋がるんですよ。そして彼が最後に撮る写真は、彼女だった編集者の泉京香が好きだった、都会の暗い風景を写した作品とは違う「ほのぼのした感じ」に変わっていた、というのはオチがついています。つまり、質感の合流によりすべてを語っているエピソードでした。

このドラマ、衣装部の仕事には毎回感銘を受けていましたが、最終回にして衣装と色彩の整合性・生合成こそが物語の意味的主役と言える役割を果たしており、素晴らしかったです。

来年末にも続編があることを熱烈に希望しますね。