Film

『猿の惑星』と『猿の惑星 創世記』の比較

テレビ東京の午後のロードショーで『猿の惑星』(以下、惑星)が放映されていたので、久々に観ました。 (Dir. Franklin James Schaffner, Planet of the Apes, United States, 1968.)この前観た『猿の惑星 創世記』(以下、『創世記』)の原型となったであろう要…

Apes That Can Say .....−『猿の惑星 創世記』感想

猿の惑星を観てきました。(Dir. Rupert Wyatt, Rise of the Planet of the Apes, United States, 2011.)今回は、『猿の惑星 創世記』そのものではなく、『猿の惑星』シリーズで繰り返し出てきた"No."という言葉について考えます。 - 最初にこの"No."という台…

テロリストと拷問者の対話−『4デイズ』感想

銀座シネパトスで、『4デイズ』を観てきました。(Dir. Gregor Jordan, Unthinkable, United States, 2009.)いまウィキペディアで調べたのですが、これアメリカではDVDスルーだったんですね。内容を考えると、さもありなんという感じです。非常に面白かったで…

少女に何が起こったか−『ザ・ウォード/ 監禁病棟』感想

銀座シネパトスで、『ザ・ウォード/ 監禁病棟』を観てきました。(Dir. John Carpenter, The Ward, United States, 2010.)非常に格調高いルックの精神病院映画でした。以下、内容に触れています。 - ・物語は、短いシーンのインサートから始まります。スリッ…

2011年9月に観た映画・DVD

9月の鑑賞メーター 観たビデオの数:27本 観た鑑賞時間:3028分ルパン三世 ルパン vs 複製人間 [DVD]銃撃されてもワイングラスを死守する次元がダンディ。劇中の殺し文句→「(永遠の命なんて)ルパンと一緒じゃなきゃごめんだわ」(不二子)、「俺は夢奪われたか…

"Retreat, Hell!"−『世界侵略:ロサンゼルス決戦』感想

渋谷シネパレスで、『世界侵略:ロサンゼルス決戦』を観てきました。 (Dir. Jonathan Liebesman, World Invasion: Battle LA, United States, 2011.)宇宙からの侵略者たちとロサンゼルスで戦うアメリカ海兵隊の一小隊内のドラマを描くというもの。以下、内容…

2011年8月に観た映画・DVD

8月の鑑賞メーター観たビデオの数:20本観た鑑賞時間:1793分 トランスフォーマー/リベンジ スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]このシリーズの「カッコいい米軍」アピールは凄い。逆に言うと、ロボットと米軍をかっこよく見せるために軍人以外の…

夢のあとさき−『ドリームホーム』感想

ずいぶん前ですが、シアターN渋谷で、『ドリームホーム』を観てきました。(Dir. Ho-Cheung Pang, Dream Home, Hong Kong, 2010. )かなり皮肉が利いた傑作でした。以下、内容に触れています。 - まず最初に、以下のような題辞が示されます。「この街はイカレ…

2011年7月に観た映画・DVD

7月の鑑賞メーター観たビデオの数:18本観た鑑賞時間:1861分 アナコンダ<Hi-Bit Edition> [DVD]ジェニファー・ロペス、アイス・キューブ、ジョン・ヴォイト、オーウェン・ウィルソン、そしてダニー・トレホと、いま考えるとかなり豪華なキャスト。そして民俗学者を演じるのが</hi-bit>…

手をつなぐ、つまり青春だ−『アベックパンチ』感想

六本木シネマートで、『アベックパンチ』を観てきました。(Dir. 古澤健, 『アベックパンチ』, 2011. 日本) この作品には、終盤のイサキ・メバルとヒラマサ・エツの試合シーンに、エキストラで参加させていただきました。 漫画原作の映画化ですが、ちゃんと古…

2011年6月に観た映画・DVD

6月の鑑賞メーター観たビデオの数:11本観た鑑賞時間:886分 X-MEN [Blu-ray]ミュータントの悲哀にスポットを当てた前半がずっと青く薄暗い画面で、沈んだムード。「人間に放射能を当てミュータントにする」のがマグニートーの作戦の肝だった。このご時世テ…

"It's MY turn to fuck YOU."−『アイ・スピット・オン・ユア・グレイブ』感想

シアターNで、『アイ・スピット・オン・ユア・グレイブ』を観てきました。(Dir. Steven Monroe, I Spit on Your Grave, 2010. アメリカ) 非常によくできた映画だと思いました。 いわゆるレイプ・リベンジ物です。 1978年にも"Day of the Woman"というタイト…

That's mint!−『SUPER 8』感想

『SUPER 8』を観てきました。(Dir. J. J. Abrams, Super 8, 2011. アメリカ) 以下、ネタバレ感想。 - 粗筋は、以下の通り。「1979年夏、保安官の父と暮らす14歳の少年ジョーは、突然の事故で母親を亡くし、心に深い悲しみを抱えていた。ある夜、親友チャール…

"Mutant and Proud-"『X-MEN: ファースト・ジェネレーション』感想

『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』を観てきました。(Dir. Matthew Vaughn, X-MEN: First Class, 2011. アメリカ)面白かったです!まず、役者さんたちが全員いい。『X-MEN』シリーズの二大要となるプロフェッサーXとマグニートーの過去を描いているの…

世界に投函された手紙としての人間−『カスパー・ハウザーの謎』感想

イメージフォーラムで、『カスパー・ハウザーの謎』を観てきた。(Dir. Werner Herzog, Jeder für sich und Gott gegen alle, 1974. ドイツ) この映画は、ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー、ヴィム・ヴェンダースと並び、七十年代のニュー・ジャーマン・…

A Room with a View in L.A.−『スカイライン−征服−』感想

『スカイライン−征服−』を観てきました。(Dir. The Brothers Strause, Skyline, 2010. アメリカ)完全なるポップコーン・ムービーでした。みんなでワイワイ言いながら観るのに最適な、楽しい映画です。撮り方が"Skyline"という題名に沿って工夫されていたと思…

Mahler on the Couch−『マーラー 君に捧げるアダージョ』感想

『マーラー 君に捧げるアダージョ』をユーロスペースで観てきました。 (Dir. Percy Adlon, 原題: Mahler auf der Couch, 英題: Mahler on the Couch, 2010. ドイツ・オーストリア) 邦題ダサいけどよかった。しかしこんな邦題じゃ、まじめなクラシック音楽映…

オートミールくらい作れよ−『ブルー・バレンタイン』感想

(Dir. Derek Clanfrance, Blue Valentine, 2010. アメリカ)あるカップルの一日を、結婚するまでの数ヶ月と離婚するまでの24時間と交差させて描いた映画。二人の始まりと終わりが叙情的な映像で描かれる、とても美しい映画だった。以下、ネタバレ感想。 朝の…

若い芸術家の肖像−『ブラック・スワン』感想

(Dir. Darren Aronofsky, Black Swan, 2010. アメリカ)芸術と生と性の葛藤を描いた凄まじい映画だった。以下、ネタバレ感想。 物語は、二ナの夢から始まる。悪魔に誘惑され、悪魔の腰に足を巻きつけて踊る夢であり、「男性に誘惑されたい」というニナの願望…

推しメンはキム−『スコット・ピルグリム vs. 邪悪な元カレ軍団』感想

シネマライズで『スコット・ピルグリム vs. 邪悪な元カレ軍団』を観てきました。 (Dir. Edgar Wright, Scott Pilgrim vs. the World, 2010.) 漫画的表現がエドガー・ライトの匠の技によりテンポのいい映像表現に移し変えられ、オールド・スクールなレトロゲ…

"Where Is My Mind?"-『エンジェルウォーズ』感想

渋谷シネパレスで『エンジェルウォーズ』を観てきました。(Dir. Zack Snyder, Sucker Punch, 2010)徹底的に決定権が男性の手に握られた世界で、少女たちがそれを取り戻すまでの物語として、面白かったです。以下、ネタバレ感想。劇場に座ると、Pixiesの"Wher…

逃亡者たち−『ランナウェイズ』感想

渋谷シネクイントで、『ランナウェイズ』を観てきました。(Dir. Floria Sigismondi, The Runaways, 2010, アメリカ)胸熱なガールズ・ロック映画でした!!!!! 以下、内容に触れてます。1975年から1979年まで活動した、10代女性だけのロックバンド、ランナウェ…

関わらないことの罪−『ビー・デビル』感想

シアターN渋谷で、『ビー・デビル』を観てきた。(Dir. Jang Cheol-soo, Bedevilled, 2010. Korea)素晴らしい女性映画だった。 どこがどのように素晴らしかったのか考えてみたい。以下、内容に触れています。まず、ヘウォンという都会の女性の生活描写から物…

絡め取られて−『塔の上のラプンツェル』感想

TOHOシネマズ有楽座で、『塔の上のラプンツェル』を観てきた。(Dir. Byron Howard and Nathan Greno, Tangled, 2010.)面白かったので、どこが面白かったのか考えてみる。以下、内容に触れています。原題はTangledというんだけども、これは「絡め取られて」と…

師匠はつらいよ−『イップ・マン』感想

新宿武蔵野館で、『イップ・マン 葉問』を観てきました。(Dir. 葉偉信[Yip Wai-shun], 葉問[Ip Man], 2010) すばらしかった!! 私はそんなにコアな香港映画ファンというわけではないのですが、これには無条件に胸が熱くなりました。 詠春拳の創始者で、ブル…

狂気の復讐−『完全なる報復』感想

新宿武蔵野館で、『完全なる報復』を観てきました。(Dir. F. Gary Gray, Law Abiding Citizen, 2009) 安心のカート・ウィマー脚本です。さすが「ガン=カタ」*1を考案し、アンジョリーナ・ジョリーが大暴れする映画『ソルト』の脚本を書いた人です。一瞬たり…

映画『ソーシャル・ネットワーク』の予告編の曲とエンディング曲について

私が『ソーシャル・ネットワーク』に興味を引かれたのは、デヴィッド・フィンチャーの映画が好きなこともあるのですが、予告編にRadioheadの "Creep"合唱版が使われていたからでもあります。『ソーシャル・ネットワーク』の公式トレイラー: Vega Choir "Cre…

フィンチャーはなぜザッカーバーグを選んだのか−『ソーシャル・ネットワーク』感想

『ソーシャル・ネットワーク』を横浜ブルク13で観てきました。(Dir. David Fincher, 2010, 米)フェイスブックの創始者マーク・ザッカーバーグについての話。ザッカーバークの内面は語られず、主に彼を訴えたエドゥアルド・サベリンとウィンクルボス兄弟(富豪…

どてらいやつらは止まらない−『アンストッパブル』感想

渋東シネタワーにて、『アンストッパブル』を観てきました。(Dir. Tony Scott, 2010, 米)以下、観てきたばかりの感想を書きます。内容に触れていますので、未見の方は注意!いやー、面白かった。無人で走り出しどんどん加速していく貨物列車(有毒化学物質搭…

現実とカメラの関係−『パラノーマル・アクティビティ第2章/ TOKYO NIGHT』感想

『パラノーマル・アクティビティ第2章/ TOKYO NIGHT』を観てきました。(D. 長江俊和, 2010, 日本)渋東シネタワーで観たのですが、観客30人ほどのうち、自分の四方を見渡すと、ほとんどが茶髪の10代後半から20代前半の女性でした。やっぱりこういうゴア描写や…