2011年12月に観た映画・DVD

12月の鑑賞メーター
観たビデオの数:20本
観た鑑賞時間:2000分

ダーティ・ダンシング [DVD]ダーティ・ダンシング [DVD]
保養地に来た医者の娘ベイビーが、使用人として働いている若者たちと仲良くなる。ウェイターに妊娠させられた女性ダンサーに中絶手術を受けさせるため、ベイビーが代役として舞台でダンスを踊ることになる。彼女は一週間でダンスをマスターできるのか?ジェニファー・グレイの腹が締まってダンサーの身体になっていくのが分かる。使用人の中にも大学生バイトか労働者階級かで格差がある描写が新鮮。老若男女、お金持ちも貧乏にもみんなが混ざってダンスするラストが素晴らしい。リフト・シーンは最近の映画『ラブ・アゲイン』に引用されている。
鑑賞日:12月01日 監督:エミール・アルドリーノ

ジョーズ [DVD]ジョーズ [DVD]
全長7.5m、重さ3トンのホオジロ鮫に狩場とされたアミティ・アイランドの警察署長の戦い。鮫に喰われる人の悲鳴と海の静寂の対比、ボートにカメラを固定して船の目線で島の景色を眺めまわす場面、鮫被害の写真のエグさ、鮫の腹を裂くと白い体液が出てくるところ、市長に言われ人身御供として海に入らされる一家の不安感など印象に残る。原爆輸送任務の途中で船が転覆し、鮫だらけの海に放り出されたクウィント船長の体験談や、彼が鮫退治にかける妄念など、『白鯨』を思い出させる。子役がロイ・シャイダーの物真似をする場面にほっこり。
鑑賞日:12月04日 監督:スティーブン・スピルバーグ

紳士は金髪がお好き [DVD]紳士は金髪がお好き [DVD]
ダイヤが好きなミス・リー。彼女が男性関係で窮地に陥っても、女同士の友情でショーガール仲間のミス・ショーは助ける。二人の一蓮托生ぶりは、女性のためのバディ映画と呼ぶに相応しい。金髪/ ブルネット、声の高低、下目遣い/ 攻撃的な上目使いと、二人の対比の仕方が鮮やか。男に捨てられても踊っているうちに楽しくなってくるのが素敵。終盤、舞台で"Diamonds are a Girl's Best Friend"の歌詞にティファニーカルティエが出てきて、やはりカポーティのあの作品のモデルはマリリンではないかと思った。
鑑賞日:12月06日 監督:ハワード・ホークス

ダークシティ [DVD]ダークシティ [DVD]
浴槽で目覚める主人公。傍らには娼婦の死体。バーで気怠く歌う主人公の元妻。この始まりからサスペンス映画かノワール映画かと思ったら、段々と様相を変えてくる。人々が0時から一斉に眠りに落ち、10分後に何もなかったかのように再び活動を始める謎の街。魔導師のような黒装束の男たちが暗躍し始めてから、主人公の目の前で徐々に世界が崩壊していく・・・。チューン(意志で物を動かせる能力)を使い額からビームを出す戦闘場面が最高!話すとき変なところで文を区切る医師役のキーファー・サザーランドの怪演。非常に面白い仕掛けの映画。
鑑賞日:12月07日 監督:

悪人 スタンダード・エディション [DVD]悪人 スタンダード・エディション [DVD]
出会い系で知り合った祐一と光江。祐一は数日前、博多の若い女性を衝動的に殺していた。それを告白された光江は、一緒に逃げてくれと頼む。光江の憧れだった灯台に潜む二人の逃亡生活の行方は・・・? 前半は博多、佐賀、長崎といった九州を縦断する恋愛劇が面白く、後半は虚ろな目で自分なりに筋を通そうとする老人二人(樹木希林柄本明)が素晴らしい。終盤、「俺はあんたが思ってるような男と違うけん…」と言って光江の首を絞める祐一。果たして彼は本当に悪人だったのか、それとも光江を共犯関係から救おうとしただけだったのか・・・。
鑑賞日:12月09日 監督:李 相日

百万長者と結婚する方法百万長者と結婚する方法
ローレン・バコールマリリン・モンローベティ・グレイブルの独身女性三人が、お金持ちと結婚するために自分たちも高級アパートメントの最上階を借りて悪だくみ("marriage caper"と作中では呼称)に乗り出す。「年収10万ドル以下は論外」と言い、石油関連のビジネスマン("oil men")を探す三人。高級レストランでデートしても、実は貧乏な彼女たちが「余ったら持ち帰るのよ」と言う部分があり、「タッパー持ってきたか?!」と聞きたくなった。眼鏡女子のモンローも可愛いが、低い声のバコールが最高にカッコいい。
鑑賞日:12月09日 監督:ジーン・ネグレスコ

ナイアガラ [DVD] FRT-179ナイアガラ [DVD] FRT-179
ローズ(マリリン・モンロー)とジョージ(ジョゼフ・コットン)はナイアガラを眺望するレインボウ・キャビンに宿泊する倦怠期を迎えた夫婦。ローズは若くたくましい愛人と結託して夫を殺し、同じホテルに宿泊する新婚旅行中のカトラー夫婦を目撃者に仕立て上げる計画を立てるが・・・。ナイアガラという舞台をフルに使ったロケが楽しく、クライマックスでもちゃんと使われている。モンローが歩き去る後姿を捉えたショットが多い。邪悪なモンローと、朝鮮戦争帰りで戦争後遺症の残るくたびれた夫を演じるジョゼフ・コットンの演技が素晴らしい。
鑑賞日:12月09日 監督:ヘンリー・ハサウェイ

シェーン【字幕版】 [VHS]シェーン【字幕版】 [VHS]
ワイオミング州の開拓地に流れ着き、スターレット一家に頼りにされ始める元ガンマンのシェーン。そのとき、牛の放牧地を狙うランカー一家に、農民たちは嫌がらせを受けていた。シェーン役のアラン・ラッドがどちらかと言えば都会的なハンサム。コーヒーしか飲めない殺し屋ウィルソンは"low down Yankee liar"と呼ばれているが、北軍出身ということだろうか。シェーンに惚れた妻のために旦那が身を引こうとする場面、去りゆくシェーンの顔が下を向き腕はだらりと下がり、すでに息絶えていることが分かるショットが切ない。
鑑賞日:12月11日 監督:

ティファニーで朝食を [VHS]ティファニーで朝食を [VHS]
原作に大幅な改変を加えた映画化。語り手の作家に金持ちのパトロン・マダムのいるポール・ヴァージャックという名前を与え、ホリーと恋に落ちる設定にしている。原作で重要な小道具であるティファニー製の名刺や、ホリーが語り手に鳥籠を贈るエピソードがなく、代わりに「自分で作った籠を持ち歩いてるのさ」という台詞で原作への批評を加える内容になっている。NYの裏街でずぶ濡れになりながら、猫も貧しいながらも自分だけを愛してくれる恋人も手に入れるのは、原作と180度異なる結末。パーティ場面にブレイク・ドワーズ監督らしい底抜け感。
鑑賞日:12月11日 監督:


デジャヴ [DVD]デジャヴ [DVD]
500名以上もの乗客が死亡したフェリー爆破テロ事件。ATF(アルコール・タバコ・火器局)捜査官ダグ・カーリンは、犯罪現場の痕跡を見落とさない観察力を買われ、四日半前の出来事を再構成できる監視装置プロジェクト「白雪姫」を使った捜査の一員に選ばれる。「白雪姫」が過去を見られるだけでなく、時空を歪め現在から過去へ介入できることを知ったダグは、それを使いテロ犯人に殺された女性の命を救おうとする。過去に戻り別の選択肢を選んだ場合、いくつもの並行世界が生じるのではなく、現実の進路が変わるだけという考え方が新鮮だった。
鑑賞日:12月13日 監督:トニー・スコット

メカニック ブルーレイ&DVDセット(初回限定生産) [Blu-ray]メカニック ブルーレイ&DVDセット(初回限定生産) [Blu-ray]
「メカニックの定義は?」「問題を片づける男。それも契約で。殺し屋だ」の精神を中心に据えた仕事人映画。暗殺現場から逃走中、ボートの縁につかまってハゲ頭だけ水から出したイサムの姿から始まる。自分が殺した師匠の息子に殺し屋稼業を教えるイサム。ロープでビルの壁を下るシーンが凄い。"AMAT VICTORIA CURAM"(「周到な準備が勝利を招く」)、「必要なのは強い心だ」、「メカニックは、宿題をする。標的を消す」、「多くの失敗が経験となり、いい判断を下す」などプロフェッショナルとは何か考えさせられる名言多数。
鑑賞日:12月13日 監督:サイモン・ウェスト

セブンデイズ コレクターズ・エディション [DVD]セブンデイズ コレクターズ・エディション [DVD]
限りなく有罪に近い容疑者も逆転無罪にしてしまう優秀な弁護士ユ・ジヨン。娘が誘拐され、犯人の要求は強姦殺人の容疑で捕まっているチョン・チョルジンの裁判で無罪を勝ち取れというものだった。タイム・リミットは七日間。レイプ殺人で娘を殺された大学教授の母の悲しみ・怒りを前にしつつも、自分の娘を救うために証拠を彼女から引き出さねばならないジヨンの葛藤。真実は問わず被告人をひたすら弁護してきたジヨンが、過去に助けた有罪の容疑者に救われる場面はどうかと思った。彼女を助けるチンピラ刑事が段々格好よく見えてくる不思議。
鑑賞日:12月16日 監督:ウォン・シニョン

借りぐらしのアリエッティ [DVD]借りぐらしのアリエッティ [DVD]
ジブリ映画だが、アリエッティ宮崎駿作品のヒロインらしくはない。幼児体型orウェスト細いが胸は大きいタイプの女性ではなく、ガリガリでモード系の服装が似合いそうな体形。ちゃんと14歳に見えて新鮮だった。音響がやたらリアルで、「小人の耳にはこう聞こえる」ことを表現するために工夫されていると思った。作中に出てくるドイツパンが美味しそう。猫を愛でながら薄笑いで「小さい人たちは他にいるの…?」「君達は滅びゆく種族なんだよ…」と囁く少年に代表されるように、作品全体が脆弱。しかし、少女が主体的に動いているのはいい。
鑑賞日:12月16日 監督:米林宏昌

天空の城ラピュタ [DVD]天空の城ラピュタ [DVD]
飛行や高所でのアクションの爽快感に満ちた作品。今回の鑑賞で気付いた点→女海賊ドーラ(50歳)の若い頃の肖像画が船の私室に飾られているが、本当にシータ似の美少女。最初から子供が労働者として描かれている。ラピュタを求めて竜の巣に入っていく際のワープ感。ラピュタブリューゲルバベルの塔に似ている。海賊の小型機もラピュタのロボットも虫のよう。パズーがほぼとっかかりのない壁を上る場面の多さ。ドーラ役初井言榮さん、ポムじい役常田富士男さん、ムスカ寺田農さんの名演。「最後のチャンスだ。すり抜けながらかっさらえ!」
鑑賞日:12月17日 監督:宮崎駿

ハードロマンチッカーハードロマンチッカー
北九州でグーという不良青年が在日韓国人不良グループ、日本人不良グループに追い掛け回される話。コンクリート上をカラカラと鉄パイプが転がっていく音がいつまでも続く。知り合いのヤクザの純情を守るために満身創痍で突っ走っていた主人公が、最後にトイレに流すもの。ロマンチックであるとはこれほどまでにハードなストイックさを要求するものなのか。「パンクスは、吐き気がするほどロマンチストなんだぜ」という遠藤ミチロウの言葉を思い出した。絶対に声を荒げず、心ここにあらずな目つきをしたヤクザ幹部を演じる中村獅童がよかった。
鑑賞日:12月21日 監督:グ・スーヨン

仮面ライダー×仮面ライダー フォーゼ&オーズ MOVIE大戦 MEGA MAX仮面ライダー×仮面ライダー フォーゼ&オーズ MOVIE大戦 MEGA MAX
爆破シーンでの人物の撮り方が半端なくかっこよかった。伝説の七人ライダー、W、オーズ、フォーゼと出てきたけど、シリーズ観たことなくても楽しめ、観てた人は見直したくなる面白さ。悪の組織は組織で、裏でちゃんとつながってるのが面白い。W=ハードボイルド、オーズ=欲望、フォーゼ=友情と、各ライダーのテーマがはっきり分かれているのが分かった。女性ライダーなでしこがフォーゼのユウキちゃんでなかったこと、いつもTVでは活躍しているフォーゼの女性陣が、戦闘シーンでバガミールを投げるくらいしか活躍の場面がなかったのが残念。
鑑賞日:12月21日 監督:坂本浩一

Exit Through the Gift Shop [DVD] [Import]Exit Through the Gift Shop [DVD] [Import]
ブログに感想書きました。→「ある現代芸術家の肖像−『イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ』から見える、現代アートにおける「オリジナル」と「複製」の関係について」 http://d.hatena.ne.jp/Stroszek/20111222/1324565516
鑑賞日:12月22日 監督:

ワイルド7ワイルド7
瑛太の飛葉ちゃん、深田恭子のユキは、原作のルックスに似ていてよかった。異常にメリハリのある発声で朗々と各登場人物の過去を説明する吉田鋼太郎は、ほんとに原作に出てきそうな小ずるそうな悪役顔。瑛太椎名桔平以外のワイルドが目立たず、排出される薬莢の数は多いもののガン・アクション、バイクアクションが単調なのは残念。トレイラーをくくりつけられ吊るされ、全身の関節が外れるような激しい拷問シーンがないので拍子抜け。原作ファンの友人は、飛葉ちゃんがコルト・ウッズマンではなくマシンガンをぶっ放す姿に違和感を感じたらしい。
鑑賞日:12月24日 監督:羽住英一郎

ネバーランド [DVD]ネバーランド [DVD]
劇作家ジェームズ・バリと、デイヴィズ家のシングルマザー、シルヴィア、その4人息子たちとの交流、そこから戯曲『ピーター・パン』が生まれ上演されるまでを描く。ピーター・パンのモデルとなった三男ピーターは、『チャーリーとチョコレート工場』の子役フレディ・ハイモアが演じていてうまい。創作は現実逃避ではなく、いまここにはいない者たち、目に見えない者たちの存在を信じるために必要なこと、というスタンスがいい。創作活動の楽しさを教えるため、バリがピーターに雑記帳を贈るエピソードや、長男ジョージの成長過程の描写もいい。
鑑賞日:12月26日 監督:マーク・フォースター

アンチクライスト [DVD]アンチクライスト [DVD]
ブログに感想書きました。→「「キリスト降誕物語」と反キリスト者誕生譚―『アンチクライスト』感想」 http://d.hatena.ne.jp/Stroszek/20111230/1325323831
鑑賞日:12月31日 監督:ラース・フォン・トリアー

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