2011年12月に読んだ本

12月の読書メーター
読んだ本の数:2冊
読んだページ数:497ページ
ナイス数:6ナイス

トルーマン・カポーティ研究 (1970年)トルーマン・カポーティ研究 (1970年)
『遠い声、遠い部屋』で描かれた同性愛を不妊の愛、歪んだナルシスとし、黒人男女のセックスを「男が男を回復し、女は女であることを回復」(77)とする意見に70年代という時代の限界を感じた。『冷血』についての章では「非虚構小説」についての詳細な議論がある。しかし、『ティファニーで朝食を』ではやや唐突に「意外にも深刻な政治問題をはらんでいる」(128)とし、その根拠がホリーの言う「アカの気分」であるところに議論の手薄さを感じさせる。イーハブ・ハッサンの「昼間のスタイル」「夜のスタイル」の分類に負うところが大きい。
読了日:12月17日 著者:稲沢 秀夫

霧の壁 (1960年) (創元推理文庫)霧の壁 (1960年) (創元推理文庫)
おばあちゃんの死体を目の前にして受話器を握りしめている以前のことは何も記憶にない男。別れた妻、義兄、友人、おばあちゃんの友人の証言から、彼女を殺害したのは誰か、真相に迫っていく。あまり謎解きの面白さはないが、真犯人から目を逸らすためのデコイとして選ばれた人物が強烈なみみっちさで、読者を飽きさせない。記憶喪失になった主人公が簡単に広告代理店の仕事に復帰できるのは、「修行無用の世界」という皮肉だろうか。それにしても原題の'We All Killed Grandma'はすでに事件の結末を予測する題名である。
読了日:12月28日 著者:フレドリック・ブラウン

2011年12月の読書メーターまとめ詳細
読書メーター